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発掘!未公開映画研究所『プロムナイト(リメイク)』ミスリードなんてさせるものか!ド直球の正体バレバレな殺人鬼

発掘!未公開映画研究所『プロムナイト(リメイク)』ミスリードなんてさせるものか!ド直球の正体バレバレな殺人鬼

作品情報

1980年製作の同名作品のリメイクしたサスペンス・ホラー。かつて残忍なストーカーに家族を惨殺された女子高生が卒業ダンスパーティーで再び恐怖に見舞われるさまを描く。
 高校卒業を間近に控え、プロムを楽しみにしている女子高生のドナ。彼女は3年前、ストーカーと化した学校教師によって両親と弟を殺されるという悲惨な事件に遭っていた。家族を失い悲しみに暮れるも周囲の支えと時の経過で立ち直り、ドナはようやく平穏を取り戻すのだった。そして待ちに待ったプロム当日、恋人ボビーや親友たちと共にパーティー会場へ向かう。しかし、その頃、刑務所に幽閉されていたストーカーが脱走し、再びドナへ接近し始めていた。そんな事態を知る由もなく、プロムを満喫するドナ。やがて、プロム会場に潜入したストーカーは生徒たちを次々に血祭りにあげていく。こうして、いよいよドナも追いつめられてしまうのだが…。主演は『ヘアスプレー』『ピッチ・パーフェクト ラストステージ』のブリタニー・スノウ、共演は『キャッツ』『ザ・スーサイド・スクワッド』のイドリス・エルバ、『ダークネス』『エージェント・オブ・シールド6』のミンナ・ウォンなど。

発掘!未公開映画研究所とは?

宗教性の問題、出演者の知名度、お笑いの感覚の違い…などなどの理由によって、日本では公開にいたらない作品が多く存在する。アカデミー賞にノミネートされている作品でも未公開作品は多い。

それもそうだろう、逆にアメリカやフランスで日本の映画が何でも公開されていると言えばそんなわけもなく、全体的に見て1割にも満たないだろう。

日本はそんな中でも割と海外の作品を公開している珍しい国であって、そんな中でもやっぱり公開されない映画というのは山のように存在する。

「発掘!未公開映画研究所」はそんな映画を発掘していくというもので、その中でも更に知名度が低いものを扱っていくつもりだが、必ずしも良作ばかりではない、中には内容がひど過ぎて公開できなかったものもあるのでご注意を!!

今回紹介するのは『プロムナイト(リメイク)』

短評

アメリカの卒業シーズンといえば、様々な映画やドラマでも描かれることが多いプロムを題材としたスリラー。

オリジナル版は『ハロウィン』『ザ・フォッグ』などホラー映画に連続して出演したことでスクリーム・クィーンとも呼ばれたジェイミー・リー・カーティスが主演を果たした1980年のホラー映画で、のちに続編が4作まで製作されたが、少しずつおバカな路線に移行していった作品でもある。

そんな「プロムナイト」シリーズがちゃんとホラーであった1作目のリメイクとなる今作ではあるが、リメイクといっても物語はほとんど別ものとなっていて、共通する点はプロムと凶器と女性が主人公ということぐらいではないだろうか。

とにかく2000年代は多くのホラーがことごとくリメイクされてきた。『悪魔のいけにえ』『悪魔の棲む家』『血のバレンタイン』『暗闇にベルが鳴る』『サランドラ』などなど…

今作が製作された2008年頃は、メジャータイトルはすでにリメイクされてしまっていて、誰も知らないようなものをリメイクしては、オリジナル作品の知名度を利用するというリメイクの目的が満たされないということで、重箱の隅をつつくようなかたちで中間的な知名度のホラーリメイクが目立っていた。

主演のブリタニー・スノウは3シーズン続いたファミリードラマ『American Dreams』に出演していたが日本では放送されていないし、ビデオもリリースされていないということで、知名度が全くない。となると俳優で呼び込むのは難しいと考えたのか、日本公開は見送られた。

よくホラーやスリラー映画で犯人が犯罪者や精神病患者に意図的にミスリードさせておいて、実は犯人は身近な人物という手法があるが、今作は気持ち良いほどに直球で犯人が精神病患者ということを隠そうともしないし、正にその通りなのだ。

『13日の金曜日』のジェイソンや『ハロウィン』のマイケル・マイヤーズみたく犯人がバレバレでも超人的な殺人鬼であることから、警察が歯が立たないというのも理解できるし、オリジナル版『プロムナイト』のオマージュを取り入れた「スクリーム」シリーズの犯人は超人ではないが、誰かわからないようにカフラージュして油断させていた。

しかし、今作の殺人鬼は、身元が完全にバレていて、ターゲットも誰かわかっている状態。ましてや超人でもない。となると警察や刑事が警護している状態で新たな被害者を出してしまっていることは、警察の無能さに他ならないのだ。

過去に家族を惨殺された主人公が、やっと心の傷を癒してくれる恋人と家族に出会い、高校を卒業するというときに再び惨劇が巻き起こるという設定は良いとしても、肝心の殺人鬼のインパクトが弱すぎて、全体的に地味な映画に仕上がってしまっている。

今でこそリブートというワードが当たり前となったが、当時は何でもリメイクと言っていたからリメイクという扱いになっているが、オリジナルに手を加えて、独自の作品に仕上げているという点では、今作はリブートといった方が正しいのかもしれない。

余談ではあるが『暗闇にベルが鳴る』が 2006年に『ファイナル・デッドコール』としてリメイクされ、2019年『ブラック・クリスマス』としてリブートされたように、リブートという名の2度目のリメイクな波がそろそろ来るのかもしれない。

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