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発掘!未公開映画研究所『クレイジー・グッド』ティファニー・ハディッシュのぐいぐいが止まらない!!

発掘!未公開映画研究所『クレイジー・グッド』ティファニー・ハディッシュのぐいぐいが止まらない!!

作品情報

姉を守るため立ち上がる不良妹の奮闘を描いたコメディドラマ。刑務所から出所したばかりのターニャは、キャリアウーマンの姉ダニカの家に転がり込む。ある日、ダニカがネットで知り合った怪しげな男と交際していることを知ったターニャは、生真面目な姉がだまされているのではないかと考え、調査を開始するが……。姉ダニカを『ジェームス・ブラウン 最高の魂を持つ男』『ソニック ザ・ムービー』のチカ・サンプター、妹ターニャを『アンクル・ドリュー』のティファニー・ハディッシュ、2人の母親を『天使にラブ・ソングを』のウーピー・ゴールドバーグがそれぞれ演じる。フォーブス誌の「エンタテインメント業界で最も稼いだ人物」で3位にランキングされ、俳優や監督、脚本家、プロデューサーなど幅広く活躍するタイラー・ペリーが監督・製作・脚本を手がけた。

発掘!未公開映画研究所とは?

宗教性の問題、出演者の知名度、お笑いの感覚の違い…などなどの理由によって、日本では公開にいたらない作品が多く存在する。アカデミー賞にノミネートされている作品でも未公開作品は多い。

それもそうだろう、逆にアメリカやフランスで日本の映画が何でも公開されていると言えばそんなわけもなく、全体的に見て1割にも満たないだろう。

日本はそんな中でも割と海外の作品を公開している珍しい国であって、そんな中でもやっぱり公開されない映画というのは山のように存在する。

「発掘!未公開映画研究所」はそんな映画を発掘していくというもので、その中でも更に知名度が低いものを扱っていくつもりだが、必ずしも良作ばかりではない、中には内容がひど過ぎて公開できなかったものもあるのでご注意を!!

今回紹介するのは『 クレイジー・グッド 』

タイラー・ペリーによる黒人コメディ映画

『バイス』『ゴーン・ガール』などに出演する俳優しても知られるタイラー・ペリーによる2018年の黒人コメディ映画。

日本には知名度のない俳優を多く起用したコメディ作品で、特に黒人文化を取り入れた作品が多いために、どうしても日本ウケがよくないということから、毎回DVDスルーや配信のみという扱いをされてしまっている。

本作もアメリカでは人気女優である、チカ・サンプターやスタンダップコメディからキャリアをスタートさせ、『サタデー・ナイト・ライブ』では、アフリカ系アメリカ人としては初となるホストも務めたコメディエンヌのティファニー・ハディッシュなどのスターが多数出演している作品ではあるが、日本での知名度は全くと言っていいほどなく、今回もDVDスルーとなってしまった。

ティファニー・ハディッシュのぐいぐいが止まらない!!

刑務所から仮出所してくることになったターニャだが、ターニャはとにかく下品で口が悪く、他人のプライバシーなんて関係なくヅケヅケと割り込んでくるというぐいぐいキャラで、更にそんなキャラクターをコメディエンヌのティファニー・ハディッシュが演じているから、もう収集がつかない!!

このハイテンショ&ぐいぐいキャラクターが苦手という人は、この映画は苦痛でしかないかもしれない。

厄介者ではあるが、根は優しく、姉を気遣う部分もみせるが…どうもキャラクターのクセの強さが邪魔してしまう。

人気リアリティ番組とのコラボ

MTVのリアリティ番組として2012年からスタートした『キャットフィッシュ ~リアルレポート ネット恋愛の落とし穴~』とのコラボが実現。

ターニャが姉のダニカが出会い系で知り合った男に夢中になっているということで、おせっかいにも番組に応募してみると、見事に採用されて、『キャットフィッシュ ~リアルレポート ネット恋愛の落とし穴~』のネフとマックス本人が登場する。

『キャットフィッシュ ~リアルレポート ネット恋愛の落とし穴~』とは、出会い系などのネット上のなりすましを突き止めるというリアリティ番組で『世界まる見え!テレビ特捜部』内でも何度か紹介されているため、観たことがある人も多いのではないだろうか。ちなみにHuluでも配信されている。

アンバー・ライリーが初の映画メインキャラクターを演じる

ドラマシリーズ『glee』では、メインキャラクターのメルセデスを演じていたアンバー・ライリー。テレビ映画『My One Christmas Wish』などに出演するものの、劇場用映画としては、初のメインキャラクターでの出演作となる。

『ドリームガールズ』では、ジェニファー・ハドソンが演じたエフィ役のオーディションを受けており、予選で落選してしまったが『アメリカン・アイドル』にも出場するなど、苦労人であるが、2016年には舞台版『ドリームガールズ』でエフィ役を演じることになった。

そんなアンバーの演技にも注目してもらいたい。20代後半で高校生役を演じていたのに違和感がなかったが、今回30代の役でも違和感がないのは凄い。

近年の活躍としては、『リトル・マーメイド・ライブ』やベラ・ソーン主演のクライム・サスペンス『Southland』にも出演している。

短評

キャリアウーマンとしてバリバリと働くダニカは、出会い系サイトで出会った男チャーリーと熱愛中だが、その男とは1度も会ったことがない。

しかし、ダニカの理想の相手像であるチャーリーを運命の相手だと信じて疑わないダニカは毎日ウキウキ状態であり、アプローチをしてくるカフェの店員フランクも軽くあしらっていたが、刑務所に入っていたトラブルメーカーの妹ターニャが仮出所してくることから歯車が狂っていくというコメディ映画である。

アメリカでは人気のチカ・サンプターとティファニー・ハディッシュのダブル主演ではあるが、日本での知名度は全くと言っていいほどないため、DVDスルーとなってしまった。

ダニカの価値観には、犯罪をしては、逮捕されるという黒人の負のスパイラルが大きく影響しており、一種のトラウマともなっている。

そんなことも気にしないターニャは、とにかく口が悪いし、下品で他人のプライバシーなんて関係ないというダニカとは正反対のキャラクター。とにかぐいぐいと攻めてくるターニャに悩まされながらも、ターニャのゴリ推しもうあってフランクと急接近していく。

ターニャがチャーリーの存在を疑って、リアリティ番組に依頼して以降、チャーリーとの連絡が途絶えてしまっており、ターニャもチャーリーが存在しないと思うようになり、フランクと付合うようになっていくが、フランクに逮捕歴があることから、彼に惹かれていても、一歩踏み出せないという微妙な距離感が続く中、存在していないと諦めていた理想の男チャーリーが目の前に現れることで理想と現実との間で揺れ動くダニカの話が中心となっていくことから、気づくと前半でぐいぐいと画面いっぱいに暴れまわるターニャの影が後半では、かなり薄くなっていることに気づかされる。

前半のハイテンション・コメディのノリは嘘のように、後半のラブロマンス調は、ハイブリッド作品というよりは、バランスの悪い配分になってしまっていて、この映画の核となるべき存在である、ティファニー・ハディッシュの味が死んでしまっている

ラブストーリーとしては、少しご都合主義な部分もあるが、まとまっている。しかし、ハイテンション・コメディとしては完全に途中で失速しているとしか言いようがない。

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