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リヤ・デュガルにスークリティ・カッカー、シルパ・ラオなどが参加した『PATHAAN/パターン』日本で唯一の音楽徹底解説!!

■ Jim’s Theme

まずジョン・エイブラムス(『アタック』『さよならは言わないで』)演じるジムが冒頭で登場するシーンふくめ、登場シーンに何度か使用されている「Jim’s Theme」という曲は、 シッダールト・アーナンド作品でいうなら『 WAR ウォー!! 』、近年の話題作でいうならプラバース主演映画『Adipurush』やアーリヤー・バット主演映画『ガングバイ・カティヤワディ 』などの音楽も制作しているサンチット、サンチット・バルハラによるスコアとなっている。

ところがそのなかに「ララララ~ラ」というコーラスが入っている。このコーラスは姉妹デュオ「シメトリ」のリヤ・デュガルと「インディアン・アイドル」シーズン9の出場者としても知られるマーニャ・ナランによるもの。

リヤに関しては、単独で何度も紹介しているし、「NEXA Music」の特集を通して「block FM」の記事「A・R・ラフマーンによる、インドからグローバルアーティストを発掘・育成するプロジェクト「NEXA Music」はインド音楽の歴史を変えるのか?!」やラジオ番組「バフィー吉川のI-POP IMPACT!」の第2回「インド音楽の歴史が動くかもしれない!「NEXA Music」特集!!」、NHK-FMの「GReeeeN HIDEの ミドリの2重スリット」などでも紹介してきたアーティストであり、今後活躍が期待できる若手アーティストのひとりだ。

ちなみにマーニャは2018年の時点で好きな俳優にシャー・ルク・カーンとディーピカー・パードゥコーンを挙げており、今作に参加したことで願いが叶ったともいえる。

■Pathaan’s Theme

シャー・ルク・カーン(『ブラフマーストラ』『命ある限り』)演じるパターンが、冒頭の拷問シーンから脱出する際に使用されているのは、オープニングテーマともいうべき「Pathaan’s Theme」だ。

『バンバン!』でいうならThe S.P.Joyの「Are You Ready To Blow」に相当する役回りの曲といえるだろう。

開始して50秒ほどで女性ボーカルの歌声が入るが、これは『ブラック・ウィドウ』や『キャプテン・マーベル』などの楽曲にも参加するイギリスのゴスペルシンガーのマグダレナ・スペルによるもの。

ただそれよりも驚かされたのは、「ウウウウ~」というコーラスとして参加しているメンバーの豪華さである。

なんとこのコーラスシーンでは、カマクシ・カンナ、シャノン・ドナルド、 アヌバ・カウル、グウェン・フェルナンデスといった、4人の若手アーティストの歌声をシンクロさせているのだ。

インディーズで活躍している者もいれば、プレイバックシンガーとして活躍する者もいる。アヌバ・カウル は「フォー・モア・ショット・プリーズ!」シーズン3の「Force of Nature」で知られているし、 カマクシ・カンナも「モダン・ラブ:ムンバイ」の楽曲に参加したりアメリカツアーもしているなど、単独でもそれなりの実力がある若手アーティストをコーラスだけに使用しているという豪華なのか、何なのか訳のわからないものとなっている。

■Pathaan x Tiger Theme

ロシアで捕まってしまったパターンを助けにくる、サルマン・カーン(『何かが起きてる』『バジュランギおじさんと、小さな迷子』)演じるエージェント・タイガーは『タイガー 伝説のスパイ』と『Tiger Zinda Hai』に登場するキャラクターであるが、登場シーンに使用されているのが「Pathaan x Tiger Theme」だ。

「 Pathaan’s Theme 」と「Jim’s Theme」同様にスコアメインの曲となっているが、前半と後半のブリッジ部分に「ラッタッタタ~」というコーラスが入ってくる。

このコーラスを担当しているのは、「Jim’s Theme」にも参加していたリヤ・デュガルである。

■Besharam Rang

パターンとルバイが初めて出会うシーンで使用されている曲である「Besharam Rang」は、YouTubeで配信されると2週間もたたずに1億回以上再生され、世界のトレンド上位にランクインし、マイリー・サイラスやシャキーラ、BTSといった強豪のミュージックビデオを抜いてトップに君臨した。

そんな「Besharam Rang」の透き通るような歌声の正体は、シンガーソングライターとしても大御所プレイバックシンガーとしても活躍するシルパ・ラオと『 闇の帝王DON ベルリン強奪作戦』や『さよならは言わないで』など、シャー・ルク主演作品にも何度か参加したことのあるカラリサ・モンテイロの歌声をシンクロさせたものだ。

一方男性パートは、『チェンナイ・エクスプレス 〜愛と勇気のヒーロー参上〜』『スチューデント・オブ・ザ・イヤー 狙え!No.1!!』などボリウッド映画の曲を多く手掛け、シッダールト・アーナンド作品としては『バンバン!』の「Tu Meri」でお馴染みのヴィシャール=シェカール(ヴィシャール・ダッドラニ、 ラヴィジアニー )が作曲もしながらボーカルとしても参加しいる。

そして振付を担当したコレオグラファーは、 『ラガーン』や『私たちの予感』、『命ある限り』など、シャー・ルクが主演を務めた数々のボリウッド映画にも参加しているほか、「ジャスト・ダンス」「Zara Nachke Dikha」などのオーディション番組の審査員としても活躍する ヴァイバヴィ・メルチャント

■Jhoome Jo Pathaan

エンディングで使用されている「Jhoome Jo Pathaan」は、エキゾチックなラテン調の楽曲に思えるかもしれないが、おそらく意識しているのはアラビアポップである。

男性プレイバックシンガーの大御所中の大御所アリジット・シンとヴィシャール=シェカールによる男性パートに、姉妹デュオのスープラ(カッカー姉妹)として活動するアーティストでもあり、多くのボリウッド映画でプレイバックシンガーとしても活躍するスークリティ・カッカーが女性パートとして参加。

スークリティがシッダールトの作品に参加するのは、今回が初めてとなる。

この曲の振付けを担当したのは、シッダールト作品ではお馴染みのボスコ・マルティスとシーザー・ゴンサルベスによるコレオグラファー・ユニット「ボスコ=シーザー」だ。

また今作はドバイでも大がかりなプロモーションが行われた。

それに伴いアラビック・バージョンも制作されており、そちらではグリーニとジャミラ・エル・バダウイというアラビア圏で人気の高いアーティストが歌っている。

ちなみにシャー・ルクの新作『ジャワン』の作中曲「Chaleya」のアラビック・バージョンもこのふたりが歌っている。

【PATHAAN/パターン作品情報】

監督:シッダールト・アーナンド『バンバン!』『WAR ウォー!!』

出演:シャー・ルク・カーン『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』 

ディーピカー・パードゥコーン『トリプルX:再起動』

ジョン・エイブラハム『ディシューム』

配給:ツイン

9月1日(金)新宿ピカデリーほか全国ロードショー

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