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THE映画紹介『スパイダーマン』2000年以降のアメコミ映画の基盤を作ったのは、何を隠そうこの作品!!

アメリカ映画、インド映画、ドイツ映画、アジア映画、アニメ、ドキュメンタリー….なんでもあり!!

今回紹介するのは『スパイダーマン』

作品情報

1998年の『シンプル・プラン』以降、ドラマ演出に冴えを見せるサム・ライミが監督、脚本は『パニック・ルーム』『ジュラシック・パーク』のデヴィッド・コープ。2人とも原作コミックのテイストを大切にしている。巧みな特殊視覚効果によってヒーローはニューヨークの摩天楼を飛び回り、悪役グリーン・ゴブリンと対決する。その場面はかなり痛快。が、ライミ監督はVFXの派手さを極力おさえたように思える。「スパイダーマン」はヒーローでありながら、完璧なヒーローになれない若者の物語だからだ。本作はすでに続編が企画されている。優柔不断ともいえるヒーローはこれから、どんな活躍をすることになるのだろうか……。

『スパイダーマン』基本情報

2002年製作/121分/アメリカ
原題:Spider-Man

監督 : 『死霊のはらわた』『ダークマン』 サム・ライミ

脚本: 『ザスーラ』『ジュラシック・パーク』デヴィッド・コープ

出演 :

『シービスケット』『華麗なるギャツビー』トビー・マグワイア

ドリーム』『エリザベスタウン』キルスティン・ダンスト

ライトハウス』『ポップスター』ウィレム・デフォー

『死霊のはらわた』『マニアック・コップ』ブルース・キャンベル

『容疑者』『ディザスター・アーティスト』ジェームズ・フランコ

ブライトバーン 恐怖の拡散者』『チャーリーズ・エンジェル』エリザベス・バンクス

マダム・メドラーおせっかいは幸せの始まり』『パーム・スプリングス』J・K・シモンズ

短評

ジェームズ・キャメロンが『タイタニック』の次に映画化しようとしたのが『スパイダーマン』だったこともあり、当初は『タイタニック』同様にレオナルド・ディカプリオがキャスティングされていた。

ところが企画は白紙になり、サム・ライミが候補に挙がるものの、今までカルト色の強い作品を手掛けている印象が強かったサムに対して、子供かから大人まで人気の高い国民的ヒーローアクション映画を制作できるのかという疑問も多く、なかなかゴーサインが出なかったのは有名な話。

マーベルとしては先に『X-MEN』『ブレイド』が公開されていたが、『スパイダーマン』はより高い映像技術が必要とされる中で、今と違って映像技術もまだまだ発展途上ということもあり、技術面でも制作が不可能とされていたことなど、様々な視点から慎重に検討されていた。

諸事情による設定の変更や、撮影中に911テロが起きてしまうなど、様々なトラブルが発生する中で、何とか完成した『スパイダーマン』は、重役たちの心配をよそに大ヒットを記録した。

ユニバーサルスタジオのアトラクションや東映版『スパイダーマン』が広く知れ渡るのは、まだ最近になっての話ではあるが、当時カプコンが対戦ゲームを稼働させていたり、『スポーン』からのUSフィギュアブームの流れも残っていたことで、本作は日本でも人気を博した。

スパイダーマンことピーター・パーカーも、コミックアーティストによって、ワイルドガイだったりする場合もあるが、初期のピーター像としてはぴったりだったトビー・マグワイアを起用したことで、今まで『バットマン』『スーパーマン』といったマッチョなイメージとは違っていたこともよかったのだろう。

さらに言えば、今でこそ『デッドプール』や『アントマン』など、ジョークを言うコミカルなヒーロー映画も当たり前のように登場するが、おしゃべりなスパイダーマンが当時としては、かなり新鮮だったこともある。

当初からシリーズ化を視野に入れていたため、コミックやアニメファンの心を掴むのは、ピーターとハリーは親友同士なのに、スパイダーマンとハリーは敵対しているという構図だと考え、1作目からグリーンゴブリンことノーマン・オズボーンと息子のハリーが登場する。

原作を知っていれば、ハリーが2代目グリーンゴブリンになってしまうことは、有名な話であるが、設定そのものが原作の「アメイジング・スパイダーマン」「ウェブ・オブ・スパイダーマン」「スペクタキュラー・スパイダーマン」などとは違い、2000年からスタートしたリブートシリーズの「アルティメット・スパイダーマン」に似ていたこともあって、ハリーが映画版ではどうなるかという焦らしが入ったのも意図的だったように感じられるし、実際にまんまと心を掴まれてしまった人も多いだろう。

今作のヒットを受けて、『アイアンマン』『マイティ・ソー』『キャプテン・アメリカ』といったマーベルヒーローの映画化企画が続々と浮上し、実際に『ハルク』『デアデビル』といった作品が公開される中で今作を超えるヒット作を生み出すことも難しかったこともあって、限られた技術と環境の中で成功したのがいかに凄いことだったかを感じてもらいたい。

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