THE映画紹介とは?
THE映画紹介とは…劇場公開中には観れなかったもの、公開中に観たんだけれども…レビューする前にリリースされてしまったもの、単純に旧作と言われるものを独自の偏見と趣味嗜好強めに紹介するもの。
アメリカ映画、インド映画、ドイツ映画、アジア映画、アニメ、ドキュメンタリー….なんでもあり!!
今回紹介するのは『私は死にたくない』
作品情報
刑に処されるまで無罪を主張した女性死刑囚バーバラ・グレアムの手記を、種々のレポートや記録などを照合して映画化した作品。エドワード・S・モンゴメリーの報道記事も重要な資料として使われている。監督するのは『深く静かに潜航せよ』『サウンド・オブ・ミュージック』のロバート・ワイズ。脚本をネルソン・ギィディングとドン・M・マンキーウィッツが担当している。撮影監督は『黒い蠍』のライオネル・リンドン。音楽はジョニー・マンデル、ゲリー・マリガン他6人のコンボがジャズを演奏し、みずから出演もしている。出演するのは『明日泣く』『キリマンジャロの雪』のスーザン・ヘイワード、『トニー・ローム殺しの追跡』『殺人会社』のサイモン・オークランド、『黒い蘭』『トニー・ローム殺しの追跡』のヴァージニア・ヴィンセント、『アフリカの女王』『マイ・フェア・レディ』のセオドア・バイケル等。製作ウォルター・ウェンジャー。
『私は死にたくない』基本情報
1958年製作/120分/アメリカ
原題:I want to Live!
監督: ロバート・ワイズ
出演 : スーザン・ヘイワード、サイモン・オークランド、ヴァージニア・ヴィンセントほか
短評
『サウンド・オブ・ミュージック』『ウエストサイド物語』などで知られるロバート・ワイズが実在した女性死刑囚バーバラ・グレアムの死刑実行までを描いた作品。
死刑が実行された1955年から僅か3年後に製作されたことからも、当時話題となった事件であることを物語っている。
実際にモデルとされているバーバラ・グレアムは、無罪を最後まで主張したがガス室にて死刑となってしまっており、映画では、その過程をじわじわと救いのない恐怖と理不尽な死を受け入れるまでの日々を淡々と描く。
無実なのだから、有罪になるはずなどがないと思っていたが、どうも思わぬ方向に向かっている。しかも極刑である死刑になってしまうなんて夢にも思わなかったはずだ。
気丈に振る舞い、おどけてみせる裏には、常に恐怖があるという難しい心境を見事にスーザン・ヘイワードが演じており、今作で第31回アカデミー賞の主演女優賞を受賞している。
映画的なドラマチックな展開で、逆転無罪で死刑を逃れられるのかと思うかもしれないが、主人公は何度も諦めずに奮闘するものの、ことごとく跳ね除けられ、死刑決行日を迎え、時計が効果的に映されたり、ガス室での死刑の支度手順が細かく描かれたりと、観ている側にも緊張感をひしひしと感じさせてくる。
現実世界では、映画のように逆転できず、無罪のまま、冤罪によって死刑になった人というのは、数えきれないほどいるわけで、冤罪の恐怖というのは、明日は我が身なのかもしれないという強烈な余韻を残す
劇中には、まだ1歳ごろの子供の存在があるが、実際のバーバラには3人の子供がいたとか。子供を残してこの世を去らなければならない悲しさと無念さは計り知れず、何より残された子供が殺人者の子供として扱われる前に自ら遠ざける姿が悲しくてならない。
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