予告編が流出した問題から一変して、公式の予告が公開された『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』だが、この予告を観て感じたのは、マルチバース設定は前回の『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』と同様にミスリードのような気がしてならない。
これは、私個人の推測でしかないが、映画全体がドクター・ストレンジの「説教」という可能性も出てきた。
ドラマの『ロキ』や今後公開される『ドクター・ストレンジ・イン・ザ・マルチバース・オブ・マッドネス』がよりマルチバースという設定を具体的にさせているのだが、逆にそれを狙ったスカし映画かもしれないのだ。
話題になっていたアルフレッド・モリーナ演じるドクター・オクトパスが登場し、ジェイミー・フォックスの姿はないが、出演は決定していて、ウィレム・デフォーが演じたグリーンゴブリンを想像させるアイテムも登場する。
しかし、これはあくまで同じ俳優が演じているだけの可能性もある。実際にパトリック・スチュワートもプロフェッサーXの役を演じ続けるか聞かれたことを明かしていた。
単純に『アベンジャーズ/エンドゲーム』の流れで、世界を再構築してしまう危険性はドクター・ストレンジ自身が痛感していないはずがない。となると、予告のようにあっさり呪文を使って、ピーターの要求通りのことをするだろうか。
そこから推測すると、現在Disney+で配信されいる『What If…』のように、「もし事実を改変してしまったら…」という内容かもしれない。
そう考えると、逆に納得ができてしまう。「夢オチ」ならぬ「もしもオチ」の後に本格的にマルチバース設定を取り入れることで、ヒーローというより、一般的な感性を持ったピーターが、変えられない事実を変えてしまうことへのマルチバースに対しての恐怖を知ったうえで、スパイダーマンというキャラクターが今後の映画で一般的な視点から、マルチバースによる変動を阻止しようとする立ち位置に落ち着くとなると、説得力もあって、納得がいく。
そこもふまえて、マルチバース設定全開の新たな敵「カーン」に導入していくというのも自然かもしれないし、そうでなくても『シビル・ウォー』のように正体を明かすリスクを改めて描くこともできる。
『キャプテン・アメリカ4』もドラマに続き、正体を公表しておいての、アメリカの象徴であることへの葛藤がまた描かれるだろうし、目立ちたいという意識が強い若手世代のヒーローの教訓としても機能する。
マーベルは実世界の情報流通もひとつの戦略として考えている部分があって、情報に惑わされているかもしれない。
私たちが「マルチバースだ」とか「歴代のスパイダーマンが登場する!」と騒げば騒ぐほど、そうならない可能性もあるのだ。
逆に「これはマルチバースではない!」と言っていると、マルチバース設定全開にされる可能性もあって、視聴者の反応を見て結末が左右する韓国ドラマのような状態になっているかもしれない。
だったら、私たちはどう反応したらいいのだろうか…それもまた難しい。
だから断定は誰もできない。
- ネットもSNSも遮断されたインドの全寮制女子高を舞台に、少女たちは”自分”とは何者なのかに葛藤する!!『女子高生は泣かない』
- 第96回アカデミー賞:映画評論家バフィー吉川の最終受賞予想!事実上『オッペンハイマー』のひとり勝ち状態か?!
- インド音楽界の歴史が動いた!22年ぶりのメジャーガールズユニット”W.i.S.H.”誕生!K-POPに次ぐ世界市場を狙う!!
- この映画語らせて!ズバッと評論!!『マダム・ウェブ』始まらないドラマのプロローグを観ているような感覚になるが、若手女優たちが唯一の救い!!
- 【ちょこっとレビュー】地域復興ムービーとして応援したい気持ちを裏切るほど中途半端な主人公像『レディ加賀』
コメントを書く