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この映画語らせて!ズバッと評論!!『マーベルズ』ユルいノリが最強ヒーローを等身大の女性に引き戻した!!

この映画語らせて!ズバッと評論!!『マーベルズ』ユルいノリが最強ヒーローを等身大の女性に引き戻した!!
© 2023 MARVEL.

作品情報

アベンジャーズ最強ヒーロー、キャプテン・マーベルの新たな物語。キャプテン・マーベルの“ある過去”を憎み、復讐を誓う謎の敵が現れる。その狙いは、地球をはじめ彼女が守ってきたすべてを滅ぼすことだった。最凶最悪の敵サノスを圧倒する力でも救えない危機が迫るなか、彼女を家族のように慕う敏腕エージェント〈モニカ・ランボー〉、彼女に憧れるアベンジャーズオタクの高校生ヒーロー〈ミズ・マーベル〉と、3 人が入れ替わる謎の現象が発生。これまで一人で戦ってきたキャプテン・マーベルは仲間との運命的な繋がりからチームを結成し、新たな“強さ”に目覚めていく。

『マーベルズ』レビュー

世間が「エンドゲーム」や「ノー・ウェイ・ホーム」がピークで、そこからトーンダウンしているのが、「ワンピース」のインペルダウン編で急増したにわかファンが離れていくのと同じような現象が起きているし、スーパー戦隊や仮面ライダーでも共通する集合映画後の単独映画の難しさという壁にマーベルももれなくぶち当たっている状態が続いている。

一方でDisney+のドラマとの連携をさせ過ぎていて、観ていない人を無視しているという意見もあるが、もはやそんなのは覚悟するべきことである。そもそもDisney+を誕生させた理由が映画尺では描き切れないものをドラマとして描くことで映画と繋げ、コミックと同じように世界観の拡大を目的としていたのだから、これが完成形ともいうべきだ。

『キャプテン・マーベル』となると、ニック・フューリーもコメディリリーフと化し、ユルい雰囲気に包まれている。それが宇宙という壮大なスケールで展開されのだから、そのギャップを楽しむというのがMCUにおける『キャプテン・マーベル』の立ち位置といえる。その点では「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズにも通じる部分はあるが、それとはまた違った雰囲気をもっているのも確かだ。

そこに今回は、2人のキャラクターを追加しチームにすることで、ガールズトーク要素も加わり、独特の雰囲気を作り出すことに成功している。

「ミズ・マーベル」は大のヒーローオタクでとくにキャプテン・マーベルが大好きという設定がスパイスとして上手く機能していて、少し強引にも感じるがミズ・マーベルのノリが、宇宙最強ヒーローとしてパワーバランス的に距離をとらされていたキャプテン・マーベルからキャロル・ダンヴァースという等身大な女性観を引き戻すことに成功したといえる。

アクション映画としては、物足りなさが残るのも確かではあるが、今作においてはアクションやSF映画としての側面から観るよりも、ユルいガールズトークin宇宙として楽しむのが正解なのだろう。

地球を去った後にキャロルが何を思っていたのかなどが描かれていて、一作全てをつじつま合わせに使ったとも言えなくないが、それはそれでよかったのではないかと思えた。

今作の監督を務めたニア・ダコスタは、90年代のカルトホラーのもつ人種問題ホラーとしての側面を強調した『キャンディマン』を手掛けた若手女性監督。

マーベルは特にフェーズ4以降は、アクション畑ではない監督を多く起用することで、新たな化学変化を試みてきたわけだが、ニアが今まで描いてきた貧困や人種といった社会風刺感というものが、今回も描かれていないというわけではない。

資源戦争などは現代社会にも通じるものを連想させるが、ニアの色というものがそこまで出せておらず、これは仕方ないともいえるがヒーロー映画としての色に押されてしまっていて、個性が出しきれておらず、それならそもそも実験的に多様な監督を起用するより、アクション慣れした監督にしても差支えがないように感じるのも、また事実である……。

点数 80

© 2023 MARVEL.

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