作品情報
「スター・ウォーズ」の新たな3部作としてスタートした『スター・ウォーズ フォースの覚醒』(2015)、『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』(17)に続く3部作の3作目。「スター・ウォーズ」サーガのエピソード9にあたり、1977年のシリーズ1作目から計9作品を通して語られてきたスカイウォーカー家の物語が完結する。「フォースの覚醒」を手がけたJ・J・エイブラムスが再びメガホンをとり、主人公のレイを演じるデイジー・リドリーほか、ジョン・ボイエガ、アダム・ドライバー、オスカー・アイザックら3部作の主要キャラクターを演じてきたキャストが集結。初期3部作の『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』(80)、『スター・ウォーズ ジェダイの帰還』(83)に登場した、ビリー・ディー・ウィリアムズ演じるランド・カルリジアンが再登場するほか、シリーズを通して重要な役割を担ってきた、16年12月に急逝したキャリー・フィッシャー演じるレイア・オーガナも、「フォースの覚醒」製作時に撮影されていたものの未使用だった映像を用いて登場する。
『スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け』レビュー
こんなにふわっとした映画が許される時代になったのだろうか…
個人的に「スター・ウォーズ」シリーズは、正直言ってそこまで思い入れがない。普通に映画が公開されれば、観ていた程度でスター・ウォーズが褒められようが酷評されようが、パロディ化されてバカにされようが全く気にしなかったというライト層から観ても今回は酷い。
新3部作で2作目「最後のジェダイ」がスター・ウォーズの土台をことごとく崩していくという問題作だったのに対して、今回はそれを再構築しているため、とにかくやり直し感が漂ってしまっていて、それ前もやってなかったってことがとにかく多い。
結局、スカイウォーカー家のお家騒動なのだ。
シリーズのボス的存在と思われていたスノークを前作で倒してしまっているから、大きな敵がカイロ・レンしかいないということで、パルパティーンが復活するのだが、B級ホラーの白目ゾンビみたいでいきなりがっかりさせられてしまうし、カイロ・レンが意識ブレブレで終着点が全く見えてこない。
ユニバース化、フランチャイズ化させるために一応、ネタは散りばめておくけど、回収されるのはごく一部というのは、昔から同じではあるが、最近ではDisney+もあるし、『ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー』『ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー』などスピンオフが短いスパンで製作できるフットワークの軽い環境になっているから、より酷い気がする。
「スター・ウォーズ」って続編やスピンオフ製作の時間がかかることがあたり前だと思っていた世代にとっては、今の量産スタイルはありがたみが全くなくなってしまった。スカイウォーカーの物語は今回が完結だがスター・ウォーズは作る気満々ということもあって、完結と言われても完結と思うことができない。
ちょっとネタバレ…変なシーンを抜粋!!
つっこみ所満載の映画ではあるが、特に気になるところをいくつか抜粋してみた。
〇ライトセイバーを捨てようとしたレイに「そんな大切なもの捨てるな!」
え??「最後のジェダイ」でライトセーバー捨ててる人がそれを言うの!!
〇マスク作り直せば?
予告編でもわかる通り、カイロ・レンがマスクを修復するシーンがあるのだが、元のデザイン通りに同じマスク作ればいいのではないだろうか。何故、バラバラになったマスクを修復する必要があるのだろうか。
〇レイの修行のシーンは茶番でしかない
なんだか紐みたいなのを切って、跳んだり木の棒を使ってみたり...何してるのこの人は?ジェダイってこんなお遊びみたいな修行で覚醒できるのだろうか。
ドラゴンボールやワンピースだって、修行と言えばもっと過酷なもののはずだ
〇チューバッカ死んじゃったよ...っていうシーンがあるのだが、何故か生きていて捕まっている。
炎上した宇宙船の中からどう助かったのかが全く不明だし、チューバッカを諦めるのが早すぎる。結果的生きていたってことはすぐ助けてあげれば生きていただろうし、敵につかまることもそもそもなかった。
〇カイロ・レンがレイは殺さないって言ってるのに、普通に船で突っ込んでくる
それで死なないと思っているかもしれないけど、避けなかったらあきらかにひき殺されているし、レイも後向いて切る必要あるのだろうか。
侍が気配を感じて相手を切る際に後ろを向いて集中するというのはあるが、猛スピードで突っ込んでくる船にそれをする必要があるのだろうか。
J・J・エイブラムス好きにはサプライズ
J・J・エイブラムスと言えば友人でもある俳優のグレッグ・グランバーグは今回も登場し、ケリー・ラッセルもマスク被ったままのキャラクターで登場する。 J・J・エイブラムスファンならお気づきの通り、初期に手掛けたドラマシリーズ『フェリシティの青春』の2人だ。
この2人は『ミッション:インポッシブル3』を手掛けることになった際にも、出演してもらっていることを考えると、困ったときはケリー・ラッセルを出すということなのだろうが、なかなか印象の薄いキャラクターだった。
J・J・エイブラムスは何と言ってもドラマシリーズ『エイリアス』『LOST』の衝撃は凄かっただけに、彼はドSFよりもSFはSFでもリアリズムを追求した、日常+SFが得意なクリエイターだということなのだろう。
そもそもファンタジー寄りのSFである「スター・ウォーズ」に彼のセンスは活かしきれないのだ。
フィンが見せたストームトルーパーの未来
「最後のジェダイ」では無駄キャラクターだったフィンのシリーズにおける役割が謎であったが、それに関しては納得の内容だった。
フィンの役割は今まで機械的な兵士のようで、人格なんてないように思えた戦闘員的存在のストームトルーパーにも人生や悩み、人格が存在するということ。「仮面ライダー」で戦闘員が本郷猛に助けを求めにくるというエピソードがある様に戦闘員にも人生があるのだ。
これはあえて描かれていなかったのかもしれないが、新しい切り口ではあるし、今後スピンオフでストームトルーパーを主人公としても成り立つ様にしてしまったのだ。
デザインで観るスター・ウォーズ
「スター・ウォーズ」シリーズの醍醐味のひとつとして、個人的にはデザイン性があると思う。作品自体は酷評されたとしてもキャラクターのデザインや美術を観るだけでも楽しかった作品でもあるのだ。
ストーリーやつっこみ所は置いといて、デザインという観点から観ても、今回の3部作は非常に残念だった。
あれだけ酷評されたエピソードⅠでさえもダースモールの他にワトーやジャージャービンクス、ボス・ナス、バトルドロイドなどなど…「スター・ウォーズ」の強みはキャラクターを観ているだけでもおもしろいという点なのだ。
その点では新3部作の1作目「フォースの覚醒」は、カイロ・レンや新しく登場したストームトルーパー達、BB-8のデザインはインパクトがあり、スタートダッシュとしてはよかったと思うのだが J・J・エイブラムス 問題は2作目以降。
旧3部作もエピソードⅠ~Ⅲもスタートの1作目だけではなく、毎回個性豊かなキャラクターが更新されていっただけに、毎回新しいキャラクターを欲してしまっているのだ。
中でもクリーチャーが残念。そもそもクリーチャー自体が今までのシリーズに比べて格段に少ないわけだが、元の動物の原型が残ったクリーチャーが多いのだ。今回だと馬やチンパンジーにプラスしただけのものだったり、人間ベースのキャラクターが多い。
点数 55点
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