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この映画語らせて!ズバッと評論!!『イン・ザ・ハイツ』2021年最高のエンターテイメント!原作超えの熱量と色彩感はスクリーンで観ないと勿体ない!!

この映画語らせて!ズバッと評論!!『イン・ザ・ハイツ』2021年最高のエンターテイメント!原作超えの熱量と色彩感はスクリーンで観ないと勿体ない!!

作品情報

ピューリッツアー賞、グラミー賞、エミー賞、トニー賞、ハリウッド・ウォーク・オブ・フェームの星を受賞するなど今やミュージカル界のみならずエンターテイメント業界にその名を轟かす「ハミルトン」のリン=マニュエル・ミランダの同名ミュージカルが原作。作詞・作曲家、脚本家、俳優、ラッパーと多才ぶりを発揮するミランダの天才ぶりと人気を世界に認めさせたのは、NY、ロンドンをはじめ「世界中で最もチケットが取れないミュージカル」と異例の人気で社会現象を巻き起こしているブロードウェイ・ミュージカル「ハミルトン」。トニー賞最優秀作品賞をはじめ 11 部門を受賞、そのあまりのクオリティの高さと楽曲の鮮烈さに世界中から観客が押し寄せている。そんな彼の処女作にして、トニー賞で作品賞と楽曲賞を含む4部門を受賞(13 部門ノミネート)、国内外で高い評価を受け、彼の類まれな才能を決定づけた「イン・ザ・ハイツ」は、映像化がずっと望まれながらも実現することのなかった傑作ミュージカル。映画化権争
奪の末、いよいよ待望の映画化となった。ディズニーアニメーション『モアナと伝説の海』でラップを含む映画音楽の作詞・作曲を手掛けたリン=マニュエル・ミランダだが、自身の宝物ともいえる『イン・ザ・ハイツ』への力の入れようは別格。原案のみならず製作、作詞・作曲でも全力を注ぐ本作では、主要キャストにアジア系俳優のみを起用し全米 3 週連続 No.1、さらには世界中で大ヒットという映画史に残る偉業を成し遂げた『クレイジー・リッチ!』(18)のジョン・M・チュウ監督とタッグを組む。まさに今一番注目されるヒットメーカーの 2 人が、ミュージカル史上最高にダイナミックで情熱的なミュージカルで世界に新しい旋
風を巻き起こす

『イン・ザ・ハイツ』レビュー

©2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserve

私自身、試写で2回観て、公開後にも観に行く予定をしている2021年最高のエンターテイメント作品。

本来であれば、2020年に公開される予定の作品でありながら、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、延期ほ余儀なくされたため、2021年以降に劇場公開が予定されていた映画版『ハミルトン』が前倒しでDisney+で配信スルーとなったこともあって、アメリカではHBO Maxでの同時配信という想定外なことも加わったといっても、何とか公開できたことを喜びたい。

ニューヨーク市マンハッタンの最北の居住区・155丁目を起点とした約40ブロックの「ワシントン・ハイツ」

原作者であり、今回は出演もしていて、製作にも関わっているリン=マニュエル・ミランダの故郷であり、脚本のキアラ・アレグリア・ヒューディーズは、今も住んでいるコミュニティ「ワシントン・ハイツ」は、近年はラテン系が多くなったが1980年代はドミニカ人が多く、それからイタリア、アイルランド、ユダヤ系なども加わり、多種多彩なコミニュティへと成長していった。

距離として、都心にすぐ近くでありながら、「近くて遠い」

アメリカとうのは、移民の国であるいうのに、その移民の中でも、差別感情や格差が生まれてしまう。得に都心部では社会的なマウントに耐えられず、似通った者たちでコミニティを作り、そこで集まった者たちとの心地良い居場所に執着してしまうもあるが、不法移民など、 社会から追いやられて、そこでしか生きられなかったワケありな人達も加わることで、コミニティ自体が一括りなイメージで見られてしまうと、そこで育った若い世代は、なかなかそこから抜け出せなくなってしまうという、生まれた頃から逆境に立っているというような負のサイクルが発生してしまうのだ

劇中の「96000」という曲は、原作の舞台においても人気の高い楽曲で、10年ほど前にもアリアナ・グランデのアカペラ動画が話題になったりもした曲だが、この「96000」というタイトルは、宝くじの当選金額のことである。「ワシントン・ハイツ」の住人たちが、「自分が当たっていれば…」という夢や希望が歌として表現されているのだが、逆に言えば、宝くじでも当たらない限り、なかなか夢が叶い難い環境ということを表している。

©2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserve

そんな負のサイクルを断ち切ろうとする「ワシントン・ハイツ」の住人たちの中でも、特に若者世代、ウスナビ、ベニー、バネッサ、ニーナからなる、4人の視点にスポットを当てて描かれ、そこに関わってくるサブキャラクターの視点や別の世代の視点も加わるとで、とても濃厚な群像劇に仕上げていながら、何とかそこから抜け出したいという希望が歌として表現されていることで、どの曲も力強いものばかりとなっている。

「ワシントン・ハイツ」の住人でなくても、自分の置かれている環境から抜け出せなくなっている者というのは、多くの異なった人種が暮らすアメリカという国なら、どこにでも共通するものであり、どこの国でも、今の自分に満足できていない者であれば、共感しないではいられないのだ。

アンソニー・ラモス演じるウスナビは、「ワシントン・ハイツ」で、食料雑貨店(字幕ではコンビニとあったが、コンビニというより、アメリカでは昔からあるミニスーパー、食料雑貨店と言った方が正しいと思う)の雇われ店長をしながら、故郷のドミニカに戻りたいと計画をたてている。

アンソニー・ラモスという俳優は、2012年から舞台版にも出演していて、当時はウスナビの従弟で映画版も登場するソニーを演じていて、2018年からは、今回と同じくウスナビ役を演じている。その他にも『ハミルトン』でジョン・ローレンスとフィリップ・ハミルトンを演じていることもあって、リン=マニュエル・ミランダの作品では常連であり、なくてはならない存在。

映画としては、『アリー/スター誕生』では、レディーガガ演じるアニーの友人役として出演するものの、歌うシーンはなかった。同じくミュージカル・アニメである『トロールズ ミュージック★パワー』では歌うシーンはあったものの、声を加工されているキャラクターを演じていたため、本格的なアンソニーの歌声を聴ける劇映画は、今作が初と言ってもいいだろう。

そんなアンソニーが、キャラクター達を紹介していく冒頭の曲「イン・ザ・ハイツ」から、いきなり心を鷲掴みにされてしまって、こんなハイスピードで突っ走って、「映画的なバランスは大丈夫なのか?」と思ってしまうが、そんな不安もすぐに吹っ飛んでしまう。逆に中だるみがなく、テンポ良く進み過ぎてしまう分、143分という上映時間を全く感じさせず、もっと観ていたいという欲求から、何度でも観たくなる「中毒感」が余韻として残るほどだ。

ファッション・デザイナーを目指しているメリッサ・バレラ演じるバネッサは、自分の夢に向かって、前向きに進もうとしているが、ラテン系、「ワシントン・ハイツ」の住人というイメージが邪魔をして、社会的信用を得られないことから、スタート時点から足を挫かれてしまっている。

一方、レスリー・グレイスが演じるニーナは、タクシー会社を経営する父のもとで育ち、大学に進出するために「ワシントン・ハイツ」を出ていった、憧れの存在として描かれる。ニーナは唯一の成功事例として、希望の象徴のようにも思われているが、実は社会からの扱いに耐えられなくなり、戻ってきてしまった。

希望を持つ者、挫折した者、挑戦すること自体が難しい者…あらゆる苦悩を抱えた若者たちを、良い意味で上手くキャラクターとして分別していることで、かなり観やすく、そしてシンプルでもある。

そこに厚みを増すのが、「ワシントン・ハイツ」の母のような存在であるアブエラの存在である。アブエラを演じているのは、2007-2008年のブロードウェイ、オフブロードウェイ時代に舞台版でも同じ役を演じたオルガ・メレディスということもあって、安定感がある。

移民としてアメリカにやってきたルーツを知ってる人物であり、社会からの偏見を最も肌に感じてきていながら、次の世代には負のイメージよりも、希望を持たせるように導いてきたからこそ、「ワシントン・ハイツ」の住人たちは、逆境にも耐え抜ける信念を持ったものが多いという部分に紐づけることができているのだ。

自分のしてきたことが間違っていなかったことを感じながら、次の世代に橋渡しをしていく描写も悲しくもあるが、どこか前向きに「時代は変わる」ということを表現しており、そこで使用されている楽曲「Paciencia y Fe」も非常に味わい深いものとなっている。

©2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserve

ミュージカルというものは、歌って踊るハッピーな現実逃避と偏った見られたをしてしまうのだが、実はミュージカルというのは、戦争、公民権運動、人種差別、LGBTQといった、社会問題を反映した題材のものが多く、比較的ライトな視点から立ち返って、改めて観ることで、複雑化していたものが解ける作用も持っていると私は信じているだけに、ミュージカルを語ると熱くなってしまう…

今作で監督を務めたジョン・M・チュウは『ジェム&ホログラムス』『ステップ・アップ2:ザ・ストリート』などの音楽映画を多く手掛けていることでも知られている人物であるが、近年においては、アメリカ映画でありながら、オールアジア系キャストで挑んだ『クレイジー・リッチ!』の功績が大きい。

この監督の特徴として大きいのは、「色彩感覚の豊かさ」である。これは、今まで手掛けてきた映画の中でも確認することができるのだが、『クレイジー・リッチ!』では、よりその長所が強調されていたのだが、残念なのが、そこまでの色彩感覚をもってして、『クレイジー・リッチ!』がミュージカルではないことだった。

満を持してというべきだろうか、そんなジョン・M・チュウのセンスが抜群に発揮され、オリジナル舞台の世界観と融合することで、舞台版では表現が難しかった奥行き感というのを全面に出すことに成功している。

映画ならではのフォトジェニックなシーンも多くあって、舞台の本質からは全くズレることはなく、再現度を維持しつつ、独自の色彩センスを加えて、全く新しい『イン・ザ・ハイツ』を作り出してしまった!!

これは完璧と言っても過言ではなく、同じく舞台の映画化である『ウィケッド』のオファーがきたことも納得がいくし、まだまだミュージカル映画のオファーが殺到するのではないだろうか。

今年は、新型コロナで延期が続いていたものが繰り越して、今年公開になったことで、ミュージカル映画が渋滞になっている。

スティーヴン・スピルバーグの手によってリメイクされた『ウエスト・サイド・ストーリー』やアレサ・フランクリンの半生を描いた『リスペクト』も今年公開されるが、おもしろいという表現が適切かはわからないが、 35歳という若さでこの世を去った『レント』で知られる劇作家ジョナサン・ラーソンの自伝的作品をNetflix映画『Tick, Tick… Boom!』も今年公開されるということ。

『Tick, Tick… Boom!』の監督を務めたのが、 リン=マニュエル・ミランダということだ。アカデミー賞やゴールデン・グローブ賞の作品賞や監督賞で今作と『Tick, Tick… Boom!』がノミネートされれば、同じ人物の原作作品と監督作品がぶつかるという構図ができるだけに、気が早いかもしれないが、今作は間違いなく賞レースにおいては、何かしらヒットしてくることは間違いないだけに、今からノミネート作品の発表が待ち遠しい。

CREDIT

©2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserve

オフィシャルサイト:http://intheheights-movie.jp/

オフィシャルTikTok:https://www.tiktok.com/@intheheightsm…#インザハイツ

監督:ジョン・M・チュウ『クレイジー・リッチ!

製作:リン=マニュエル・ミランダ『モアナと伝説の海』作曲/歌、ミュージカル「ハミルトン

出演:アンソニー・ラモス『アリー/スター誕生』『トロールズ ミュージック・パワー

コーリー・ホーキンズ『キングコング:髑髏島の巨神』『ウォーキング・デッド』『ブラック・クランズマン

レスリー・グレース

メリッサ・バレラ『カルメン』

ダーシャ・ポランコ『オレンジ・イズ・ニューブラック』『ジョイ』

オルガ・メレディス「イン・ザ・ハイツ(舞台版)」

ジミー・スミッツ「スター・ウォーズ」シリーズ 、『デクスター 警察官は殺人鬼

配給:ワーナー・ブラザース映画

© 2020 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

『イン・ザ・ハイツ』2021年7月30日(金)公開

©2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserve

点数 97

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