作品情報
日本の闇の組織から、ある男の命を救ったスネークアイズは、秘密忍者組織“嵐影”への入門を許可される。600年の間、日本の平和を守り続けた“嵐影”は、
悪の抜け忍集団と国際テロ組織“コブラ”連合軍による攻撃にさらされ、危機に瀕していた。スネークアイズは嵐影の“3つの試練”を乗り越え、真の忍者となり、
迫りくる“忍者大戦”から、世界を守る事が出来るのか!?
先取り版とは?
私、映画評論家バフィーがマスコミ試写で、いち早く観て評論する先取り版です。通常回では、公開日もしくは前後に更新していますが、毎週10本以上の新作を観ていて、量が多く大渋滞状態ということもあって、先取りもしていきます。
ダメな作品はダメと言いますが、基本的にネタバレを垂れ流して、映画自体を観なくてもいいような評論はしません。
『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』レビュー
もともと「トランスフォーマー」「ミクロマン」「ROM」などのハズブロ玩具の世界観を共有する「ハズブロ・ユニバース」として企画がスタートしたはずが、いつの間にやら独立した作品として制作に変更された。
「G.I.ジョー」というのは、そもそもがアクション・ドールだったものに、マーベルがストーリー性を持たせ、コミック化して、それがアニメ化されて今現在の世界観の基礎が出来上がっているものの、その中で揺るぎないのがスネークアイズの設定である。
スネークアイズといえば、無口で謎だらけのキャラクターであるが故に、映画の前2作においてもほとんどセリフがなかった。唯一の設定として、ストームシャドーと因縁深いことは提示されてきてはいたが、アジア系かどうかは不明。映画版においても「スター・ウォーズ」のダースモール役や『X-MEN』のトード役などでお馴染み、スタントマン兼俳優のレイ・パークが演じていた。
顔を出さないキャラクターだからこそ、スタントマンが演じていても成り立っていたというのに、ヘンリー・ゴールディングをキャスティングしている時点で、顔を隠すつもりがないことは言うまでもなく、今作の9.8割は顔を出した状態である。
「X-MEN」シリーズのウルヴァリンのように、日本にルーツのあるキャラクターではあるが、明確にアジア系という描き方はされておらず、70年代のコミックにおいてもベトナム戦争のシーンでは白人のような描写だった。人種設定が変わることは珍しくはないが、正体不明のキャラクターをここまでアレンジすることに対してよくゴーサインが出たものだ。
ヘンテコ・ジャバンな世界観は今更言うまでもないが、忍者アクション映画としては一定のおもしろさはあるものの、どうしても目立つのがスネークアイズがなかなかのトラブルメーカーということだ。
友情と目的を天秤にかける葛藤も全く描かれていないのも、クールやミステリアスというより…….人間味を感じられず、長年追ってきた父親の仇に対しての対応も「何かがおかしい!!」
ストームシャドーがスネークアイズを憎むようになるのが、誰もが共感できるほど、スネークアイズの不手際が全編に渡って目立つほか、全てのキャラクターに共通している部分として、信念がゆるゆる。
冷静かつスマートな対応をみせるのがコミックでもアニメでも「G.I.ジョー」シリーズにおいてのスネークアイズというキャラクターをなかなかのマヌケ野郎にしてくれたものだ。
すぐに心変わりする主要人物たちへの違和感をスタイリッシュアクションによって誤魔化されている感じがしてならない。
姫路城や岸和田城、本能寺などが協力的なのは好印象ではあるが……
2021年10月22日全国公開
点数 72
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