イントロダクション
ストーリー
スタッフ・キャスト
監督 : カラン・ジョーハル『家族の四季 -愛すれど遠く離れて-』『たとえ明日が来なくても』
脚本 : カラン・ジョーハル『家族の四季 -愛すれど遠く離れて-』『たとえ明日が来なくても』
ニランジャン・アイエンガール『心~君がくれた歌~』『ラ・ワン』
出演 : シャー・ルク・カーン『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』『チェンナイ・エクスプレス 〜愛と勇気のヒーロー参上〜』
ラーニー・ムケルジー『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』『あなたを夢みて』
アビシェーク・バッチャン『チェイス!』『ハッピー・ニュー・イヤー』
アミターブ・バッチャン『家族の四季 -愛すれど遠く離れて-』『ピンク』
クレジット
撮影:アニール・メータ
音楽 :シャンカル・マハデーヴァン
編集 : サンジャイ・サンクラ
2006年/インド/カラー/193分
短評
今作はカラン・ジョーハルが脚本を務めた『たとえ明日が来なくても』に続き、ニューヨークが舞台となっている。
その後の『マイネーム・イズ・ハーン』も舞台がアメリカということもあり、カランが本格的にアメリカ進出を目指していたことがわかる時期であり、結果的に出戻りしてしまった感じはするものの、この世界を相手に攻めた姿勢というのは、次世代の映画人に多大な影響を与えたことは言うまでもない。
今作はインド映画としては、今でも珍しい本格不倫劇であるというのも、カランが古い概念を壊してきたことが感じられる。男性の不倫は容認されたとしても、女性が不倫をしたともなれば、社会的地位が脅かされる。それはどこの国も同じかもしれないが、単身の女性が家を出て、ひとり暮らしをしようとしても賃貸契約ができない場合などもある。
ヒンディー語圏内は、あまりないにしても、昔ながらの女性蔑視的風習のある保守的な地域や家系では、親が娘を殺しても、不倫が理由であれば罪にならない場合がある「名誉殺人」というものまで存在している。
これは宗教的な理由があって、ヒンドゥー教では、解釈や宗派によって多少考え方も違ってくるが、離婚がタブーとされているからだ。それが女性側に問題があったともなれば、世間からの物凄い嫌がらせがある。ただからこそ舞台がニューヨークになっているのだろう。それでも今作は、批判があったのではないかと思う。
ライトな不倫という表現が良いのかはわからないが、今作はなかなかの家庭内ドロドロ不倫であって、がっつりな昼ドラの世界だ。娯楽大作常連のシャー・ルク・カーンやラーニー・ムケルジーが主演ということもあって、油断していた人も多いのではないだろうか。
舞台はニューヨークで視点を逃がしているとしても、インドでも公開されるインド映画が前提ということや、当時の表現規制もあって、性的描写はそれほど無く、あっても控えめになっているが、キスシーンができない分、犬のように首筋を舐め合うような描写が逆にいやらしい……。
しかも鬼畜なパートナーではなく、パーティがやたら好きという価値観の違いはあるにしても、悪い人間ではないため、デヴ(シャー・ルク・カーン)とマヤ(ラーニー・ムケルジー)の不倫が行われている裏でクラブで踊っているリヤ(プリーティ・ジンタ)とリシ(アビシェーク・バッチャン)のシーンは、ノリノリの音楽なのに、なんだか妙に切なくなってしまう。
アビシェーク・バッチャンとアミターブ・バッチャンの実親子共演にして、実親子役というのも、リアリティがあるのだが、それ以上に不倫による末路の厳しさを描きつつ、不倫された側の優しさによって、辛うじてハッピーエンドに仕上がっている。
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