作品情報
アルバム総売上2億5000万枚を超え、音楽史上最も人気のあるアーティストの一人、セリーヌ・ディオン。14人兄弟の末っ子として生まれ、後の夫となるプロデューサーに才能を見いだされた彼女は12歳で歌手デビュー。以降、スーパースターとしての階段を駆け上がり、数々の名曲を世に贈り出してきた。本作では、今なお輝きを放つセリーヌの半生を初めて映画化!何といっても見どころは、セリーヌの数々の不朽の名曲と共に完全再現されたゴージャスなステージ。音楽映画の傑作に、その名を連ねる決定版が誕生した!
『ヴォイス・オブ・ラブ』レビュー
今作は特殊な構造の映画である。セリーヌ・ディオンの伝記映画ではなく、あくまでセリーヌの人生をベースに描いたフィクションであって、セリーヌではないとうことだ。
名前もアリーヌとされてはいるものの、楽曲はそのまま。周りのキャラクターもあきらかにセリーヌ関係者に似せてあるのだが、プライベート間でしかわからないことは、タブロイドや書籍、ドキュメンタリーなどでリサーチを重ねてはいるものの、肝心の心理描写は完全に第3者の視点であって、「おそらくこうであったのだろう……」という創作が入り混じっていて、何よりセリーヌ本人の監修も入っていなければ、見てもいないという、あくまで実話ベースのフィクション。
スプリームスがベースとなっている『ドリームガールズ』でも、楽曲はオリジナルであるだけに、フィクションというていにすることが可能だったわけだが、今作に関しては、楽曲はセリーヌのそのままカバーであるのに、主人公はセリーヌではないという不思議なものとなっている。
何より凄いのが、監督・主演・脚本を務めたフランスの女優ヴァレリー・ルメルシエが12歳の頃から演じていることだ。
しかもCGでコーティングして、若くみせるという気もないみたいで、12歳の顔が明らかに50代の顔のままであり、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』を観ているか、もしくはコメディ番組の皮肉的な再現ドラマのようであって、違和感が凄い。
辛うじてヴィクリア・シオの圧倒的な天才的歌唱力がバックアップしてくれているものの、やはりヴァレリーへの違和感がそれを上回ってくる。
ヴァレリーのセリーヌに対しての愛は伝わってくるし、演じ切ったことは逆に一周回って評価に値するほどではあるが、周りの製作陣たちが、ゴーサインを出したことに対して疑問が残る。
点数 78
2021年12月31日(一部都内劇場で12月24日)ロードショー
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