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発掘!未公開映画研究所『スパークル』オリジナル&リメイク&『ドリームガールズ』の法則

作品情報

オリジナル版

ニューヨーク、ハーレム育ちの三姉妹。歌うことが好きな貧困家庭で育った三人がある日、ステージに立つことに。それがきっかけで、音楽業界に飛び込んだ姉妹だったが、その世界は、華やかなだけではない、スターになったことで失ったもの、ドラッグや裏取引きといった綺麗ごとだけでは済まないものが彼女たちにも押し寄せてくる。出演は『フェーム』のアイリーン・キャラ、『特捜刑事マイアミ・バイス』のフィリップ・マイケル・トーマスと日本でも知名度のあった俳優が出演していた作品であったが日本では劇場公開されなかった

リメイク版

モータウン全盛期の60年代デトロイトを舞台に、過保護で保守的な母親のもとで育った三姉妹。作詞作曲が得意なスパークルは、自分では歌う自信がないこともあり、姉のシスターにボーカルを任せる。シスターの万人受けする美貌とスパークルの曲によって、一躍有名になっていく。憧れた音楽業界、輝かしい未来しかないと信じていた姉妹をある悲劇が襲う。バラバラになってしまった姉妹と母との絆を修復することができるのだろうか。出演は、今作が惜しくも遺作となってしまったホイットニー・ヒューストン、『アメリカン・アイドル』シーズン6の優勝者ジョーダン・スパークスなど。日本では劇場公開されなかった。

監督・脚本・出演

オリジナル版(1976)

監督:『続・ローズマリーの赤ちゃん』『スターダストの女王』サム・オスティーン

脚本:

『バットマン フォーエヴァー』『フォーン・ブース』ジョエル・シューマカー

『バッフィ/ザ・バンパイア・キラー』『刑事エデン/追跡者』ハワード・ローゼンマン

出演:

『ハーレム愚連隊』『特捜刑事マイアミ・バイス』フィリップ・マイケル・トーマス

『フェーム』アイリーン・キャラ

『ダンス・レボリューション』『マルコムX』ロネット・マッキー

リメイク版(2012)

監督:『ブラック・ライトニング』サリム・アキル

脚本: 『モエシャ』 マーラ・ブロック・アキル

出演:

『レフト・ビハインド』ジョーダン・スパークス

『ため息つかせて』『ボディガード』ホイットニー・ヒューストン

エイプリルの七面鳥』『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』デレク・ルーク

『ローマンという名の男 -信念の行方-』『お家をさがそう』カルメン・イジョゴ

クレイジー・グッド』『ソニック・ザ・ムービー』チカ・サンプター

『ファイティング・テンプテーションズ』『ビッグ・トラブル in NY』マイク・エップス

発掘!未公開映画研究所とは?

宗教性の問題、出演者の知名度、お笑いの感覚の違い…などなどの理由によって、日本では公開にいたらない作品が多く存在する。アカデミー賞にノミネートされている作品でも未公開作品は多い。

それもそうだろう、逆にアメリカやフランスで日本の映画が何でも公開されていると言えばそんなわけもなく、全体的に見て1割にも満たないだろう。

日本はそんな中でも割と海外の作品を公開している珍しい国であって、そんな中でもやっぱり公開されない映画というのは山のように存在する。

「発掘!未公開映画研究所」はそんな映画を発掘していくというもので、その中でも更に知名度が低いものを扱っていくつもりだが、必ずしも良作ばかりではない、中には内容がひど過ぎて公開できなかったものもあるのでご注意を!!

今回紹介するのは『スパークル 1976、2012』

短評

『黒いジャガー』『コフィー』『スーパーフライ』など、1970年前半から多く製作された郊外のアフリカ系アメリカ人向けの娯楽作品、ブラックスプロイテーションの末期として、『カー・ウォッシュ』『ウィズ』など当時ブラックスプロイテーション作品を手掛けていたジョエル・シューマカーを脚本に迎え、スプリームスをモデルとした作品である。

スカっとする娯楽映画が続いていたブラックスプロイテーションの流れとしては、異質の、着地点としては、解釈は分かれるかもしれないが、ストーリー自体は、なかなか暗い話である。

スプリームスをモデルにした映画として代表的なのは、やはり『ドリームガールズ』ではあるが、舞台版の初演が1981年ということで、『ドリームガールズ』にいくらかのインスピレーションを与えた作品としていっても過言ではない。

日本でも話題となった『フラッシュダンス』の主題歌「What a Feelin」で有名なアイリーン・キャラを主演に起用した作品ではあるが、他の未公開のブラックプロイテーション作品に紛れて、日本では長い間、未公開のままとなっていた。

『ドリームガールズ』は、エンターテイメント色が強いため、薄れがちになってしまっているが、背景としては、公民権運動やベトナム戦争など、一般的にも黒人社会的にも、激動の60年代を描いていた。『スパークル』では、舞台はデトロイトではなく、50年代のニューヨーク、ハーレムとされているが、エンターテイメント色よりも社会的な部分をメインに描き出している。

描かれていることは、黒人社会の根深い人種問題や、ドラック、裏取引きなどヘビーにも関わらず、残念なことに、展開が早すぎることもあって、キャラクターひとりひとりの魅力が引き出せていないままになっている。

更にエンターテイメント色は抑え気味となっていて、随所には、魅力的な部分はあるのだが、全体を通して観ると、いろいろと残念な部分のある作品となってしまった。

それをエンターテイメント色全開にした『ドリームガールズ』の方がスプリームをモデルにした作品としては、有名になってしまったことで、逆に便乗したかのような扱いでアメリカでは、『ドリームガールズ』公開時期にソフト化されたほどで、パッケージも何だか寄せてきたような感じがしてならない。

そんな『スパークル』ではあるが、リメイク企画が浮上したのは、実は『ドリームガールズ』の映画版よりも前の2000年代前半であり、ホイットニー・ヒューストンがプロデューサーとして入り、『ロミオ・マスト・ダイ』『クィーン・オブ・ザ・ヴァンパイア』などの映画にも出演していた、歌手のアリーヤ主演で2002年頃の製作を予定されていたが、残念なことにアリーヤが飛行機事故で亡くなってしまったことで、企画は一旦、白紙になってしまった。

その後、企画だけは辛うじて残っていたものの、映画版『ドリームガールズ』に先を越されてしまい、なかなか製作のタイミングが難しい状態であった。

そんな保留期間を経て、製作されると、今度は出演もしていたホイットニー・ヒューストンがまさかの急死で、ホイットニーの遺作として話題にはなったものの、日本では未公開スルーになってしまった。

ホイットニーといえば、日本では『ボディガード』がヒットして、歌手としても80年代洋楽市場を支え、映画的にも製作するまでに、数々のトラブルが重なった作品ということで、もう少し脚光を浴びてもいい気がするのだが、そうならなかった理由としては、どうしても『ドリームガールズ』二番煎じ感がしてならなかったからである。

『スパークル』の方が先なのに、この扱いは酷い気がしないでもないが、リメイク版を観てみると、妙に納得できてしまう部分がある。

リメイク版の舞台設定が50年代のニューヨークから、60年代のデトロイトに変更されたのだが、これは正に『ドリームガールズ』の設定に寄せてきていると言っていいだろう。

オリジナル版では薄かったエンターテイメント色も強調されていて、キャラクター造形も盛られていて、ドラマ色も強くなっている。

ホイットニー演じる姉妹の母エマの一度は成功したかに思えたが、挫折してしまった黒人歌手としての過去や神への信仰心などといった、バックボーンを描くことで、エマの立ち位置が明確となっていた。

全体的にオリジナル版の物足りなかった部分が上手く補われ、猿真似のようなリメイクと比べても、リメイクとしてやるべきことはやってくれていて、一見、悪いところがないように思えるかもしれないが、今作はバランスが良すぎるという点が仇になってしまったのだ。

『ドリームガールズ』はベースとしては、黒人にとっては、変革の年であった60年代のモータウン・ミュージックではあっても、アップテンポな曲を多く使用していたことで、全体的にキラキラしているような、エンターテイメント色が飛びぬけていて、ストーリーとしては弱いかもしれないがミュージカルとしては大合格な作品だった

『スパークル』の中の楽曲は、どちらかというと、ローテンポなものが多かったのだが、そこにエンターテイメント色を足そうと、無理やりねじ込んだ感がしてしまい、本来の少し暗い雰囲気も薄められてしまったことで、エンターテイメトとしてもドラマとしてもバランスは良いかもしれないが、どっちつかずな作品という印象が強くなってしまった。

オリジナル版はちぐはぐながらも、作品のテイストとしては定まっていたかのように思えるが、リメイク版では、「この作品ならでは」というものがあまりないのだ。

キャスティングとしても、問題点がある。それは、主演にアリーヤに匹敵するような歌手をキャスティングするのではなく、『アメリカン・アイドル』シーズン6の優勝者ジョーダン・スパークスを起用したことが、同じく『アメリカン・アイドル』のシーズン3出場者のジェニファー・ハドソンを起用し、第79回アカデミー賞助演女優賞を受賞したことに触発されたことがあからさまだからである。

ジョーダン・スパークスが決して悪い歌手と言っているわけではない。個人的にも『アメリカン・アイドル』視聴者として、初登場から優勝までを見守っていた立場としては、映画の主演というのは、喜ばしいことではあるのだが、残念ながら今作に関してはミスキャスティングとしか思えないのだ。

ちなみにジェニファー・ハドソンとジョーダン・スパークスは、『The Inevitable Defeat of Mister & Pete』(日本未公開) で共演を果たしている。

映画化するタイミングに恵まれなかったことからはじまり、少しずつズレが生じたことで作品が平凡になってしまったのだが、この『スパークル』という作品のオリジナル版とリメイク版の間に『ドリームガールズ』があることで、いかに『ドリームガールズ』が優れた作品なのかということを実感できる、引き立て役映画といえば少しは浮かばれるだろうか...

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