作品情報
『ブラック・スワン』『アフターマス』の鬼才ダーレン・アロノフスキー監督が、『世界にひとつのプレイブック』『レッド・スパロー』のジェニファー・ローレンスを主演に迎えて描くサイコミステリー。郊外の一軒家に暮らす一組の夫婦のもとに、ある夜、不審な訪問者が現れたことから、夫婦の穏やかな生活は一変。翌日以降も次々と謎の訪問者が現れるが、夫は招かれざる客たちを拒む素振りも見せず、受け入れていく。そんな夫の行動に妻は不安と恐怖を募らせていき、やがてエスカレートしていく訪問者たちの行動によって事件が相次ぐ。そんな中でも妊娠し、やがて出産して母親になった妻だったが、そんな彼女を想像もしない出来事が待ち受ける。
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カルト感満載からか日本では公開中止に
日本で公開中止になった問題作。内容のカルト感は確かにあるものの、公開中止になった理由は?日本人には受けないと思ったのだろか...際どい作品だったとしても小規模のミニシアター公開ならできたのでは?
この映画自体、各国の反応を観たかったと製作サイドが言っているだけに今回のビデオスルーの扱いに対しては残念だろうと思う。
最もハードルの高い原作は”聖書
聖書をベースとして描かれた内容ではあるけど、聖書というのは漫画や小説ではないから描く人にとっては独自の解釈が色濃く反映されてしまうという映画化するには最もハードルの高い”原作”だと言ってもいい。
更にどんな”原作”よりも最も批判を受けるものだけにダーレン・アロノフスキーの勇気には感心させられる。この映画はダーレン・アロノフスキーの映画人生の中での最大級の挑戦とも思える。
批判を恐れていては前には進めないという映画意欲がすごく伝わってくるのは確かなところ。最近守りに入る監督が多い中でこんな大胆なことのできる表現者であり、レアな映画人ではないだろうか。好き嫌いはあったとしても、こんな大きな挑戦ができる監督は大切にすべき人間財産だと思った。
正直この映画自体は特別好きというわけではないけど、この映画を製作したということに対してダーレン・アロノフスキーが改めて好きになった。
1つの作品に複数の温度差
物語の入りとしてはスランプの詩人と妻が暮らしている大きな家にエド・ハリス演じる人物を招き入れたことでその家族まで入ってきてゴタゴタしてしまういうサスペンスもしくはコメディの入りの様な展開ではあるが、のちに色んな人が家に勝手に入ってくる様になって大騒ぎ...という同じ映画ではあると信じられない様な前半と後半の温度差は本当に独特なもので終盤は舞台劇やオペラを観ている様な感覚になる。
正直言って、理解不能な部分や表現も数多くあるものの、それを考えること自体が映画の醍醐味でもあると個人的には思う。
ダーレン・アロノフスキーの頭の中
映画の製作者の中には謎を投げかけるだけで、不思議要素を詰め込むも製作側の明確なビジョンがなく、ただ投げられているものもあるが、この映画の凄いところは製作サイドには”これを描きたい”というビジョンがあって不思議要素が詰め込まれているということろだろう。その内容に関してははっきりとは教えてくれないものの、ダーレン・アロノフスキーの頭の中をのぞく様な感覚になる。
だからこの映画の観方としてははじめに情報を入れないで観て、その後でメイキングを観てからもう一度観たほうがいい。そうすると製作サイドの言いたいことは一応伝わってくる。
本当にこの監督の挑戦心と勇気とそしてついてきた俳優のキャパは称賛に値するだろう。
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