この映画語らせて!ズバッと評論!!『X-MEN ダーク・フェニックス』(完全ネタバレ)

この映画語らせて!ズバッと評論!!『X-MEN ダーク・フェニックス』(完全ネタバレ)

作品情報

マーベルコミック原作の大ヒット作「X-MEN」シリーズの7作目で、原作コミックでも重要な作品として名高い「ダーク・フェニックス サーガ」を映画化。X-MENのリーダーであるプロフェッサーXの右腕として、メンバーからの信頼も厚い優等生のジーン・グレイだったが、ある宇宙ミッションでの事故をきっかけに、抑え込まれていたもうひとつの人格「ダーク・フェニックス」が解放されてしまう。ジーン自身にも制御不能なダーク・フェニックスは暴走をはじめ、地上の生命体が全滅しかねない、かつてない危機が訪れる。大ヒットテレビシリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』で注目され、前作『X-MEN:アポカリプス』でジーン役に抜てきされたソフィー・ターナーが、今作でも再び同役を演じる。そのほか、プロフェッサーX役のジェームズ・マカボイ、マグニートー役のマイケル・ファスベンダー、ミスティーク役のジェニファー・ローレンスら、おなじみの豪華キャストが出演。これまでの「X-MEN」シリーズや『デッドプール』『LOGAN ローガン』などで製作や脚本を務めてきたサイモン・キンバーグがメガホンをとり、長編映画監督デビューを果たした。

『X-MEN ダーク・フェニックス』レビュー

『フューチャー&パスト』で誕生してしまった別時間軸によるジーン暴走の再映画化

「ジーン・グレイの暴走」と聞いて、以前にも映画化されていたのでは?と思った人も多いはず、確かに旧3部作のラスト『X-MEN:ファイナル・ディシジョン』もジーンの暴走を描いたもので、X-MEN1作目の設定が2000年代ということもあり、どうにも旧作とつながらない。

今回は『 X-MEN:フューチャー&パスト』で誕生してしまった別の時間軸を描いたもので 前作『 X-MEN:アポカリプス』同様に旧作とは別時間軸の物語となっている。そのため、別時価軸によるジーンの暴走というわけだ。

『X-MEN:ファイナル・ディシジョン』でも脚本を務めていて、今回は監督を務めるサイモン・キンバーグは前から「フェニックス・サーガ」の再映画化を望んでいたため、それが実現した結果となった。

しかし、残念なのがこの作品は本来2018年11月公開予定だったのが2019年6月に延期になった背景にはFOXの買収問題があるのだ。

『ガンビット』や次回作であろう作品の製作が発表されていただけに、本当はこの作品でX-MENシリーズをラストにするつもりはなかったことは明白。急ピッチで完結作品に仕上げたことでの影響が作品上の今まで作り上げてきていた、繊細なキャラクター描写にあからさまに悪い影響として反映されてしまっている。

サイモン・キンバーグ2回目の大いなるやらかし

旧3部作のラストとなった『X-MEN:ファイナル・ディシジョン』は個人的にあまり好きではない作品。というのもブライアン・シンガーが手掛けてきた前2作品は人と違う存在である自分に悩むミュータントたちの葛藤や精神面を繊細に描いてきた作品に対して、ラストは単にアクション娯楽作になってしまっていたからだ。

実は今回も同じことをやらかしてしまっている…

『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』から続く新シリーズでもミュータント達の葛藤は大きなテーマとして描かれ、それは現実世界における人種差別や障害者に対するメタファーとなっているのだが、今回はそれがざっくりと描かれすぎてしまっている。

ジーンを暴走させる原因ともなった、宇宙ミッション。これは大統領からじきじきにX-MEN出動要請によるもの。つまりX-MENはシリーズ初、ヒーローチームとして世間から扱われている。

宇宙から戻ってきたX-MENに黄色い声援まで聞こえ、子供はナイトクローラーのコスプレをしている。大きなテーマというかエグゼビアの願っていた「人類との共存」が実現している。

しかし、ヒーローとして見世物の様な生活をしたいのではなく、普通の生活がしたいというレイヴン。それに対し「迫害されて収容所に送られるような悲惨な暮らしよりはマシ」だというエグゼビア。

今までに悪のミュータントとの闘いによって、人類を危機に陥れてきたのも事実として、状況的に人々にミュータントという存在時代の固定概念を根本的に変えることなど不可能な話。となると現状のもとに共存し、争わない手段としては最善な方法ではないだろうか。

脅威であったはずのマグニートーも小さなコミュニティを作って、「もう誰も殺さない」と平和生活宣言までしてしまっているという旧3部作の世界観と比べると夢の様な状況。

しかし、チームを離れようとするレイヴン。自分の考えに反することから学園を後にするキャラクターは以前にもローグやウルヴァリンなどがいたが、それを引き留めたビースト。

その後にジーンの暴走を止めようとして犠牲になったのが実はレイヴン。このことがきっかけで仲間割れするX-MEN。町中で一般人を巻き込んで大ケンカしたことと、ジーンの暴走によって民間人に被害が及んだことで大統領からも着信拒否され、自体は最悪の方向になっていく。

ジェニファー・ローレンスが人気女優になったことで、シリーズの中心核となるキャラクターとして描かれてきたレイヴンの犠牲で物語を無理やり組み立てている。

ラストのヴィランがエイリアンってどうなの?

今までは人間やミュータントを相手に闘ってきたX-MENの今回のヴィランは…シリーズ初の宇宙人。コミックではよくあることだが、映画シリーズでは違和感があるのは事実。

しかも、これまで人類とミュータントの共存をテーマとしてきた作品のラストを飾るヴィランとしてはふさわしいとは言えない。

これが例えば、宇宙人からの脅威には人間もミュータントも関係ない、協力して戦うことで勝利するという方向にストーリーを運ぶというのであればアリなのだが、今回の黒幕が宇宙人だと知る人が生き残っていないことから、破壊行為の責任はすべてX-MENやミュータントに向くわけで平穏な暮らしどころじゃないと思うのだが、なんとなく終わってしまう。

この作品はディズニーの買収による被害者と言ってもいいと思う。最低でももう1作品作るべきだった。

当初の予定がこの作品はあくまでひとつのエピソードであり、次につながる作品であったということを信じたい。

20年以上続いてきたシリーズのラストがこの作品というのは寂しい限りだ

今後MCUに移行されるX-MENシリーズの行方

FOXがディズニーに買収されたことで事実的にMCUに今後移行されるX-MENシリーズ。将来的に「アベンジャーズ」シリーズへの合流も意識されていることはすでに発表されているが具体的なことはまた不明。

『ガンビット』の企画は事実上、白紙となり、『デッドプール』に関しては年齢指定がついた作品ということもあり、今後の展開をどうするかが問題となっているが、何等かのかたちで存続される予定。

ドラマに関しても『レギオン』はシーズン3をもって完結、『ギフテッド』もシーズン2で打ち切りとなった。当初劇場公開が予定されていたホラー要素を盛り込んだ異色作『ニュー・ミュータンツ』は2020年公開延期となっているが、公開自体が危ぶまれていて、動画配信サービスに移行されるという噂もある。

MCUの設定としては『アベンジャーズ:エンドゲーム』によって、マルチバース設定が堂々、解禁になったこともあり、X-MENの登場はストーリー上であまり矛盾は感じさせない地盤はすでに作られている

点数 66点

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