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THE映画紹介『たとえ明日が来なくても』プリーティ・ジンタファン必見のニューヨーク・ファッションショー!!

THE映画紹介とは?

THE映画紹介とは…劇場公開中には観れなかったもの、公開中に観たんだけれども…レビューする前にリリースされてしまったもの、単純に旧作と言われるものを独自の偏見と趣味嗜好強めに紹介するもの。

アメリカ映画、インド映画、ドイツ映画、アジア映画、アニメ、ドキュメンタリー….なんでもあり!!

今回紹介するのは『たとえ明日が来なくても』

作品情報

シャー・ルク・カーンが主人公の少女の恋を手助けするムードメーカー的な青年を演じるラブ・ストーリー。全編NYロケを敢行し、そこで暮らす家族の物語が繰り広げられる。NYで暮らす少女ナイナはレストランを経営する母を助け、弟や妹の面倒を見ている。だが、同居する祖母のせいで家の中は険悪な雰囲気。そんなある日、隣人の家にアマンという陽気な青年がやってきて、彼は一躍人気者になる。

『たとえ明日が来なくても』基本情報

2003年製作/186分/インド
原題: Kal Ho Naa Ho

監督 : ニキル・アドヴァーニー

脚本: 『マイネーム・イズ・ハーン』『家族の四季 -愛すれど遠く離れて-』 カラン・ジョーハル

出演 :

チェンナイ・エクスプレス』『勇者は再び巡り会う』シャー・ルク・カーン

恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』『クリッシュ』プリーティ・ジンタ

Bhoot Police』『インド・オブ・ザ・デッド』サイーフ・アリー・カーン

家族の四季 -愛すれど遠く離れて-』『Laaga Chunari Mein Daag: Journey of a Woman』ジャヤー・バッチャン

勇者は再び巡り会う』『トリバンガ ~踊れ艶やかに~』カジョール

あなたを夢みて』『家族の四季 -愛すれど遠く離れて-』ラーニー・ムケルジー

短評

『チェイス!』のカトリーナ・カイフのようにヨーロッパの血が入っているわけではないが、どことなくハーフ感のあるプリーティ・ジンタ。今作の舞台はニューヨークということもあって、よりそれを強く感じる。

そんなプリーティのダンスシーンは、いわゆる「ボリウッド・ダンス」とは違って、アメリカやイギリスのクラブで踊っているようなポップなものから、インドのディスコ・クィーンとしての印象も強く、『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』のボリウッド・スターたちの豪華ダンスシーンでも、プリーティの特徴としてポップな振付がされていた。

彼女の存在自体も全体的にポップであって、そんな彼女の登場によって、ボリウッドでの女性像にも大きな影響を与えたといわれている。

脚本はヒットメーカーのカラン・ジョーハル。

カランの特徴的な部分は多国籍な文化の中で発展していく、他国に移住したインド人の目線と対照的に、自国の保守的であるインド人の両者を描くことで、インド全体、特にボリウッドにおいて、グローバル化を後押しした。

『さよならは言わないで』や『マイ・ネーム・イズ・ハーン』の頃まで行くと、よりそれが強く感じられるが、まだこの頃や『家族の四季 -愛すれど遠く離れて-』では、少々手探りな感じがする。

しかし、それも当時の「表現の自由」の限界があったのも理由として大きく、時代やカランなどの新たな風を吹き込む若手クリエイターたちの活躍によって、ボリウッドがアップデートされていった様子も、カランの作品を観ていくとグラデーションのように感じることができる。

同時に「家族」や「絆」の強さをストレートに描くことも特徴であり、この点に関しては、なかなかベタな展開が、お好きなようで、ストーリーベースは王道である。

王道ではあり、今回は監督は務めていないが、演出もベタである。

ビックリしたり、衝撃的なシーンは、俳優の顔がズームになる演出は今回も使い倒されている。タランティーノまではいかないまでも、日本でも『半沢直樹』が同じような演出をしているだけに、物語の邪魔になるというわけではない。

ベタな演出という点で2000年代は、台湾や韓国映画・ドラマと同じ路線を走っていた気がしてならない。韓国映画に関しても、コテコテで笑えないコメディ・シーンが入り込むのも似ている。

正直、寒気のするコメディ・シーンもあったりするが、そこと後半のシリアスな展開のギャップが、何気ない日常の中にも悲劇や、逆に大きな喜びも隠れているということを映し出しているようでもあって、実は必要なのかもしれない。

今ではインド映画というと、アジア映画の中でも飛びぬけてきてはいるが、グローバリズムの点からいえば、スタート位置は同じであり、それがどんどん枝分かれしていったようだ。

今作の特徴的な部分は、さすがファッション・デザイナーとしての顔も持つカランだけのことはあって、プリーティのファッションが多彩で、それがまたニューヨークの景色に映えることである。

今回も主演はシャー・ルク・カーン、そしてカランの初監督作品『何かが起きてる』からの長い付き合いのカジョールとラーニー・ムケルジーもカメオ出演していることもあって、 カラン自身も物語と同様に「絆」を大切にしているように感じられる。

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