作品情報
2009年アフガニスタンで圧倒的多数の敵兵に囲まれた米軍基地の兵士たちの実話を、スコット・イーストウッド、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、オーランド・ブルームらの共演で映画化したミリタリーアクション。09年10月3日、アフガニスタン北東部の山奥に置かれた米軍のキーティング前哨基地で、300人以上のタリバン戦闘員に対し、約50人の米兵が立ち向かった「カムデシュの戦い」を映画化した。アフガニスタン北東部に位置するキーティング前哨基地は、米軍の補給経路を維持するための重要な拠点とされていたが、四方を険しい山に囲まれた谷底に位置しており、敵に包囲されれば格好の的になってしまうという弱点があった。連日のようにタリバン兵から銃弾が撃ち込まれ、そのたびに誰かが命を落としていくという過酷な環境の中で、同基地に派遣されてきたロメシャ二等軍曹らは、「いつ圧倒的多数の敵に囲まれてしまうか」という不安を抱きながら任務に就いていた。そしてついに、その恐れていた事態が現実のものとなり、タリバン兵の総攻撃が開始される。監督は『ザ・コンテンダー』のロッド・ルーリー。
『アウトポスト』レビュー
アフガニスタン北東部に位置するキーティング前哨基地は、360度全方位から敵から攻撃が可能な最悪の立地である。
キーティング前哨基地は軍事拠点というよりは、インフラ整備や地域住民の支援、パキスタンから密輸阻止などが目的の警備拠点であった。
警備拠点であろうと、そもそも何故、そんなところに基地があるのかという問題なのだが、それはアメリカに時間も予算もなかったため、雑に設立されたものであったのだ。
作品の中で兵士たちが上司にいら立っていた背景には、そういった国の体制からである。
そんな劣悪な環境で案の定、敵からの攻撃を受け、次から次へと仲間が負傷し、死んでいく。寝ている間もトイレ中も気を抜くわけにはいかないという極限状態で、とにかく早く帰りたいというのに、撤退日が延長される。
いつ攻められてもおかしくないという極限状態の中ではあるが、なかなか大きな戦闘がないため、気を抜くわけにはいかなくても、どうしても気を抜いてしまっていたりすると、一気に現実に戻される。
それは観ている側も同じで、何気ないシーンで急に人が死ぬため、常に緊張感が漂う。
この緊張感を表現できたのは、監督のロッド・ルーリーには従軍の経験があり、その常に死と隣り合わせである緊張感を自分自身が経験してきたからというのもあるからなのだ。
そして、ついにノンフィクション小説『レッド・プラトーン 14時間の死闘』でも描かれていた「カムデシュの戦い」が2009年10月3日に起きてしまう。「カムデシュの戦い」とは、基地にいた約50人の米軍に対して300人以上のタリバン兵が一斉に襲いかかってきた戦いのことを指している。
次から次に湧いてくるタリバン兵に味方が撃たれ、基地が破壊されていく様子は、正に洋ゲーのシチュエーション的であり、一気にアクション映画としての側面が見えてくる。
実際に当時、その場所にいた兵士も出演しており、逐一答え合わせを重ね、経験者の体験談を細かく取材を重ねた結果、キャラクター造形にリアリティを出すことに成功している。
クリント・イーストウッドの息子スコット・イーストウッドとメル・ギブソンの息子マイロ・ギブソンの2世俳優共演も見所のひとつでもあるのだが、個性派で知られるケイレブ・ランドリー・ジョーンズが普段やらないような役をやっていて、新境地をつかんだようにも思える。
偶然かもしれないが、オーランド・ブルームが戦争映画に出演すると、毎回高いところから落ちるのは何なのだろうか...
点数 80
- ネットもSNSも遮断されたインドの全寮制女子高を舞台に、少女たちは”自分”とは何者なのかに葛藤する!!『女子高生は泣かない』
- 第96回アカデミー賞:映画評論家バフィー吉川の最終受賞予想!事実上『オッペンハイマー』のひとり勝ち状態か?!
- インド音楽界の歴史が動いた!22年ぶりのメジャーガールズユニット”W.i.S.H.”誕生!K-POPに次ぐ世界市場を狙う!!
- この映画語らせて!ズバッと評論!!『マダム・ウェブ』始まらないドラマのプロローグを観ているような感覚になるが、若手女優たちが唯一の救い!!
- 【ちょこっとレビュー】地域復興ムービーとして応援したい気持ちを裏切るほど中途半端な主人公像『レディ加賀』
コメントを書く