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この映画語らせて!ズバッと評論!!(先取り版)『さかなのこ』まさかのマルチバース!さかなクンがもし、あの番組に出演していなかったとしたら……

この映画語らせて!ズバッと評論!!(先取り版)『さかなのこ』まさかのマルチバース!さかなクンがもし、あの番組に出演していなかったとしたら……

作品情報

お魚が大好きな小学生・ミー坊は、寝ても覚めてもお魚のことばかり。他の子供と少し違うことを心配する父親とは対照的に、信じて応援し続ける母親に背中を押されながらミー坊はのびのびと大きくなった。高校生になり相変わらずお魚に夢中のミー坊は、まるで何かの主人公のようにいつの間にかみんなの中心にいたが、卒業後は、お魚の仕事をしたくてもなかなかうまくいかず悩んでいた…。そんな時もお魚への「好き」を貫き続けるミー坊は、たくさんの出会いと優しさに導かれ、ミー坊だけの道へ飛び込んでゆく……。

『さかなのこ』レビュー

(C)2022「さかなのこ」製作委員会

今活躍しているアーティストやスポーツ選手など何でもいいが前線で活躍いる才能をもった人々が、もしも別の道を歩んできたとしたら、どこかで躓いて、回り道したとしても、同じアーティストやスポーツ選手になっていただろうか……。

今作はさかなクンの自伝でもあり、実はそうでもない。決定的に何が違うかというと、「TVチャンピオン」というワードが登場しないのだ。

さかなクンというのは、高校3年生のときに「TVチャンピオン」に出演したことで、その強烈な個性と人並外れた知識量が話題となり、それがきっかけで様々なメディアに登場することになったのが、今の地位に至る地盤になっているわけだが、もしその「TVチャンピオン」がなかったとしても、同じように有名になることができたのだろうか……。

つまり「TVチャンピオン」という番組に出演していなかった場合、そもそもそんな番組が存在していなかった場合のマルチバースを描いているのだ。

それでもさかなクンは、どんな回り道をしたって、出会うものが違っても、最終的には、そうなる運命だったということを描いているのだ。

環境が違っていてもカブトガニの人工孵化にも成功していただろうし、イラストレーターとしての才能も開花させていただろう。

なぜマルチバースだといえるかというと、現実とは少し違うという点以外にも、作中にさかなクン本人が登場していることが決定的にそれを裏付けている。さかなクンが演じているのは、魚に詳しい、ちょっと変質者テイストの謎のおじさんであるが、このキャラクターがカメオ出演やお遊び要素ではなくて、実はそれが、私たちが知っているさかなクンであり、別次元の自分を見守っているとしたら、妙に納得ができてしまうのだ。

そして何よりのんが「純粋そのもの」といった目の輝きを披露していて、魚を見たときの感動や驚きがそのまま伝わってくることからも、のんの俳優としての力量を改めて感じる作品ともなった。

ちなみに先生の役でドランクドラゴンの鈴木拓が出演しているが、実はさかなクンの中高同級生という繋がりからだ。

点数 87

(C)2022「さかなのこ」製作委員会

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