映画グッズとアメコミ販売ならBuffys Movie Shop

この映画語らせて!ズバッと評論!!『ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打上げ計画』夢が仕事に変わってしまった者たちのセカンド・ドリーム!!

この映画語らせて!ズバッと評論!!『ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打上げ計画』夢が仕事に変わってしまった者たちのセカンド・ドリーム!!

作品情報

アジアで初めて火星の周回軌道に探査機を到達させたインドの実話を基に映画化。2010年、インドの宇宙事業の命運をかけたロケット打ち上げが失敗に終わり、責任者のラケーシュとタラは火星探査プロジェクトという閑職に異動させられる。誰もが実現不可能だと考える火星探査だったが、タラは家庭での料理方法をヒントに、小さなロケットで探査機を火星に送る画期的なアイデアを思いつく。低予算ながらプロジェクト始動を承認されたものの、集められたスタッフは経験の浅い女性ばかり。始めはバラバラのチームだったが、ラケーシュのリーダーシップと女性たちの節約アイデアで、僅かな予算で打ち上げを成功させるべく結束していく。製作チームには『パッドマン 5億人の女性を救った男』のメンバーが再結集。同作で主演を務めたアクシャイ・クマールがラケーシュを演じ、監督を務めたR・バールキが脚本・製作を担当、助監督のジャガン・シャクティがメガホンをとった。

『ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打上げ計画』レビュー

インドも女性の活躍の場が増えてきているとはいっても、まだまだ女性差別が残るインド。一時期の「007」シリーズにおいてのボンドガールのような役割の多い映画も少なくない。女性差別や女性に対しての古い考え方が残る男性問題などの観点から描いた暗い内容での女性主人公映画というものはあったものの、ここまで女性主体の目線でガーリーエッセンスの多いサクセス・ストーリーというのは、なかなか珍しい。

インドにあるディズニー傘下のフォックス・スター・スタジオ作品ということもあって、海外マーケットも視野に入れていることで、あえて厳しい現実というのは、シュガーコーティングされているのかもしれないが、抑えるところは抑えていて、サクセス・ストーリーとしては高いクオリティの作品である。正に娯楽作品である。

実話ベースとはいっても、ある程度はエンターテイメント・コーティングされてはいて、弱小チームが逆転するというベタな構造にはなっているものの、インド映画業界で注目株であり、演技力も定評のあるキールティ・クルハーリーやタープスィー・パンヌーなどの若手女優を集めていて、それぞれのキャラクターが抱えているバックボーンや考え方に特徴をもたせることで、最終的にそれぞれの役割が活きてくるというのは、やはり楽しいものがある。

セカンド・ドリームという観点も素晴らしかった。宇宙開発に携わるという夢を勝ち取って、更にその中でも女性であるというハードルを越えてきたが、それが当たり前となってしまった日常では、「夢」はいつしか「仕事」になってしまった。

宇宙開発事業なんて、なんとなく就職したいと思って入れるような簡単な職業ではないだけに、重役になっている人達も、かつては夢を追い求めていたということに違いはないが、大きくなることで夢が仕事に代わり、企業として世間体や安定を求めるようになってしまった。もともとは無謀なことだったかもしれないのに、その初心を忘れてしまう。

それを思い出させ、あらゆる世代を奮い立たせ、そしてみんなの心がひとつになり、敵対していた者までもがその結果を見守り、気づけば観ている側も感情移入しないではいられない。このベタではありながら、カタルシスの頂点のような構造は、娯楽映画として見事としか言い様がない。

更にインドという特徴を活かしながら、世界に通用するグローバル的観点をもったバランスの作品を作れる様になってきたということにも注目しないではいられない。

インドにおいて映画を観るということは、一大イベントであったという、少し前のニーズではなくなってきているのだろう。まだまだインターネット普及率40%ほどと、低いとはいわれていても、貧富の差がかなりあるし、人口そのものが多いインドとしては、一般的家庭は勿論、少し貧しい郊外を舞台とした『ガリー・ボーイ』の中でも貧しいとは言われながらもスマートフォンやiPadが普及しているような状態である。

そんな中で動画配信サービスがあふれ、Netflixでは多くのインド映画を世界に発信し、また他国の映画を簡単に観られる環境になった現在では、グローバル的観点から、国境は関係なく、誰が観ても高いクオリティが求められる時代になってきたということだ。

そうやって目の肥えてきた国民にとって、やり過ぎアクション、とんでも展開、やたら入るミュージカル・シーンを時間いっぱいに詰め込んでお金をかけておけば、とりあえず楽しんでくれるであろうという、インド娯楽映画業界の安易なマーケティングも効かなくなってきたことで、質より量のボリウッド的思考は通用しなくなってきたのだ。

『ランボー』や『フォレスト・ガンプ』『アジョシ』『ナイト&デイ』などハリウッドの名作やアジアノワールをこぞってリメイクしようというのも、インド映画業界が本気で映画という産業がアトラクション的観点だったものを芸術作品にしなければ客がつかないことがわかってきて、まずは他国の真似から入る。これは、一時期やたら日本のホラーをリメイクしまくっていたアメリカや日本の映画やドラマを片っ端からリイメクし続けた韓国、海外ドラマのリメイクやオマージュを続けてきた日本…といったように各国が当然のようにしていることで、その中で自国のスタイルに変換しジャンルを形成していくという、一種の映画、ドラマ産業の流れである。

日本もインド映画なんて「どうせミュージカルなんでしょ」なんて思って甘くみていたら、あっと言う間に置いていかれてしまうだろう。LGBTQを扱うよりなフリをした腐女子ターゲットのBL映画や、ただの日常を描いたドラマの延長線上的少女漫画映画を量産している場合ではないのだ。

点数 88

この映画語らせて!ズバッと評論!!カテゴリの最新記事