作品情報
アメリカの漫画家チャールズ・アダムスが生んだ名作コミックで、1990年代には映画化され世界的ヒットを記録した「アダムス・ファミリー」を長編アニメ映画化。人里離れた山奥で結婚式を挙げたモンスターのゴメズとモーティシアは人間たちに故郷を追われ、丘の上の荒れ果てた屋敷にたどり着く。時は流れ、夫婦は長女ウエンズデーと長男パグズリー、執事ラーチとともに平穏な日々を過ごしていた。そんな中、パグズリーが一族にとって重要な儀式である「セイバー・マズルカ」を親戚たちの前で披露する日が近づいてきて……。『ライフ・イットセルフ 未来に続く物語』『スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け』のオスカー・アイザック、『スキャンダル』『オールド・ガード』のシャーリーズ・セロン、『キック・アス』『イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所』のクロエ・グレース・モレッツ、フィン・ウルフハードら豪華キャストが一家の声を演じる。
『アダムス・ファミリー』レビュー
2010年に『ミニオンズ』『グリンチ』などで知られるイルミネーションが映画化権を取得し、その後ティム・バートンによって『ぼくの名前はズッキーニ』『フランケンウィニー』のようなストップモーション・アニメとして製作される予定であったが、企画が中止になっていたものがMGMにわたり、今回の映画化に至った。
モーティシアの声優としても参加しているシャーリーズ・セロンの製作会社、デンバー・アンド・デリラ・プロダクションズも製作として参加している。
予告で「初めてのアニメ化」といっているが、これは間違い。長編としては初めてだが、無名時代のジョディ・フォスターが声優として参加していたテレビアニメが1973年に製作されている。
今回は1930年代の一コマ漫画やその後シリーズ化された原作の絵のテイストそのままに映像化しており、ファミリーの他にもコミックやアニメシリーズでお馴染みのサブキャラクター達も多数登場する。
ちなみにスヌープドッグが声優を務めるイットという、メガネをかけた髪の毛のキャラクターはテレビシリーズにも登場していたキャラクターである。
アニメという特性を存分に活かして、アニメにしかできない演出で90年代の実写版の頃と比べれば、表現の幅は圧倒的に広くなっているはずなのに、控え目な内容となっている。
舞台設定が現在にされ、ストーリーも現代風にアップデートされているのだが、物語自体が現代であることに意味があまりないだけに、勿体ない部分の多い作品である。
モンスター一家と人間社会の対立の末に、理解し合うという王道のストーリーから抜け出せていないし、設定だけのおもしろさで押したとしても、近年では『モンスター・ホテル』『プチバンピ』『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』『ダーク・シャドウ』などホラーキャラクターのコメディも沢山製作されていて、目新しさというのはあまりない。
それらの作品のルーツとしては『アダムス・ファミリー』に行きつくのだが、本家が出遅れてしまったのが痛いところだ。
すでに続編が2021年公開予定とされているが、続編ではもう少し大暴れしてもらいたいものだ。
点数 70点
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