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この映画語らせて!ズバッと評論!!『この子は邪悪』楳図かずおのようであり、どこかジョーダン・ピール臭漂う怪奇劇場!

この映画語らせて!ズバッと評論!!『この子は邪悪』楳図かずおのようであり、どこかジョーダン・ピール臭漂う怪奇劇場!

作品情報

かつて一家で大きな交通事故に遭った事で、心に傷を負った主人公・窪花(くぼ はな)を演じるのは、初主演映画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』でブルーリボン賞を始め、数々の新人賞を受賞した南沙良。また、花と心を通わせる少年・四井純(よつい じゅん)を演じたのは、単独では初の映画出演となる大西流星(なにわ男子)。そして、植物状態から目を覚ました花の母・窪繭子(くぼ まゆこ)を桜井ユキ、脚に障害を負った花の父・窪司朗(くぼ しろう)を玉木宏が熱演。さらに、監督・脚本を務めたのは、数多くの脚本を手掛け、3冊の小説も執筆し、監督としては本作が長編3本目となる片岡翔。演技と個性に秀でた豪華キャストが集結し、マルチに活躍する新進気鋭の監督によるオリジナル作品がここに誕生した。

『この子は邪悪』レビュー

TCP(TSUTAYA CREATORS’PROGRAM )の2017年度受賞作品「ザ・ドールハウス・ファミリー」をベースとした作品ではあり、同作では人間の魂を人形やぬいぐるみに移すという、楳図かずおの漫画のようなカルト的な要素を監視ながらも、アウターリミッツやミステリーゾーンのような位置に着地しているのは、ある監督の作品を強く意識したからだろう。

冒頭から怪奇色が強く、ただならぬ雰囲気が漂っている。母親が別人のような感じがしてならないが、それは気のせいなのか……。その真実が明かされたとき、屈折した家族愛の怖さというのが浮き彫りになる。

それに加えて、児童虐待という社会問題の要素も組み込まれていることで、消えゆく命を目の当たりにしたとき、誰かを犠牲にしてでも愛する家族を助けるのか、そもそも児童虐待者に同情の余地があるのだろうか。次々と判明していく衝撃の事実を自分の場合に置き換えて観てみると、その葛藤の重圧が突き刺さってくる・

かなり気になる点は、良くも悪くもといった感じではあるが、演出の面でウサギの使い方がジョーダン・ピールの『アス』と酷似しており、実際に監督いわく意識しているようだ。

元ネタ自体は、ジョーダン・ピールを意識してはいないが、映画化するうえで、強く影響されてしまったのだろう。

ノイズ』の脚本を担当した片岡翔が、監督・脚本を務めていることもあり、『ノイズ』のように詰め込み過ぎて最終的にパンクしてしまうということはなく、ある程度上手くまとまっているが、所々にある雑な設定などは相変わらずであるし、ラストのごたごたをもっと惨劇にしても良かったと思うが、どうもレーティングを意識しているのか、少し遠慮がちな部分に強く違和感を感じてしまう。

『ノイズ』の場合は、欲張り過ぎた感じがしてならなかったが、今作にいたっては遠慮し過ぎたという印象で、丁度良いバランスをなかなか見つけ出せていないのは、もはやバランスを見誤ることこそが、片岡翔の作家性だというべきだろうか…….。

点数 78

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