作品情報
1993年3月、大規模な連続爆破事件が発生。警察は容疑者数名を逮捕したものの、犯罪組織の黒幕と犯行に使われた残りのRDX爆薬を見つけ出すことができずにいた。その後、この事件に関与した人物であるオマールがテロリスト集団ラシュカルを組織。彼の息子リヤズをはじめ40人もの工作員を潜伏させ、再びテロの機会をうかがっていた。一方、連続爆破事件で両親を亡くし、現在はテロ対策部隊を率いるヴィール・スーリヤヴァンシーは、家庭の問題を抱えながらも潜伏中の工作員の摘発とRDX爆薬の捜索に奔走。そんな中、ラシュカルが同時多発テロを計画していることを嗅ぎつける。警察は決して宗教で人を判断しないという決意のもと、家族の信頼を取り戻したスーリヤは、市民を守るため非道なテロリストと対峙する。
監督・脚本・出演
監督: ローヒト・シェッティ『勇者は再び巡り会う』『チェンナイ・エクスプレス~愛と勇気のヒーロー参上~』
脚本: カラン・ジョーハル『家族の四季 -愛すれど遠く離れて-』『たとえ明日が来なくても』
出演:
出演 : アクシャイ・クマール 『ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打上げ計画』『Naam Shabana』
ジャーヴェード・ジャーファリー『バン・バン!』『きっと、うまくいく』
アジャイ・デーヴガン『Gangubai Kathiawadi』『RRR (Rise Roar Revolt)』
ジャッキー・シュロフ『シャウト・アウト』『ハッピー・ニュー・イヤー』
発掘!未公開映画研究所とは?
宗教性の問題、出演者の知名度、お笑い感覚の違い…などなどの理由によって、日本では公開にいたらない作品が多く存在する。そしてアカデミー賞にノミネートされている作品でも未公開作品は多い。
それもそうだろう、逆にアメリカやフランスで日本の映画が何でも公開されていると言えばそんなわけもなく、全体的に見て1割にも満たないだろう。
日本はそんな中でも割と海外の作品を公開している珍しい国であって、そんな中でもやっぱり公開されない映画というのは山のように存在する。
「発掘!未公開映画研究所」はそんな映画を発掘していくというもので、その中でも更に知名度が低いものを扱っていくつもりだが、必ずしも良作ばかりではない、中には内容がひど過ぎて公開できなかったものもあるのでご注意を!!
今回紹介するのは『スーリヤヴァンシー/ジャスティス・スクワッド』
短評
29億1800万ルピー(約51億円) 2021年の興行収入第2位を記録した。少ない気もするが、当時のインドが感染爆発で壊滅状態だったことやコロナ過で半分の席数、閉館になる映画館が続出などを考慮すると、そこそこ健闘したヒット作。
それでも日本では未公開……。なぜかレンタル版『ジャスティス・スクワッド』というタイトルにされてしまった。
アメリカ映画リスペクトなローヒト・シェッティによる「コップ・ユニバース」の第4弾で、今回は「コップ・ユニバース」の主人公たちが集合し、文字通りユニバースが実現している。
作品のテーマとしては、インド・パキスタン問題、『ホテル・ムンバイ』や『パレス・ダウン』などでも描かれた2008年のムンバイ同時多発テロ、ヒンドゥーとイスラムの宗教観など、なかなか社会派なものを扱っている。
イスラム教徒だからテロリストというわけではない、全ては同じ人間。宗教が違うから、国が違っても助け合っている。一部の過激派がテロリストであり、悪なんだ。ということを描いていて、その点は脚本を務めたカラン・ジョーハルの『マイネーム・イズ・カーン』のテーマとリンクする部分が多い。
ヒンドゥーの神ガネーシャの像をヒンドゥーとイスラムが協力して守るという、ちょっと感動的なシーンもあったり……。
社会派ではありながらもベースは娯楽アクション。ド派手なシーンも多く、車がやたら破壊され、カーチェイスも力を入れているなど、いつも通りのローヒト・シェッティ節が炸裂している。
テロリストには決して屈しないという意識も反映されているため、テロリストのバックボーンも描かれるものの、容赦なく抹殺する。そこは勧善懲悪というか、さっぱりとしている。
実際の写真も挿入され、テロ被害の悲惨さを訴えながらも、エンディングでは、アクシャイ・クマール、ランヴィール・シン、アジャイ・デーヴガンがはっちゃけ過ぎている。
社会派であったことが忘れてしまいそうになるほどに、全力でふざけてくれるギャップも含めて今作の魅力だといえるだろう。
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