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この映画語らせて!ズバッと評論!!『Boudi Canteen』夫が妻の仕事をどう受け入れるか、歩み寄るかをじわじわと描く!!

この映画語らせて!ズバッと評論!!『Boudi Canteen』夫が妻の仕事をどう受け入れるか、歩み寄るかをじわじわと描く!!

作品情報

教師であり妻でもあるプーラミは、料理の腕を買われてケータリングビジネスに参加することにする。 自分の好きな料理の仕事ができることから熱中するプーラミであったが、仕事の成功と反比例するように、次第に夫や家族との間に距離や溝もできてしまい、家庭と仕事で悩み奮闘するのだが……。

『Boudi Canteen』レビュー

教師でもある妻のプーラミが得意なのは料理。ランチ時には、手作りのお弁当目当てに会社の上司や同僚が群がってくるほどプーラミの料理は人気で、料理上手な妻をもっていて鼻が高い夫。

ある日プーラミの料理の腕を見込まれ、ケータリングサービスの会社を起業するのに料理人としてスカウトされ、それを受けたことで、そこからサクセスストーリー的なにぎやかな物語になっていくかと思いきや、かなりねちねちとした物語に発展していく。

冒頭で料理や食材が映し出されることや鮮やかな色彩のイメージビジュアルからも、ヒンディー・リメイクもされている『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』のような料理をテーマとしたファミリードラマ的風貌に見せかけているが、これは完全にミスリードで、物語が進むにつれ、肝心の料理がなかなか映し出されなくなる。

別に料理がテーマというわけではない『エンドロールのつづき』の方が、よっぽど料理が映し出されていたように感じる。

最初は賛成していた夫も、プーラミが忙しくなってしまったことで、夫婦の時間がなかなかとれなくなってしまったことや、そもそも家庭があるというのに女性が夫よりも自立して外に出ていることを姑も良く思っていなくて、家族関係が悪くなってしまう。

実はこの作品、テーマとしては『グレート・インディアン・キッチン』系のミソジニーを描いているのだが、ちょっとややこしいのは、男性側がDVをするわけではなく、かなり優しい性格であって、妻ともっと一緒にいたいし、家族も大切にしてほしいから仕事に熱中しないでほしいという考えをもっていることだ。

つまりラブストーリーでよくある設定を男女逆にしたような関係性なのだ。女性に対してそういった考えを持つこと自体がミソジニーといえばそうなのだが、家庭主義が悪いと決めつけるのも違う気がする。

ミソジニーだ何だと言って関係を断ち切り、決別してしまう前に、ちゃんと家族で話合って、どう妥協的を見つけだすのか、どう互いに歩み寄ってべきかということを本音でぶつかり合っていくのだが、最終的には家族が向き合うことの大切さを描いているのだ。

その点では、昔ながらの保守的な価値観の人々がもつ、インドの働く女性に対しての不満を請け負って、消費させたような作品ともいえるかもしれない。

ただ、メリハリがあまりなく、常に淡々としているのが映画としては難点だといえるだろう

点数 77

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