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THE映画紹介『スポーン』当時としては、ドラマ性を重視した画期的なアメコミ映画

THE映画紹介『スポーン』当時としては、ドラマ性を重視した画期的なアメコミ映画

THE映画紹介とは?

THE映画紹介とは…劇場公開中には観れなかったもの、公開中に観たんだけれども…レビューする前にリリースされてしまったもの、単純に旧作と言われるものを独自の偏見と趣味嗜好強めに紹介するもの。

アメリカ映画、インド映画、ドイツ映画、アジア映画、アニメ、ドキュメンタリー….なんでもあり!!

今回紹介するのは『スポーン』

作品情報

愛する妻と再会するために魂を地獄の王に売り渡して復活した男の復讐を描いた近未来SF。全米で大ヒットした同名コミックの映画化。原作はトッド・マクファーレン(製作総指揮もアラン・C・ブロムクイストと兼任)。本作がデビューの監督のマーク・ディッペ(『ターミネーター2』『ジュラシック・パーク』の視覚効果担当)、製作のクリント・ゴールドマン、特殊効果監修のスティーヴ・ウィリアムズら以下、『マーズ・アタック!』などの特撮を手掛けるILMのスタッフによる、実写以上の迫力とリアルさでつくりあげられた鮮烈な映像が見もの。脚本はアラン・マッケロイ。撮影は『フロム・ダスク・ティル・ドーン』のギレルモ・ナヴァロ。音楽は『ザ・クロウ』のグレアム・レヴェル。使用曲としてテクノ系とスラッシュメタル系がコンビを組んだ異色のサウンドトラックが全編を彩る。主演は『バッド・デイズ』『シルバーホーク』のマイケル・J・ホワイトで本作が初主演。共演は『アメリカン・プレジデント』『俺たちポップスター』のマーティン・シーン、『ロミオ&ジュリエット』『ジョン・ウィック』のジョン・レグイザモ、『ガール6』『バッドボーイズ フォー・ライフ』のテレサ・ランドル、『The O.C.』のメリンダ・クラークほか。

『スポーン』基本情報

1997年製作/98分/アメリカ
原題:Spawn

監督: マーク・ディッペ

出演 : マーティン・シーン、ジョン・レグイザモ、マイケル・J・ホワイトほか

ヴェノムも生んだ天才アーティスト

「スパイダーマン」の代表的なヴィランであり、単独で映画化もされた「ヴェノム」の生みの親としても知られる、トッド・マクファーレンが1992年に独立して新コミックレーベル「イメージ・コミックス」を設立した。この年に創刊されたのが「スポーン」だ。ダークヒーローの「スポーン」は、瞬く間に全世界で社会現象となり、1994年に作ったマクファーレン・トイズから発売されたスポーンのアクションフィギュアシリーズは記録的セールスとなり、日本でも輸入され、アメトイブームの火付け役となった。

そんな「スポーン」ブーム真っ只中の1997年に実写映画化されたのが『スポーン』である。

当時の最先端映像技術で映像化!!

今観返してみると、ゲームの様なCGではあるが、当時では最先端の映像技術であった。

『ジュラシック・パーク』や『ターミネーター2』などでアカデミー賞を受賞したILMことインダストリアル・ライト&マジック出身のマーク・デッペが監督を務め、ジム・キャリー主演映画『マスク』を手掛けたクリント・ゴールドマンが製作に参加した。

特殊効果監修にスティーヴ・ウィリアムズ、美術監督にフィリップ・ハリソンなどの一流のスタッフをむかえ、400を超えるCGカットという当時では異例のカット数で豪華なアクション映画を作り出したのだった。

巧妙に練られた濃厚なドラマ

「スポーン」は決して、スーパーヒーローものではない。複雑な人間関係や残酷描写、殺人鬼、ホームレス…とにかく腐敗しきった世界観である。

その中でもリアルな心理描写やカッコいいアクションシーンは読者を飽きさせない。

そもそも壮大な世界観を1本の映画でまとめられるほどの作品ではなかったが、それなりに上手くまとめられていたし、CGで表現された自由自在のマントやバイオレーターとの対決シーンにはわくわくさせられたものだ。

アメコミ映画と言えば「バットマン」「スーパーマン」シリーズしか無かった。細かいところで言うと『ディック・トレイシー』や『ファントム』なんてのはあったが、メジャーアメコミ作品の映画化というのは、『バットマン&ロビン』以来だったが、どうしても原作設定を反映させたドラマ性重視というよりは、アクション娯楽寄りの作品が多かっただけに、良く考えると重たすぎる設定をそのまま描きながら、アクション映画としても仕上げたのは流石だと言える。

ジョン・レグイザモがクラウンを熱演

『ムーランルージュ』『ジョン・ウィック』などに出演する、小柄な名優ジョン・レグイザモが特殊メイクによって、クラウンを熱演。

その熱演ぶりは、劇中のうじ虫入りのピザを食べるシーンでは、本当にうじ虫を食べたほどだ。今ではCGを足して処理してしまう映画が多いが、まだ90年代では役者が体を張ることが多かった。

役者が演技のために、変なものを食べてお腹を壊すなんてことは日常茶飯事だったのだ。

短評

私がこの作品を初めて観たのは、中学生の頃だった。アメコミを知らない人でも「スポーン」という名前は知られているぐらい、フィギュアブームの影響などで有名だったこともあり、日本でもそこそこな話題作とされていた。

当時、アル・シモンズ版「スポーン」はまだ完結していない段階だったため、エピソードのチョイスがどうしても、スポーン誕生前後のプロローグ的なものとなることは仕方なかったが、作者のトッド・マクファーレンが参加したこともあり、単にアクションムービーとして処理するだけでなく、スポーンとなった、アル・シルンズの苦悩を繊細に描いていた。特に自分の妻が親友テリーと結婚していたという設定と家族を守るという意志のバランスが絶妙に良く仕上がっている。

今の時代に観ると、どうしても初期プレステのムービーの様ではあるが、当時の技術としては最先端で続編製作も意識されていたこともあって、ヴィランもメインとなるバイオレーターとマレボルギアのみに留めている。

天界のヘルスポーンハンター、アンジェラなど原作ファンならわかるネタも散りばめられていただけに、続編は期待されていただけに残念だった。(ちなみにアンジェラはキャラクターが独立して、今ではマーベルの「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のキャラクターになっている。)

しかし、近年になって、スポーンのリブート映画化の企画が進行中であり、トッド・マクファーレンが監督も務めることが発表されている。アカデミー賞で『ジョーカー』がノミネートされた際には、パロディ画像をネット上に挙げていたりすることからも、製作自体は時間の問題なのかもしれない。

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