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発掘!未公開映画研究所『ウォント・バック・ダウン -ママたちの学校戦争-』広がる教育格差の犠牲となる子供達をこれ以上増やしてはいけない!!

発掘!未公開映画研究所『ウォント・バック・ダウン -ママたちの学校戦争-』広がる教育格差の犠牲となる子供達をこれ以上増やしてはいけない!!

作品情報

舞台となるのはピッツバーグ。昼は中古車ディーラーで事務員をし、夜は酒場でバーテンダーをしているシングルマザーのジェイミー(マギー・ギレンホール)は、公立小学校に通う娘が文字を読むことができずに教師から満足な教育を受けていないことに不満を抱く。同じ小学校に子どもを通わせている同校の教師ノーナ(ヴィオラ・デイヴィス)も同じ不満を抱き、教師と親の半数が賛成すれば、学校を創り変えることができるという制度を使って学校を建て直そうと動き始める。しかし、教師や教育委員会からの猛反対を受け…

監督・脚本・出演

監督:『ビーストリー』ダニエル・バーンズ

脚本:ブリン・ヒル、ダニエル・バーンズ

出演:

『セシル・B ザ・シネマ・ウォーズ』『ワールド・トレード・センター』マギー・ギレンホール

『フェンス』『ロスト・マネー 偽りの報酬』ヴィオラ・デイヴィス

『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』『サーティーン あの頃欲しかった愛のこと』ホリー・ハンター

デッド・ドント・ダイ』『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』ロージー・ペレス

スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け』『ライフ・イットセルフ 未来に続く物語』オスカー・アイザック

発掘!未公開映画研究所とは?

宗教上の問題、出演者の知名度、お笑いの感覚の違い…などなどの理由によって、日本では公開にいたらない作品が多く存在する。アカデミー賞にノミネートされている作品でも未公開作品は多い。

それもそうだろう、逆にアメリカやフランスで日本の映画が何でも公開されていると言えばそんなわけもなく、全体的に見て1割にも満たないだろう。

日本はそんな中でも割と海外の作品を公開している珍しい国であって、そんな中でもやっぱり公開されない映画というのは山のように存在する。

「発掘!未公開映画研究所」はそんな映画を発掘していくというもので、その中でも更に知名度が低いものを扱っていくつもりだが、必ずしも良作ばかりではない、中には内容がひど過ぎて公開できなかったものもあるのでご注意を!!

今回紹介するのは『ウォント・バック・ダウン -ママたちの学校戦争-』

短評

数多くのドラマや映画、近年でも『ヒンディー・ミディアム』『12か月の未来図』などでも描かれている通り、教育格差は今や世界的に問題視されている。広がる貧富の差の中で影響を受けているのは、労働者だけではなく、子供達も同じである。

時代が進むにつれて、片親や家庭、経済環境の悪い子供たちというのは増え続けている状況で学校が何十年も前のような専業主婦があたりまえとされていた時代のままと過程しての教育というのは、もう通用しなくなっている現実がある。

その中で学習障害を持つ子供達は、補習さえも受けられず放置されいて、子供の成長が給料に影響するわけでもない教師にとっては、他人ごとでしかなく、そのまま放置され続けた子供達は将来もその障害に苦しむことになる。これは周りの大人達が気にかけていてあげてさえいれば防げた障害なのだ。

ハリウッドで活躍しているスティーヴン・スピルバーグやトム・クルーズさえも過去には、学習障害に苦しんだ経験をもつほど私たちには身近なものであり、気づいていない人も多いのだ。

子供に対しての教育環境へのアフターケアが充実している学校は、倍率が高く、抽選に当たらなくては入ることができなかったり、授業料が高額だったりと、子供のころから運や経済問題に直面させられている。

子供の頃からこんな劣悪な状況では、貧富の差や教育格差というのは、増える一方である。

そんな中でできた法律が「ペアレント・トリガー法」だ。これは保護者と教師一定数の同意を集めることで、学校を再構築できるという法律である。今作では、その「ペアレント・トリガー法」を利用して、学校を子供達の教育に適した状態に再構築しようとするが、対立を示すのが教職員組合だ。

教職員組合というのは、文字通り、教職員を守る組合である。学校が一度解体されるということは、教師の雇用という面では、マイナスに働く場合があるからだ。それは、公務員だから何をしていても給料がもらえるとやる気がなかったり、子供に興味がなかった教師は勿論のこと、反対意見を示していた教師も解雇される危険性があったり、学校経営的観点から問題視する部分があるからだ。

やる気のない教師は解雇されて当然だと思うかもしれないが、そういった教師達の雇用を守るのも、 教職員組合の役割であるのだ。

そのため「ペアレント・トリガー法」というのは、教職員組合にとっては、あまり好ましくない法律ということで、反対する者も多く抱えている現実がある。

今作は特に、その法律ができたばかりの2010年頃を舞台としているため、まだ法律に対する不透明な部分なども多く、その不安感から賛成しない者も多かったという非常に難しい時期のため、訴えが通る可能性も低かったのだ。

そこに賛同することで逆に職を失い、保証や年金も失うことになるかもしれない教師にとっても、子供達の教育と自分達の家族や生活を天秤にかけなければいけないという選択を迫られていたのである。

またマギー・ギレンホール演じるジェイミーは、学校の経営能力や知識もないし、行動力はあっても勢いだけで何とかなるという態度が周りを不安にさせるというのは、痛いほど伝わってくるのだが、そこに大きな役割を果たしているのがヴィオラ・デイヴィスの安定感ある演技によるノーナの存在である。

突っ走るジェイミーと、それをフォローするノーナの独特の空気感も今作における見所のひとつと言ってもいいだろう。

それにしても...オスカー・アイザックの歌声は酷いし、マギー・ギレンホールの表情が怖い!!

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