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発掘!未公開映画研究所【インド映画編】『勇者は再び巡り会う』15年4ヶ月と10日…ひとりの女性を想い続けた男の恋の物語!!

発掘!未公開映画研究所【インド映画編】『勇者は再び巡り会う』15年4ヶ月と10日…ひとりの女性を想い続けた男の恋の物語!!

作品情報

若い男女が恋に落ちるも、親が殺し合うほどの敵同士という数奇な運命に仲を引き割かれてしまう。何年もの月日が経ち、過去の出来事として見切りをつけていたはずの2人は思いがけない再会によって、再び恋に落ちていくのだが、またそこにも新たな壁が立ちふさがるのだった…。『チェンナイ・エクスプレス』の監督ローヒト・シェッティと主演シャー・ルク・カーンが再びタッグを組み、シャー・ルクとは、多くの作品で共演する仲のカジョールとの息の合ったダンスシーンは必見!!

監督・脚本・出演

監督:『チェンナイ・エクスプレス』 ローヒト・シェッティ

出演:

ディア・ライフ』『私たちの予感』シャー・ルク・カーン

恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』『トリバンガ ~踊れ艶やかに~』カジョール

『スチューデント・オブ・ザ・イヤー 狙え!No.1!!』ヴァルン・ダワン

『ストゥリー 女に呪われた町』『ハウスフル4』クリティ・サノン

『ハッピー・ニュー・イヤー』『きっと、うまくいく』ボーマン・イラニ

発掘!未公開映画研究所とは?

宗教性の問題、出演者の知名度、お笑いの感覚の違い…などなどの理由によって、日本では公開にいたらない作品が多く存在する。アカデミー賞にノミネートされている作品でも未公開作品は多い。

それもそうだろう、逆にアメリカやフランスで日本の映画が何でも公開されていると言えばそんなわけもなく、全体的に見て1割にも満たないだろう。

日本はそんな中でも割と海外の作品を公開している珍しい国であって、そんな中でもやっぱり公開されない映画というのは山のように存在する。

「発掘!未公開映画研究所」はそんな映画を発掘していくというもので、その中でも更に知名度が低いものを扱っていくつもりだが、必ずしも良作ばかりではない、中には内容がひど過ぎて公開できなかったものもあるのでご注意を!!

そして…未公開映画の宝庫でもある国を見つけてしまった。それはインド映画である。年間1900本前後の映画が公開されているインド。そんな状況にも関わらず、日本で公開されるのは20~30本といったところ。

このペースでは年間で1000本以上の未公開作品が蓄積されていることになるのだ。Netflixの普及によって、劇場公開されていないものやソフト化されていない作品が大量に観られるようになったものの、まだまだ足りない!!

そんなインド映画の魅力を伝え、もっと日本でのインド映画の開枠が広がることを願いつつ、未公開映画研究所のスピンオフ企画として「インド映画」を積極的に紹介していこうと思います。

今回紹介するのは『勇者は再び巡り会う』

短評

ローヒト・シェッティが『チェンナイ・エクスプレス』に続き、シャー・ルク・カーンを主演に迎え、数多くの映画でシャー・ルクと共演するカジョール、『スチューデント・オブ・ザ・イヤー 狙え!No.1!!』などで知られる若手のインド映画スター、ヴァルン・ダワンと『ディア・ライフ』で撮影監督を務めたラクスマン・ウテカルの長編初監督作品『Mimi』が話題のクリティ・サノンらが共演。

ヴァルダンは、2014年に『シャー・ルク・カーンのDDLJラブゲット大作戦』をリメイクした『Humpty Sharma Ki Dulhania』で主演を務めているが、 『シャー・ルク・カーンのDDLJラブゲット大作戦』の主演はシャールクとカジョールとなっており、正に2世代俳優の共演が実現したのだ。

物語のベースになっているのは、シェイクスピア劇。特に何度も映画やドラマの下敷きとなっている「ロミオとジュリエット」に強く影響を受けているように感じられる。

親が敵同士の男女が恋に落ちるという、今となっては、ありがちな物語であるし、比較的ベタな演出が強いが、『チェンナイ・エクスプレス』同様に、古典的な演出を堂々とやってのけるローヒトの作家性が上手く機能していて、ストレートに感動できる男女の愛の物語。

元スタントマンという経験もあって、アクションシーンにこだわりが感じられ、特に車愛を感じずにはいられない、カーアクションの数々には力が入っている。

マイケル・マンの『ヒート』や『コラテラル』であったり、近年でいえば『ワイルド・スピード』などの影響も強いように感じられる。やたら車が回転するのもマイケル・マンの影響だろうか….

ベタとはいっても、この監督、愛のかけひき描写が非常に上手い!!

勘違いと運命のいたずらによって、結ばれなかった2人が思わぬかたちで再会を果たす際のベタベタな演出。しかし、これを堂々とやってのける器の大きさは素晴らしいと言うべきだろう。

彼女を失いモノクロ映像のように見えていた世界が、再会して愛を思い出すことで、色づいていくような演出には、普通に感動してしまった。

インド映画では、最近ではあたり前になりつつあるキスシーンだが、まだこの頃は、宗教上の理由などにより、少し抵抗が残っていて、定番の恋愛映画にあるような気持ちが高ぶるシーンでも、なかなかキスしないのだが、今作においては、そのもどかしさが、互いの気持ちを隔てているもののように感じられて、上手く機能している。

一方、シャー・ルクとヴァルン・ダワンは、兄弟という設定ではあるが、実年齢で見てしまうと、親子に近い年齢差であるため、2世代といってもおかしくないのだが、時代の違い、つまりボリウッドにおいても音楽トレンドの違いが、それぞれのキャラクターのミュージカル・シーンに強く表れている。同じ恋愛映画でも描き方の違いの対比のようになっていて、興味深くもあるのだ。

『勇者は再び巡り会う』はNetflixで現在配信中

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