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THE映画紹介『デアデビル』コミックオタク監督のこだわりぬいたアメコミ映画の傑作!

THE映画紹介とは?

THE映画紹介とは…劇場公開中には観れなかったもの、公開中に観たんだけれども…レビューする前にリリースされてしまったもの、単純に旧作と言われるものを独自の偏見と趣味嗜好強めに紹介するもの。

アメリカ映画、インド映画、ドイツ映画、アジア映画、アニメ、ドキュメンタリー….なんでもあり!!

今回紹介するのは『デアデビル』

作品情報

少年時代に、プロボクサーであった父が裏社会でも働いていたことをたまたま目撃してしまったマットは、その場から逃げる際に毒薬を目に浴びてしまい、視覚を失ってしまう。視覚を失ったマットは、それと引き換えにそれ以外の感覚を訓練することで超感覚レーダーセンスを手に入れた。成長したマットは昼間は弁護士として法の元で悪を裁くが、法を逃れた悪党は夜の顔「デアデビル」にて制裁をくわえるという日々を過ごしていた。

『デアデビル』基本情報

2003年製作/103分/アメリカ
原題:Daredevil

監督: 『ゴーストライダー』のマーク・スティーヴン・ジョンソン

出演:ベン・アフレック、ジョン・ファブロー、コリン・ファレル、ジェニファー・ガーナー、ケヴィン・スミス、マイケル・クラーク・ダンカンほか

『デアデビル』おすすめポイント

製作までの長い道のり

フォックスは1997年に映画化権を獲得し、当初は『ハリー・ポッターと賢者の石』のクリス・コロンバスが監督に内定していた。翌年、マーベルは経営危機に陥り、契約は無効化された。次に名乗りを挙げたのが、ディズニーとソニーピクチャーズだが、2000年にソニーが断念したことでフォックスに再び映画化権を獲得した。そして当初、脚本家として内定していたマーク・スティーヴン・ジョンソンが監督も務めることになった。

しかし、マーク・スティーヴン・ジョンソンは1998年に『サイモンバーチ』を監督したとこしかなく、経験が浅いということから、当初の予定通りクリス・コロンバスを推す声が多かったが、マークの熱意に打たれた製作サイドは監督もマークでゴーサインを出したのだった。

今のMCUの様に多少の延期があったりしても、ほぼスケジュール通りに製作するというスタイルは、当時からしてみれば夢物語であった。90年代~2000年代前半は企画だけ先行して、まだVFXなど技術面が作品の世界観に届いていなかったために、結局製作が断念された作品は多い。70年代、80年代から映画化されてきたスーパーマンやバットマンシリーズは経営母体であるワーナーという土台があったからこそ、実現できていたものであって、アメコミの映画化は当時はとても難易度の高いものであり、同時に下手に作るとファンの反感をかうというプレッシャーがあったのだ。

MCUの『アイアンマン』や『ブラックパンサー』でさえ、企画が発表されたのは90年代だった。

ファンも大切だが、一般の客も満足させる必要がある。『スパイダーマン』や『X-MEN』の映画化がすでにされていた中で、比較的地味なヒーローである「デアデビル」の映画化というのは、どこも消極的であったのが、長年企画が宙に浮いていた原因でもあるのだ。

正直言って、この映画『デアデビル』は一般的には、それほどヒットしなかったため、成功した作品とは言いがたいものであったが、アメコミファンの中では、印象的な作品であり、監督の意思が映像に投影されていると言っていいほど熱意のこもった作品であることは間違いないのだ。

その熱意は、確実に各方面に伝わっており、マーク・スティーヴン・ジョンソンはのちに『ゴーストライダー』の監督にも抜擢されているが、これに関しては失敗であったと言える。『ゴーストライダー』に関しては、のちに別のコーナーで触れたいと思う。

独特のアクション・スタイルで差別化

デアデビルの能力は視覚が奪われたことによって、覚醒した超感覚(レーダーセンス)と先行して映画化されていた、スパイダーマンやX-MENのように派手な特殊能力を持つものではなかったため、アクションシーンの見せ方を拘っている。

『イップ・マン 完結篇』『チャーリーズ・エンジェル』などでもスタントやアクションコーディネーターなどを務めるユアン・チュンヤンがアクション指導とし参加、『マトリックス』のワイヤーアクションチームも参加して、ワイヤーアクションとカンフー、空手、ストリート・ファイトを融合させた独特のファイティング・スタイルによって、アクションシーンにスピード感を持たせた。

黒人のキングピン

スパイダーマン スパイダーバース』のヴィランとしても登場した裏社会の帝王キングピン。Netflixのドラマ版ではヴィンセント・ドノフリオが演じたことでも知られる通り、原作は白人という設定であるが、監督のマーク・スティーヴン・ジョンソンがキングピン役はマイケル・クラーク・ダンカンしかないと確信したとで、キャスティングにいたった。

しかし、マイケル・マクラーク・ダンカンに課せられたのは10キロの体重増量であった。すでに140キロの巨漢で過去にはウィル・スミスのボディガードをしていた経験もあるだけに、更に増量してほしいと言われたときは驚いたそうだ。

アメコミオタク監督のこだわり

監督のマーク・スティーヴン・ジョンソンは8歳の頃からデアデビルのファンで14歳の頃から『デアデビル』の映画化を目指していたという、筋金入りのコミックオタク。コミックの中でも印象的なシーンやセリフを映画にも取り入れている。

代表的にシーンは、冒頭の十字架をかかえるデアデビルのシーン。このシーンは映画にも出演しているケヴィン・スミスとジョー・ケサダが1999年に手がけた『デアデビルGuardian Devil 』のコミックと同じ構図を使っているのだ。

『クラークス』や『Mr.タスク』などの映画監督としても知られるケヴィン・スミスはコミックライターとしても活躍しており、『スパイダーマン』や『バットマン』などを手がけている。

エレクトラを演じたジェニファー・ガーナーも監督の演出によって、魅力的で活動的なヒロインとしてクリエイトされた結果、同じくジェニファー・ガーナー主演でスピンオフ映画『エレクトラ』が製作されることになった。

アメコミ映画では、いち早くスピンオフが取り入れられた作品でもあるのだ。

デアデビルの歴史

1964年にスタン・リーが「サブマリナー」の原案者で、暇にしていたビル・エベレットのために考えたキャラクターが「デアデビル」であった。スパイダーマンやマイティ・ソーのように特殊能力のあるキャラクターではなかったデアデビルは地味な印象があり、人気に伸び悩んでいた。

しかし、1979年から『300』や『シン・シティ』で知られるフランク・ミラーがライター&作画として参加してから、ハードボイルド・アクションとして人気となった。

デアデビルは今回の映画版と、2015年のドラマ版『デアデビル』より以前にも1989年にテレビドラマ版『超人ハルク』の復活記念特番として制作されたテレビ映画『超人ハルク 敵か? 味方か? テアデビル』で先に実写化されている。

その他にも2005年以降にビデオ映画としてデイヴィッド・ドゥカヴニーを主演にしたリブート版の企画もあったが、それは実現しなかった。

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