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発掘!未公開映画研究所『ムーンショット』火星に行ってしまったら簡単に後戻りできない、つまり人生において消し去れない失敗のメタファー。

発掘!未公開映画研究所『ムーンショット』火星に行ってしまったら簡単に後戻りできない、つまり人生において消し去れない失敗のメタファー。

作品情報

火星へのチケットを手に入れ損ねた主人公ウォルトは、偶然出会ったソフィーの乗船に紛れてシャトルに乗り込む。ソフィーの助けを借りながら、向かう先は憧れの赤い惑星ただひとつ。人類の究極目標〈火星移住〉が現実に!
果たしてそこには、思い描いた通りの人生が待っているのか?宇宙飛行の果てに辿り着いた【真実】とは―――火星移住計画が現実となった未来を描く、SFアドベンチャー!

監督・脚本・出演

監督:クリストファー・ウィンターバウアー

脚本: マックス・タックス

出演:

コール・スプラウス『ファイブ・フィート・アパート』『サラ、いつわりの祈り』

ラナ・コンドル 『X-MEN:アポカリプス』『アリータ: バトル・エンジェル』

ザック・ブラフ 『終わりで始まりの4日間』『カムバック・トゥ・ハリウッド!!』

メイソン・グッディング 『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』『スクリーム』

エミリー・ラッド『フィアー・ストリート Part 1: 1994』『ロマノフ家の末裔 〜それぞれの人生〜』

ルーカス・ゲイジ『t@gged/タグド』『ホワイト・ロータス / 諸事情だらけのリゾートホテル』

クリスティーン・アダムス『アンホーリー 忌まわしき聖地』『バットマン ビギンズ』

ミシェル・ビュトー『ロマンティックじゃない?』『マリー・ミー』

チェルシー・アラナ・リベラ『グロリアス 世界を動かした女たち』

発掘!未公開映画研究所とは?

宗教性の問題、出演者の知名度、お笑い感覚の違い…などなどの理由によって、日本では公開にいたらない作品が多く存在する。そしてアカデミー賞にノミネートされている作品でも未公開作品は多い。

それもそうだろう、逆にアメリカやフランスで日本の映画が何でも公開されていると言えばそんなわけもなく、全体的に見て1割にも満たないだろう。

日本はそんな中でも割と海外の作品を公開している珍しい国であって、そんな中でもやっぱり公開されない映画というのは山のように存在する。

「発掘!未公開映画研究所」はそんな映画を発掘していくというもので、その中でも更に知名度が低いものを扱っていくつもりだが、必ずしも良作ばかりではない、中には内容がひど過ぎて公開できなかったものもあるのでご注意を!!

今回紹介するのは『ムーンショット』

短評

今作はHBO Max映画として制作された作品であるが、日本においては例によって配信とレンタルスルーとなっている。

『リバーデイル』のジャグヘッド役でお馴染みのコール・スプラウスと「好きだった君へ」シリーズのラナ・コンドルという、どちらもNetflixにおいての人気コンテツコンビがHBO Max映画に出演しているというのも何だか不思議な感覚だ。

火星に行きたいけど、チケットを買うお金もない。毎年選ばれる限られた人物だけが無料で行くことができるため、そのチャンスにかけていた主人公のウォルトは選ばれず、運命を感じていた彼女だけが選ばれてしまう。

ソフィーには火星に恋人がいるが、なぜか行くことを拒んでいる。それは単純にロケットに乗る物理的な恐怖もあるが、それと同時に恋人に近づくことで良い方向に向かう可能性もある一方で関係が崩れてしまう可能性もある両者の可能性に確信が持てない。つまり前に進むことに臆病になっているのだ。

さらに火星というフィールドが、簡単には地球に戻れないという現実社会におけるなかったことにできない究極のメタファーとして機能している。

ティーンにとって、果たしてそこまでの冒険的行動をする価値があるのだろうか。雑念が付きまとってしまう中で、ウォルトの行き当たりばったりな性格と調子に狂わされながらも、いつしかそれが心地よい、妙な駆け引きのない自然体な関係であることに気付いていく。

夢を追いかけ冒険したい気持ちがうずうずしている、勢いと感情に任せるウォルトと、前に進むことに臆病になっているがゆえに、何かと理由をつけたがる論理派のソフィーという、真逆の男女が出会ったとき何かが変わる化学変化を描いているのだ。

それは同情なのか、友情なのか、それも愛なのか……。

未公開作品紹介

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