THE映画紹介とは?
THE映画紹介とは…劇場公開中には観れなかったもの、公開中に観たんだけれども…レビューする前にリリースされてしまったもの、単純に旧作と言われるものを独自の偏見と趣味嗜好強めに紹介するもの。
アメリカ映画、インド映画、ドイツ映画、アジア映画、アニメ、ドキュメンタリー….なんでもあり!!
今回紹介するのは『エイプリルの七面鳥』
作品情報
娘と母の和解を軸に、家族の再生を描いた心暖まる感動ドラマ。監督は、『ギルバート・グレイプ』『アバウト・ア・ボーイ』の脚本家として知られるピーター・ヘッジズ。NYのリアルなストリート感覚をスパイスに、生と死をまっすぐにみつめながらも、ユーモアを忘れないあたたかい作品を作り上げた。主演は『鬼教師ミセス・ティングル』のケイティ・ホームズ。母役のパトリシア・クラークソンはアカデミー助演女優賞ノミネートほか、様々な映画賞で受賞した。
『エイプリルの七面鳥』基本情報
2003年製作/80分/アメリカ
原題:Pieces of April
監督: 『ティモシーの小さな奇跡』ピーター・ヘッジス
出演 :
『サンキュー・スモーキング』『フォーン・ブース』ケイティ・ホームズ
『マイ・ブックショップ』『しあわせへのまわり道』パトリシア・クラークソン
『エンド・オブ・ザ・ワールド』『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』デレク・ルーク
『フロスト×ニクソン』『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』オリヴァー・プラット
短評
家族から離れてニューヨークに住んでいるエイプリルは、家族とは上手くいっておらず孤立していたが、母親が癌にかかり余命宣告されたことを知り、感謝祭に招くことになるというところから唐突に始まる。
そこそこ有名な俳優を起用しているというのに、ホームビデオ感漂う、自主制作映画のようなテイストにしているのは、あくまでどの家庭にも起こりうることだということを伝えるためではあるし、エイプリルのアパートまでの道のりが家族との思い出をフラッシュバックしていくロードムービーともなっている。
道中で具合が悪くなり吐いたり、情緒不安定で奇抜な行動をとる母親にとっても、突き放してきた娘に対する想いや葛藤を描いて、これ以上、娘に失望したくないという想いと自分が親として、どうしても問題児のエイプリルを愛してあげられていなかったという母と、母との良い思い出がなく、自分だけは愛されていなかったと感じていたエイプリルの交じり合わない母と娘の心情の温度差が物語が進むにつれて自然に描かれていく。
自分が死にゆく覚悟をしなければならない母にとって、最後に不安材料を増やすことになるのか、それとも安心することができるのか、罪悪感や嫌な思い出が残るようなら、いっそのこと会わないほうが良いのではないだろうかという葛藤が常にされていて、心理状況の絵が描き方としては母を演じているパトリシア・クラークソンの方が多い。
病気の母と娘の亀裂を描いているといっても、決してシリアスになり過ぎておらず、全体的にエイプリルが料理経験なしに七面鳥を料理しようとするドタバタ劇や個性豊かなアパートの住人たちの掛け合いがコメディ・テイストで描かれていて、シットコム的な雰囲気も漂うところは、母と娘の心情の温度差を映画の雰囲気によって描いているのだが、そのおかげで肩に力を入れないで観られる作品と言ってもいいだろう。
『ドーソンズ・クリーク』が終了し、メジャー作品にも出るようになり、超大作『バットマン ビギンズ』に抜擢されたが、トム・クルーズとのゴシップで降板になり、続編の『ダークナイト』ではマギー・ギレンホールに役をとられるという波乱万丈な女優人生をおくってきたケイティだが、そんなことがある前に出演していた映画ということもあり、まだ女優として伸びしろがあった頃の、一番良い時期のケイティ・ホームズが観られる作品でもある。
またケイティがパンダメイクをしている作品は印象的な作品が多かったりもする。2016年に自ら監督した『私の居場所の見つけかた』でもパンダメイクをしていたケイティだが、この時もトム・クルーズと破局後、負のサイクルに陥っている自分に対しての自虐ネタ映画のようで、日本では未公開作品となってしまったが、強烈な印象を残した初監督作品である。
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