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発掘!未公開映画研究所『ナイトスクール』大人しいティファニー・ハディッシュが観られるだけでも貴重な作品

発掘!未公開映画研究所『ナイトスクール』大人しいティファニー・ハディッシュが観られるだけでも貴重な作品

作品情報

人気急上昇中の黒人コメディ俳優で『ジュマンジ/ネクスト・レベル』『ゲット・ハード』のケヴィン・ハートと『ガールズ・トリップ』『キアヌ』のティファニー・ハディッシュが共演を果たした2018年公開のコメディ映画。監督を『ロール・バウンス』『アンダーカバー・ブラザー』のマイケル・D・リーが務める。日本では未公開でソフト化もされていないが、アマゾン・プライム・ビデオなどの一部の動画配信サービスで視聴するこが可能。

発掘!未公開映画研究所とは?

宗教性の問題、出演者の知名度、お笑いの感覚の違い…などなどの理由によって、日本では公開にいたらない作品が多く存在する。アカデミー賞にノミネートされている作品でも未公開作品は多い。

それもそうだろう、逆にアメリカやフランスで日本の映画が何でも公開されていると言えばそんなわけもなく、全体的に見て1割にも満たないだろう。

日本はそんな中でも割と海外の作品を公開している珍しい国であって、そんな中でもやっぱり公開されない映画というのは山のように存在する。

「発掘!未公開映画研究所」はそんな映画を発掘していくというもので、その中でも更に知名度が低いものを扱っていくつもりだが、必ずしも良作ばかりではない、中には内容がひど過ぎて公開できなかったものもあるのでご注意を!!

今回紹介するのは『ナイトスクール』

短評

最近になって、メジャー系映画でもよく観るようになった黒人コメディ俳優ケヴィン・ハートが主演を務め、脚本にも参加しているが脚本の才能は、あまりなさそうだ。

物語の入り口はおもしろいと思うし、個性豊かなキャラクター達との友情やドラマ性も王道的ではあるが、単純に楽しめた。

いつもハイテンションでぐいぐい来る役のティファニー・ハディッシュが今回は、割と大人しい。『サタデー・ナイト・ライブ』やスタンドアップ・コメディ、今までの出演作品からの流れで彼女の活躍を期待していた人は、少し拍子抜けしてしまうかもしれいが、個人的には、それが逆に新鮮であった。

ティファニー・ハディッシュが最も美しい映画と言ってもいいかもしれない。その点だけでも今作は観る価値のある作品と言ってもいいだろう。

しかし、結末が粗末で何が結局描きたかったのかが、理解できなかった。

勉強が大の苦手で、高校も途中で投げ出して中退してしまったテディは、一流企業で働くキャリアウーマンの彼女リサに対して、バーベキュー用品店で働く自分が不釣り合いだと感じながらも、愛は本物でおもいきってプロポーズして、OKも貰った矢先に職場を爆破してしまい、職を失うが親友が働く証券会社に推薦されるが、入社基準として、どうしてもGED(高校卒業資格)が必要となったことでGEDを取得するために、ナイトスクールに通うという入り口である。

店を爆破して、職を失ってもテディを見捨てないリサは非の打ちどころがない理想の相手である。

テディも元々の目的は、GEDを取得して安定した状態で結婚をするというものだった。

しかし、物語が進むにつれて、テディが教育障害であることが発覚することで、ティファニー・ハデッシュ演じるキャリーと猛特訓するという展開となり、見事に克服していくのだが、テディは血迷ったのか、格差のある自分を信じて待っていてくれているリサを裏切りキャリーと浮気しようとする。

結果的にキャリーはレズビアンであることが判明し、浮気は未遂に終わるわけだが、この展開にするのであれば、リサは格差に拘る悪女でなければいけない。

リサが悪女であれば、自分のことを認めてくれたキャリーと仮に結ばれたとしても映画的バランスは保たれる。

単純に考えてテディのやったことは最低だったし、その後キャリーと恋愛関係に発展するわけでもないため、入れる必要もないシーンを入れてしまったという印象が残ってしまうのと同時にテディを見直していた観客を一瞬で裏切り、更に今まで築き上げてきた映画的バランスが崩れ去ってしまったのだ。

その後、何もなかったかの様に、リサとは恋人同士として関係を存続させていくというのも最低な話なのにも関わらず、そのまま展開されていくテディの成長物語には、一切の感情移入ができなくなってしまう。

ティファニー・ハディシュが良くも悪くも大人しいといういうこともあり、今回ばかりはコメディとしてのごり押し展開ができないだけに、このストーリー上の問題点は作品を大きく揺るがすものなのである。

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