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THE映画紹介『さらば映画の友よ インディアンサマー』映画好きおじさんが親友の心を奪った女子に嫉妬する!!

THE映画紹介『さらば映画の友よ インディアンサマー』映画好きおじさんが親友の心を奪った女子に嫉妬する!!

THE映画紹介とは?

THE映画紹介とは…劇場公開中には観れなかったもの、公開中に観たんだけれども…レビューする前にリリースされてしまったもの、単純に旧作と言われるものを独自の偏見と趣味嗜好強めに紹介するもの。

アメリカ映画、インド映画、ドイツ映画、アジア映画、アニメ、ドキュメンタリー….なんでもあり!!

今回紹介するのは『さらば映画の友よ インディアンサマー』

作品情報

セリフを暗記するほどの映画好きのダンさん(川谷)と出会った19歳の浪人生で同じく映画ファンのシューマ(重田)。彼らは瞬く間に意気投合するが、シューマが一目惚れした少女・ミナミ(浅野)のことでケンカしてしまう。ダンさんがシューマの信頼を取り戻すためにとった行動とは…。

『さらば映画の友よ インディアンサマー』基本情報

1979年製作/111分/日本

監督: 『関ケ原』原田眞人

出演 :

『キッドナップ・ブルース』『ドーベルマン刑事』川谷拓三

『悪魔の人質』『ガッツ伝説 愛しのピット・ブル』重田尚彦

『赤んぼ少女』『みをつくし料理帖』浅野温子

『野獣死すべし』『処刑遊戯』トビー・門口

『地獄』『犬鳴村』石橋蓮司

短評

1年で365本の映画を観るということを人生の目標にしている中年男ダンと映画好きの大学生の間に芽生える奇妙な友情を描いた作品で、今作が原田眞人の長編初監督作品である。

当時キネマ旬報などで映画批評を投稿していた原田眞人の初監督作品らしい、映画を題材とした作品であり、映画ネタが散りばめられていたり、当時の映画ネタ、例えば『トラ!トラ!トラ!』を黒澤明が降ろされたことなどがセリフの中に取り入れられていたりして、単純に映画ファンとして観ると楽しい部分も多いのだが、映画オタク向け映画とまでは飛びぬけていない部分は残念である。

というのも、いかに映画が好きかという部分に焦点が当たっているのではなく、描きたいことは、あくまで友情と恋愛なのだ。

合コンに行かなければ、映画の最終上映に間に合うかもしれないという、生活や価値観が映画と隣り合わせにあるという考え方は映画好きならではの感覚だといえるだろうし、そういった部分に原田監督の自伝的なものが見えてくるようにも思える。

疑問点としては、ダンがどうも1年に365本観ているようには、見えないのだ。ビデオやDVDレンタルというものが存在していなかった時代に映画を観る手段は映画かテレビしかないため、難しいような気がするかしれないが、今みたいに映画館も入れ替え制ではなかったから、朝から晩までいれたし、テレビでも枠を埋めるために映画が結構放送されていたから、できないことではない。

15年ほど前に、CSでドキュメンタリー映画(日本未公開)の中で、ニューヨークでいかに毎日映画を観られるかという挑戦をしている人に密着したドキュメンタリーが放送されていたが、そこに映し出されていた人は、映画を楽しむよりも「いかに数を観るか」ということが目的となってしまっていたのを思い出した。

映画館で偶然出会った中年男がどこまでも付きまとってくるという部分は、よく考えると変なおじさんに追いかけられるストーカーホラーのような感じもしてくる。ダンは映画好きというより、変なおじさんという印象が強くて、日常生活にいたら付合いたくない人である。

世捨て人のようなダンが、共通の趣味をもつシューマに出会ったこと、映画話をすることで救われて、奇妙な友情が生まれる。実はこういった存在というのは、貴重なだけに、別にそれが恋愛でなくて友情でも、離したくないという嫉妬意識から、行き過ぎた行動に出てしまうこともあるという皮肉を描いているにしてはパンチが弱いようにも感じられる。

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