作品情報
「ワイルド・スピード」 シリーズなどへの出演で今やハリウッドを代表する
アクションスターとなったジェイソン・ステイサム。彼が今回挑んだのは目的のために手段を選ばない謎多きキャラクター。監督は、ステイサムのデビュー作ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ 以来、共に作品を制作してきた盟友ガイ・リッチー。アラジンなどハリウッド大作を経て16年ぶりにゴールデン・コンビを復活させた。ステイサムの魅力が存分に生かされたアクションと、謎の男の目的と大金強奪計画が絡み合うリッチー監督ならではの構成の妙、さらにホルト・マッキャラニー、ジェフリー・ドノヴァン、スコット・イーストウッドなど主演級俳優たちが豪華に脇を固め、新たなクライム・アクションの傑作が誕生した。
先取り版とは?
私、映画評論家バフィーがマスコミ試写で、いち早く観て評論する先取り版です。通常回では、公開日もしくは前後に更新していますが、毎週10本以上の新作を観ていて、量が多く大渋滞状態ということもあって、先取りもしていきます。
ダメな作品はダメと言いますが、基本的にネタバレを垂れ流して、映画自体を観なくてもいいような評論はしません。
『キャッシュトラック』レビュー
フランス映画『ブルー・レクイエム』のアメリカ公開タイトルが『CASH TRUCK』だったことで邦題が『キャッシュトラック』になっていて、タイトルがなかなかややこしい状態になっているのだが、大まかなストーリーはオリジナル版に添っている。
そこにスタイリッシュさとエンターテイメント性が加わり、あと少しガイ・リッチー色が追加されている。
『アラジン』のようなお仕事モードと自分流の中間的な作品だろうか。
『ブルー・レクイエム』は一時期サンドラ・ブロックが出演するとされていたリメイク企画もあったが、それと別ものとして、一旦白紙にされて再企画されたものである。
ヴァイアコム傘下となった新生ミラマックスとしての前作『ジェントルメン』が、ミラマックスの買収劇がメタファーとしてと描かれていたのに比べれば、かなりストレートな作品に仕上がっている。
映画やドラマにおいて、輸送車が襲撃されることがよくある。それは何気ないモブ的シーンのひとつに過ぎないが、その警備にあたっている人物ひとりひとりにも人生があるという、見えそうで見えていない部分をピンポイントで描いているという側面から観ると違った楽しみ方もできる作品である。
現金輸送車は決まったルートを走り、中に「現金が入ってます」と言わんばかりに、わかりやすい。特に治安の悪い国や地域においては、襲われるリスクが非常に大きい仕事であることがブラックユーモアとして映し出されている部分もある。
オリジナル版もそうだったが、主人公のただものではないオーラが隠しきれておらず、今回は特にジェイソン・ステイサムが演じている時点で本性を現した際の驚きがほとんどないのは『トランスポーター』や『ワイルドカード』と同じ。
オリジナルのフィルムノワール感を強調したいのであれば、もっと地味な俳優を使うべきであったところではあるが、そこはアクション要素を強調するうえで「あえて」な感じがする。
個性的なサブキャラクターが多数登場し、周りを固めていてる。特にジョシュ・ハートネットやタイグ・マーフィーといったおいしい食材をあえて無駄遣いすることで、これは正しい者が救われるようなヒロイックな映画ではなくて、本質は「復讐劇」で、主人公とその息子の親子の絆以外は、モブに過ぎないという部分を徹底的に見せている。
ちなみにジョシュ・ハートネット含め、今回のキャストも何人か継続して、ガイ・リッチーの次回作「FIVE EYES」を現在撮影中だ。
CREDIT
監督・脚本:ガイ・リッチー GUY RITCHIE
原案:エリック・ベナールÉRIC BESNARD
ニコラス・ブークリエフ NICOLAS BOUKHRIEF
脚本:マーン・デイヴィス MARN DAVIES
アイヴァン・アトキンソン IVAN ATKINSON
撮影:アラン・スチュワート ALAN STEWART
出演:ジェイソン・ステイサム JASON STATHAM
ホルト・マッキャラニー HOLT MCCALLANY
ジェフリー・ドノヴァン JEFFREY DONOVAN
ジョシュ・ハートネット JOSH HARTNETT
ラズ・アロンソ LAZ ALONSO
ラウル・カスティーリョ RAUL CASTILLO
デオビア・オパレイ DEOBIA OPAREI
エディ・マーサン EDDIE MARSAN
スコット・イーストウッド SCOTT EASTWOOD
2021年/アメリカ、イギリス/英語/119分/原題:「WRATH OF MAN」/カラー/シネマスコープ/5.1ch/DCP/字幕翻訳:平井かおり/配給:クロックワークス
C2021 MIRAMAX DISTRIBUTION SERVICES, LLC ALL RIGHTS RESERVED
公式サイト: cashtruck-movie.jp
10月8日(金)より新宿バルト9ほか全国ロードショー
点数 79
- ネットもSNSも遮断されたインドの全寮制女子高を舞台に、少女たちは”自分”とは何者なのかに葛藤する!!『女子高生は泣かない』
- 第96回アカデミー賞:映画評論家バフィー吉川の最終受賞予想!事実上『オッペンハイマー』のひとり勝ち状態か?!
- インド音楽界の歴史が動いた!22年ぶりのメジャーガールズユニット”W.i.S.H.”誕生!K-POPに次ぐ世界市場を狙う!!
- この映画語らせて!ズバッと評論!!『マダム・ウェブ』始まらないドラマのプロローグを観ているような感覚になるが、若手女優たちが唯一の救い!!
- 【ちょこっとレビュー】地域復興ムービーとして応援したい気持ちを裏切るほど中途半端な主人公像『レディ加賀』
コメントを書く