作品情報
イギリスの小さな町で暮らす、エマ・ウッドハウス。容姿端麗で利発、そして裕福な彼女は、女王様気取りで周囲の恋のキューピッド役を楽しんでいた。しかし、いくつかの失敗から自身の欠点を認識していくうち、彼女はずっとそばにあった愛に気づき始め…。
監督・脚本・出演
監督: オータム・デ・ワイルド
脚本: エレノア・カットン
出演:
アニャ・テイラー=ジョイ『ミスター・ガラス』『ラストナイト・イン・ソーホー』
ジョニー・フリン『時の面影』『ブルックリンの恋人たち』
ミランダ・ハート『SPY/スパイ』『くるみ割り人形と秘密の王国』
ビル・ナイ『MINAMATA-ミナマタ-』『幸せの答え合わせ』
ミア・ゴス『インフォマニアック』『ハイ・ライフ』
カラム・ターナー『さよなら、僕のマンハッタン』『愛しい人から最後の手紙』
ルパート・グレイヴス『Vフォー・ヴェンデッタ』『シンクロ・ダンディーズ!』
発掘!未公開映画研究所とは?
宗教性の問題、出演者の知名度、お笑いの感覚の違い…などなどの理由によって、日本では公開にいたらない作品が多く存在する。アカデミー賞にノミネートされている作品でも未公開作品は多い。
それもそうだろう、逆にアメリカやフランスで日本の映画が何でも公開されていると言えばそんなわけもなく、全体的に見て1割にも満たないだろう。
日本はそんな中でも割と海外の作品を公開している珍しい国であって、そんな中でもやっぱり公開されない映画というのは山のように存在する。
「発掘!未公開映画研究所」はそんな映画を発掘していくというもので、その中でも更に知名度が低いものを扱っていくつもりだが、必ずしも良作ばかりではない、中には内容がひど過ぎて公開できなかったものもあるのでご注意を!!
今回紹介するのは『EMMA エマ』
短評
『プライドと偏見』などで知られるジェーン・オースティンの代表作のひとつで、グウィネス・パルトロウ主演で映画化された以外にも、今までに5回も映画化されている作品である。
第93回アカデミー賞において衣装デザイン賞にノミネートされていたものの、惜しくも受賞を逃したが、個人的には、『マ・レイニーのブラックボトム』よりもこちらの方が、美術的な観方でいうとクオリティが高いように感じられる。
全体的に明るいシーンが多く、衣装や小道具、壁紙なども淡い色使いで、これは衣装担当のアレクサンドラ・バーンだけではなく、監督のオータム・デ・ワイルドはライロ・カイリーやBeckのミュージック・ビデオを手掛けてきただけのことはあって、そのセンスも大きく反映されているように感じられる。
観ていて飽きない画作りは、もっと評価されてもいいぐらいだが、新型コロナでアメリカどころか日本までも未公開になってしまったことは残念でならない。
現代的解釈も多く含まれていて、コメディ要素も強い点は、ソフィア・コッポラの『マリー・アントワネット』に通じるものもあって、変に堅苦しくない。
アニャ・テイラー=ジョイがコミカルな役どころを演じるのも、なかなか珍しく、ストレートな恋愛映画、ラブコメとしても、今まであまり演じてこなかった役どころではある。
他人の縁結びが大好きだけど、自分は恋も知らない「世界名作劇場」に登場するような主人公で、史劇とはいっても、現代の少女漫画やラブコメのようだ。
男女の恋愛におる葛藤は、かなり王道的であって、少女漫画やラブコメの基本として意識されている作品であるということがよく伝わってくる。
キャラクターの家柄や身分、関係性に関して詳細が説明不足なままストーリーが展開されていくため、初見や舞台設定に詳しくないと、理解し辛いのはやや難点である。
主人公のエマは、単純にお節介というわけではなく、人と人とを繋げることに快感を得ていることもあって、人の心がどう変化するかを計算して研究している中で、自分自身が意図せず恋に落ちてしまう。
自分の手の内で転がしていることに快感を覚えていたハリエット(ミア・ゴス)との間に友情が芽生えていく点も見所のひとつだ。
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