イントロダクション
流麗なダンスが評判のタイガー・シュロフは、役づくりのため、ロサンゼルスで、故マイケル・ジャクソンの振付師だった人物からレッスンを受け、高いスキルをさらに磨いた。『血の抗争』で冷徹なギャングを演じたナワーズッディーンが、得意とするギャング役ながらもオシャレでコミカルというかつてない役柄。父を演じるローニト・ローイもダンス番組への出演経験がある。
ストーリー
マイケル・ジャクソンをリスペクトするバックダンサーに育てられたムンナーは、クラブでのダンスバトルで稼いでいた。ある時ギャングに絡まれ、ケンカに発展。和解のため面会したボス・マヘンドラはダンサーのドリーに思いを寄せていた。レッスンを重ねるうち、ムンナーとマヘンドラの友情は深まるように見えたが…
スタッフ・キャスト
監督 : サビール・カーン
脚本 : ヴィミ・ダッタ
出演 : タイガー・シュロフ『シャウト・アウト』『ヒーロー気取り』
ニッディ・アゲルワール『Chef』『Bhoomi』
ナワーズッディーン・シッディーキー『ライース』『フォトグラフ ~あなたが私を見つけた日~』
ローニト・ローイ『スチューデント・オブ・ザ・イヤー 狙え!No.1!!』『イエローブーツの娘』
パンカジ・トリパティ『グンジャン・サクセナ -夢にはばたいて-』『勇者は再び巡り会う』
シェナズ・トレジュリー『ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』
プリヤンカー・アーヤ『しあわせのモーメント』
シドハース・ニガム『チェイス!』『SANJU/サンジュ』
ファラー・カーン『スチューデント・オブ・ザ・イヤー 狙え!No.1!!』『ハッピー・ニュー・イヤー』
クレジット
撮影:ハリ・K・ヴェダンタム
音楽 :
編集:Manan Sagar
2017年/インド(ヒンディー)/カラー/140分
短評
インドのマイケル・ジャクソン・リスペクトは今に始まったことではないが、ここまで直接的に取り扱っていながら、マイケル・ジャクソンの楽曲はもちろん、写真すら登場しないという斬新さ。
おそらく版権的な問題であるだろうが、上手い具合に、マイケル・ジャクソンっぽい曲に仕上がっているのは流石。今回、いくつかの曲を手掛けた、映画音楽作曲家のプラナイ・M・リジアもマイケル好きとして有名な人物だ。
ちなみにヴァルン・ダワン主演の『Disney’s ABCD 2』(日本未公開)では、ラスベガスに行くシーンで、マイケル・ジャクソンのモノマネ芸人を神のように崇めるといったエピソードが盛り込まれている。
マイケルっぽいダンスは、リティク・ローシャンも『バン・バン!』の主題歌MVの中でも披露していたが、今回はタイガーの物語と同時並行して、ドリーの、ダンスオーディション番組に出場して優勝するというサクセス・ストーリーが描かれていくだけに、半分はストリートダンス映画のようなテイストにもなっている。
ニッディ・アゲルワールの映画デビュー作品としても話題となった作品であることから、ニッディのプロモーション的側面も強いのだ。
「ダンス・インディア・ダンス」や「ジャスト・ダンス」「インディアズ・ダンシング・スーパースター」など、ダンスオーディション番組を多く放送するインド。それに影響されて、特に2010年代はインド版『ステップ・アップ』のような系統の映画が量産されている。
そして審査員席には、お馴染みの顔もある。オーディションやコンテストの審査員といえばこの人、振付師のファラー・カーンも、やはり当然のように登場する。
ギャングのボスとの友情と、ドリーへの恋心のどっちを選択するのか、つまり友情か愛の究極の選択という、ベタベタ極まりない王道ストーリーではあるものの、タイガーの人間離れした肉体から生み出されるアクション&ダンスシーンは、『シャウト・アウト』や『タイガー・バレット』同様に、ポストカードにしたいぐらい画になるシーンばかりだ。
ニッディがダンスコンテストできるかどうかというのを、陰ながら支えるというのが、今作のクライマックスでは、核となる部分ではあるが、結局良いところを持っていってしまうタイガーさん。しかし、人間離れしたパフォーマンスには、それも許せてしまう…….

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