作品情報
夜の街へとすべり出す、水色のフォード・サンダーバード。カーステレオから流れるソウルナンバーをBGMに交わされるのは、「お前、びびって逃げんじゃねーぞ」と物騒な会話。互いに素性を知らない一夜限り結成された強盗団が向かうのは、さびれたラブホテル。片手にピストル、頭に目出し帽、ハートにバイオレンスで、ヤクザ組織の資金洗浄現場を“たたく”のだ。仕事は大成功、大金を手にそれぞれの人生へと戻っていく。──はずだった。ヤクザ組織、警察、強盗団、家族、政治家、金の匂いに群がるクセ者たち。もはや作戦なんて通用しない。クズ同士の潰し合いが始まる。最後に笑うのは誰だ!
『グッバイ・クルエル・ワールド』レビュー
タイトルの意味は「さよなら、狂える世界」ということだと、今さら気づいた。
今となっては、職人監督となった大森立嗣のインディーズ時代を思わせるような作品ではあるが、決定的に違うのは、有名俳優を起用しているということだ。有名俳優が出演するインディーズ映画といったようなテイストの作品である。
つまり何が言いたいかというと、人生の底辺や渦でもがく人間模様や、人間は何のために生きているのだろうか、お金さえあれば幸せなのか……など、答えの出ないような、もやっとしたテーマを描いているということ。
そういった群像劇は、インディーズ映画はよく描きがちで、それは低予算で作れるという利点もあったりするからでもある。
しかし、今作はそんなインディーズ風味でなんとなく味付けした有名俳優のジャンル映画であるという物珍しさはあるものの、中身はどこかで観たことのあるような物語の切り張りでしかなく、なかなかスカスカなのだ。
そしてヤクザ像が古いっ!!
高田亮脚本ということもあって、シニカルな視点は相変わらず上手いのだが、映像化すると、どうしても安っぽくなってしまうしインディーズはインディーズで、現在進行形にこういった作風の作品が定期的に作られいるのだから、今さらやってどうなる。
「日本でタランティーノや海外ノワールみたいな作品を撮るとこうなる」といったお手本でもあり、だからやらない方がいいという「反面教師作品」でもある。
点数 72
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