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この映画語らせて!ズバッと評論!!『異動辞令は音楽隊!』拒絶するのではなく、受け入れることで見えてくるものとは?!

この映画語らせて!ズバッと評論!!『異動辞令は音楽隊!』拒絶するのではなく、受け入れることで見えてくるものとは?!

作品情報

犯罪捜査一筋30年の鬼刑事 成瀬司は部下に厳しく、昭和さながら犯人逮捕の為なら法律すれすれの捜査も辞さない男。家族もろくに構わず一人娘・法子からはとうに愛想をつかされている。そんな成瀬は高齢者を狙った「アポ電強盗事件」が相次ぐ中、勘だけで疑わしい者に令状も取らず過激な突撃捜査をしていたが、そのコンプライアンスを無視した行動が仇となり、突然上司から異動を命ぜられる。刑事部内での異動だろうと高をくくっていた成瀬だったが、異動先はまさかの <警察音楽隊>だった……。

『異動辞令は音楽隊!』レビュー

©2022『異動辞令は音楽隊!』製作委員会

コンプライアンスの波というのは、警察にも大きく影響しており、昭和の刑事ドラマのような強引捜査はできない。その時代と人間性とのギャップを描いた作品は今までも描かれてきいた。

しかし、ほとんどの場合が結局は強引さも必要という着地点のものが多く、昭和賛美のようにも思えるような、どっち付かずな作品が多かったし、それが平成という時代の描き方の特徴だったのかもしれない。

今作もテイストとしてはそんな感じに思わせているし、コンプライアンスでガチガチに固まった現代社会の生きづらさを痛感するかもしれないが、着地点がちょっと違っていて、時代に寄り添うものとなっており、否定するだけではなく、受け入れた先に見えるものを描いているのだ。

その点では、デジタル化を拒絶するのではなく、受け入れて前に進もうという『映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者』に少し似ている部分もあった。

一方で、現場一筋で30年勤め上げた刑事が、突然音楽隊に左遷されるといった、ベテランやキャリア組がポンコツ部署に飛ばされて再起を図るといった、ドラマや映画で散々使い倒されてきたサクセスストーリーの王道路線でもあり、阿部寛はドラム経験ゼロからの猛特訓で見事なまでのドラムさばきを披露している。

作中の主人公もドラムは素人という設定なだけに、成長過程が実際に阿部寛のテクニックの上達とリンクしていて、サクスセス・ストーリーとしても見応えがある。

そこに現代的要素が組み合わさっていることで、独特の着地点をもった作品となっているのだ。

どことなく『セッション』のような感じがするが、それもそのはずで、作品自体を参考にしたというのもあるのに加えて、阿部寛がドラムテクニックを習得するうえで、参考にしていたのがアメリカの伝説的ドラマーのバディ・リッチであり、『セッション』の主人公が手本にしていたのがバディ・リッチだからだ。

点数 83

©2022『異動辞令は音楽隊!』製作委員会

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