作品情報
100日間のワニの日常と、そこから100日後の大切なものを失った仲間たちの姿を描いたアニメーション映画「100日間生きたワニ」がいよいよスクリーンに登場。監督・脚本は、原作に込められたメッセージに強く共感し映画化を熱望した「カメラを止めるな!」の監督・上田慎一郎とアニメーション監督としても活躍するふくだみゆき夫妻、脚本開発中にコロナ禍に直面し、劇的に変わってしまった日常と価値観の変化に戸惑いながらも、その気持ちを登場人物たちに重ね、新たに構成を練り直し、より深いメッセージのこもった脚本が仕上がりました。
そんな監督らの思いに感銘を受け集結したスタッフたち。「宇宙戦艦ヤマト」をはじめ歴史的名作を手掛けてきた日本のレジェンドアニメーター・湖川友謙がコンテ・アニメーションディレクトとしてペンを持ち、J-POPを牽引する巨匠・亀田誠治が劇伴を担当、いきものがかりが主題歌を書きおろし作品を彩る。
また主人公ワニの声には神木隆之介、親友のネズミに中村倫也、同じく親友のモグラに木村昴、ワニが恋するセンバイ役に新木優子、そして映画オリジナルキャラクターのカエルに山田裕貴と、豪華俳優陣らがキャラクターに命を吹き込む!
こんな時代だからこそ、大切なものを見つめ直し、前を向いて進んでいくあなたに贈る。
先取り版とは?
私、映画評論家バフィーがマスコミ試写で、いち早く観て評論する先取り版です。通常回では、公開日もしくは前後に更新していますが、毎週10本以上の新作を観ていて、量が多く大渋滞状態ということもあって、先取りもしていきます。
ダメな作品はダメと言いますが、基本的にネタバレを垂れ流して、映画自体を観なくてもいいような評論はしません。
『100日間生きたワニ』レビュー
原作となる「100日後に死ぬワニ」はプロモーション的に批判が飛び交ったことは有名な話だが、個人的にはあまり気にしておらず、全くの先入観なしに映画だけを観た印象としては、これは主人公はネズミなのだということ。
個人的にすごく気になったのが、ずっとワニが上半身裸だったということ。
ちなみにずっとではなく、バイトに行っているときと、初日の出?のときだけ服を着ていた。
プーさんが下半身裸だったり、ムーミンが全裸なのに服を着ているキャラクターもいたりするのと同じようなもので、デザイン感覚的なもので、特に意味がないのかとも思ったのだが、ネズミの視点であるなら説明がつく。
つまりワニは、いつも一緒にいる存在であって、一緒にいる過ぎるが故に、普段どんな服装だったかが思いだせないということ。劇中でプレイしているゲームの中のワニが上半身裸のキャラクターだったことと、現実が混合されているのではんいだろうか。
さすがにバイトで裸なワケはないから、バイト先では服着ているし、初日の出はネズミにとって印象が強かったから、服装も鮮明に覚えている。
もうひとつの説は、ワニがネズミのイマジナリーフレンズだったということ
死んだにしては、周りの反応が薄い感じもしたのだが、この作品で描かれている世界の死に対する概念が、私たちの住む現実世界と同じとは限らないだけに何とも言えない部分はあるものの、次の友達ができるまでの空白感。それがゲームと同じワニの形として現れていたしたら…
「100日後に死ぬワニ」であれば、ある時点からのカウントに思えるが、「100日間生きたワニ」というタイトルからは、逆に生涯で100日間しか生きていないという様にもとらえることができないだろうか。
となるとネズミの空白感、寂しさが作り出したイマジナリーフレンズ。しかし、モグラだったりワニの女性だったり、リアル友達ができて100日後に決別できた。そこにカエルという新たに入り込んできて、イマジナリーフレンズと同じ立ち位置にぐいぐい入ってくる。
ここで、この隙間に誰かいたような…という余韻を残すと、存在していた誰かが、急にいなくなっているという「消失もの」ミステリーになってしまうが…
決まった答えが用意されている作品なのか、それぞれが考える「ワニ」とは?と投げかけるものなのか…
複雑化させている演出や矛盾点は、原作が基本4コマという1本のストーリーラインに繋げることに向いてない形態であるが故の、特に意味のないことなのかもしれない。
何気ない日常の大切さがストレートに描かれているといえば、それはそれで納得ができる作品だ。
CREDIT
声優:神木隆之介、中村倫也、木村昴、新木優子、ファーストサマーウイカ、清水くるみ、Kaito、池谷のぶえ、杉田智和 、山田裕貴
原作:きくちゆうき「100日後に死ぬワニ」
監督・脚本:上田慎一郎、ふくだみゆき
主題歌:いきものがかり「TSUZUKU」 (Song cutes)
配給:東宝
公式サイト:100wani-movie.com
7月9日(金) 全国公開
点数 77
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