作品情報
『マルコムX』『インサイド・マン』で知られる社会派であり、人種問題を扱うことが多いスパイク・リー、製作に第90回アカデミー賞でサプライズ受賞した『ゲット・アウト』のジョーダン・ピールのタッグにより、実在した黒人でありながら、KKK(白人至上主義団体;クー・クラックス・クラン)に潜入捜査をした刑事の自伝的ノンフィクション小説をベースとした作品。
コロラド州コロラドスプリングスの警察署で、初の黒人刑事として採用されたロン・ストールワース。署内の白人刑事たちから冷遇されながらも捜査に燃えるロンは、新聞広告に掲載されていたKKKのメンバー募集に勢いで電話をかけ、黒人差別発言を繰り返して入団の面接にまで漕ぎ着けてしまう。しかし黒人であるロンはKKKと対面できないため、同僚の白人刑事フリップに協力してもらうことに。電話はロン、対面はフリップが担当して2人で1人の人物を演じながら、KKKの潜入捜査を進めていくが……。
主演には『ザ・ウォーカー』『マルコムX』のジョン・デヴィッド・ワシントン、共演には『スター・ウォーズ』新3部作においてカイロ・レンを演じ、『沈黙サイレンス』などにも出演しているアダム・ドライバー、『スパイダーマン3』『プレデターズ』のトファー・グレイス、『アリスのままで』『恋するベーカリー』のアレック・ボールドウィンなど。
社会派スパイク・リーの描くシリアス&コメディ
この作品は1979年を舞台としており、人種差別が残る時代背景ながら、更に過酷であろうKKK(白人至上主義団体)に黒人が潜入するという、コメディの様でありながら、笑っていいのか不安になる様な際どい内容を絶妙にマッチしているのは『ゲット・アウト』のジョーダン・ピールが製作に入っていることを感じさせる。建前としては犯罪ドラマではある。
従来のテイストのスパイク・リー作品が好きな人にとっては、好き嫌いが分かれるかもしれない。
KKKって何?
人種差別を描てきたスパイク・リー作品でも『マルコムX』や『アメリカン・ヒストリーX』、他の人種差別を扱った映画などにもたびたび登場したり、名前が出てきたりするKKK(白人至上主義団体)とは、一体何なのか。
KKK=クー・クラックス・クラン
1920年から続く白人至上主義団体であり、その名の通り白人(正確には北方人種)が人として上の存在であるとし、黒人やヒスパニック、同性愛者などに異を唱える活動を行っており、過激な言動や行動がたびたび問題視されている、知られていそうで知られていない、アメリカの闇の部分である。
団員のことをクランスマンといい、この映画のタイトルは黒人のクランスマンという意味である。
アカデミー賞の表を持つ、関係者の中にもKKKと繋がる者がいる場合は、賞レースに少なからず影響する可能性はあるが、同時に最近のアカデミー賞は黒人映画がトレンドでもあり、91回目に関しては『ブラックパンサー』『グリーンブック』も黒人がメインに扱われている作品ということもあり、作品賞の3作品が黒人系映画となるだけに、それほど影響力があるとも思えないが、ここまで黒人系作品が揃うと逆に黒人団体が動いていそうな気がしなくもない。
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