
作品情報
イギリス人女性は、父を捜しにインドへやって来た。だが、滞在費を稼ぐため、いかがわしいマッサージ店で働く羽目に。厳しい現実の果てに、彼女を待つものとは?
監督・脚本・出演
監督: アヌラーグ・カシャプ 『血の抗争 Part1』『ボンベイ・ベルベット』
脚本: アヌラーグ・カシャプ、カルキ・ケクラン
出演: カルキ・ケクラン『ガリーボーイ』『人生は二度とない』
グルシャン・デーヴァイヤー『燃えよスーリヤ!!』『BLURR』
ナシールディン・シャー 『ダーティ・ピクチャー』『人生は二度とない』
クムド・ミスラ『ロックスター』『ラーンジャナー』
ディブヤ・ジャグデール『ミモラ 心のままに』『スタンリーのお弁当箱』
発掘!未公開映画研究所とは?

宗教性の問題、出演者の知名度、お笑い感覚の違い…などなど様々に理由によって、日本では公開にいたらない作品が多く存在する。そしてアカデミー賞にノミネートされている作品でも未公開作品は多いのが現実だ。
それもそうだろう、逆にアメリカやフランスで日本の映画が何でも公開されていると言えばそんなわけもなく、全体的に見て1割にも満たないだろう。
日本はその中でも割と海外の作品を公開している珍しい国ではあるが、やっぱり公開されない映画というのは山のように存在する。
「発掘!未公開映画研究所」はそんな映画を発掘していくというコンセプトのもので、その中でも更に知名度が低いものを扱っていくつもりだが、必ずしも良作ばかりではない、中には内容がひど過ぎて公開できなかったものもあるのでご注意を!!
今回紹介するのは『イエローブーツの娘』
短評

『人生は二度とない』『若さは向こう見ず』などに出演し、近年はフェミニズム活動家としても知られるカルキ・ケクラン。そんなカルキにまだまだ幼さが残る頃の作品で、メイクの影響もあってアヴリル・ラヴィーンのようなビジュアルをしている。
いわゆるボリウッドやトリウッド、コリウッドのようなメジャー系の映画産業には属さず、インデペンデント系のアート作品といったところだ。
ストーリー自体はシンプルで、生き別れになった父親を捜して、イギリスからインドにやって来た少女の物語だ。しかし、手がかりもあくまりなく、探すにも資金がいるということで、性的なサービスも行うグレーゾーンというか、限りなくブラックなマッサージ店で働きながら、父親を探す日々をおくる。
その中で探していた父親ではないかと思わしき男が客としてやってくる。まさかそんな男がと思いつつも、証拠が揃っていくことで嫌な予感がしてくるが、父も実は娘と知っていて性的なサービスを受けに来ているのかと考えると、またそれはそれで問題で、 自殺した姉の死因が父親にあるのではと考えると、姉との近親相姦の疑いも出てきたりして、なかなか闇の深い物語に発展していく。
少しばかりハートフルな人間ドラマに落ち着くのかと思いきや、鬱展開の連続でとにかく究極に嫌な父親との再会を描いているといえるだろう。
唯一、主人公の恋人未満なボーイフレンドがずっとバカであり続けることに救いがあるぐらいで、終始嫌な物語だ。
「血の抗争」シリーズで知られるインド映画界のアウトロー的な存在であるアヌラーグ・カシャプ、その攻めの姿勢はモキュメンタリー映画『AK VS AK』でもネタにされていたほどが、今作を観てもやっぱりとがった監督であることは間違いない。

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