作品情報
世界18カ国でリメイクされたイタリアのコメディ映画『おとなの事情』の日本版。ある出来事をきっかけに結びつき、年に1度集まっている3組の夫婦と1人の独身男性。今年も楽しい時間を過ごすはずだったが、1人の参加者の発言をきっかけに、それぞれのスマホに届く全てのメールと電話を全員に公開するゲームをすることに。後ろめたいことは何もないと言いながらも、実は全員が絶対に知られたくない秘密を抱えており、自分のスマホが鳴らないことを祈っていた。スマホに着信があるたびにパーティは修羅場と化し、事態は予測不能な方向へと転がっていく。独身男性を東山紀之、50代のセレブ夫婦を鈴木保奈美&益岡徹、40代の倦怠期夫婦を常盤貴子&田口浩正、30代の新婚夫婦を木南晴夏&淵上泰史が演じる。『バースデイプレゼント』の光野道夫が監督を務め、『世界から猫が消えたなら』の岡田惠和が脚本を担当。
『おとなの事情 スマホをのぞいたら』レビュー
18カ国でリメイクされているということは、逆に言えば、それだけ作りやすいシンプルな内容であるということであって、誇れることなのかは疑問であるものの、ここまで来たら行くところまで行ってもらいたいものだ。
内容のことを考えれば、ワンシチュエーションの会話劇という、舞台感漂う設定ということで日本は得意分野のようでもあるだけに、後れをとったような感じもしてくる。あえて日本らしいような作品を日本がリメイクすることに意味があるのだろうか。
あえてスルーするという勇気も必要ではないだろうか。
18カ国でリメイクされているとはいっても、全てが観られる状況ではない。日本で観られるのは、オリジナル版と韓国版の『完璧な他人』、Netflixでの配信スルーになったフランス・ベルギー版の『ザ・ゲーム 〜赤裸々な宴〜』と本作のみであるため、全てを比べて観るというのは至難の業ではあるため、オリジナルと韓国版、フランス版との比較しかできないのだが、キャラクターの関係性や職業など違ったりはするものの、やはり大まかな流れは、オリジナルに忠実となっている。
良かれと思って、あえて削っているのかもしれないが、その削られた要素にこそ、オリジナルの良さが詰まっていたようにも感じられる。せめて、みんな集まってスマホで写真撮影するシーンは入れてほしかった。
とにかく猿真似にはなりたくないと、日本独自色というものを出そう、出そうと試行錯誤しているのは、感じられるのだが、全体的に空回りしてしまっている。
散らかすだけ散らかしておいて、掃除しないで誤魔化すという力業でまとめたのが韓国版であるが、日本もそれに従って、散らかすだけ散らかしておいて、まとめた気になっているかもしれないが、実は何の解決にもなっておらず、その後の修羅場を考えただけでも恐ろしい。
リメイクするのは良いのだが、まとめの段階は、どこの国も苦戦しているように感じられるし、オリジナル事態も実はそこが弱点だったりもするだけに、それを量産し続けるのもどうかという話なのだ
監督が『101回目のプロポーズ』など、フジテレビ系80~90年代のトレンディドラマを多く手掛けた光野道夫や出演者が鈴木保奈美、常盤貴子などということと、舞台感を目指したということからなのか、演技がやたらと臭いという意味では、舞台感は感じられる。
冒頭で結婚指輪がキラりと光る演出からバカにされているかのようなに謎の演出があるのにも関わらず、なぜだかオリジナル版と韓国版で着信音として使用されていた、グロリア・ゲイナーの「I Will Survive」が使用さけれていない。
今作で言えば淵上泰史演じる幸治がポジションのキャラクターの着信音であり、油断したときに爆弾が落ちるような、作品のアクセントして機能していたように思えたのだが、フランス版と今作はそれを使用しておらず、物足りなさを感じてしまう。
やはり「I Will Survive」はこの作品にとって、欠かせない曲なのだ。 それは痛いほどわかった…
Spotifyで配信中のラジオ「バフィーの映画なドラマな雑な話」、iTunesなどで配信中のショート版「バフィーの映画な話」でも今作に触れています。
点数 70
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