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この映画語らせて!ズバッと評論!!『Butta Bomma』”ランガスタラム”の助監督が長編監督デビュー!しかし…….。

この映画語らせて!ズバッと評論!!『Butta Bomma』”ランガスタラム”の助監督が長編監督デビュー!しかし…….。

作品情報

アーンドラ・プラデーシュの中心部ににあるアラクの村に住むサティヤは運転手ムラリと間違い電話をきっかけに恋に落ちるが、突然現れた謎の男RKの登場によって、サティヤの運命は思わぬ方向に……。

『Butta Bomma』レビュー

マラヤーラム語やタミル語映画などに出演する南インドの子役出身若手女優、アニカ・スレンドラン(『Oh My Darling』『俺だって極道さ』)主演のロマコメのようなパッケージのスリラー作品で2020年のマラヤーラム語映画『Kappela』のテルグ・リメイクとなっている。

ラーム・チャラン主演の『ランガスタラム』や『Pushpa: The Rise – Part 1』などのスクマール監督作品で助監督や補助を務めていたチャンドラセカール・T・ラメシュの長編初監督作品としても話題となった作品だ。

アニカは南インドを中心にアイドル的な人気はあるものの、いわゆるスーパーモデルのようなイメージとは違い、日本でいうとAKBや乃木坂のような親しみやすく、庶民派な女優といったイメージだ。そのため、こういった日常系作品にはよく似合う女優だといえるし、巻き込まれ系のヒロイン像としては丁度良いかもしれない。

冒頭からすでに主人公のサティヤ(アニカ・スレンドラン)が男たちに追い回されていて、何やら穏やかではないシーンから始まるものの、前半では間違い電話がきっかけで出会った男女の恋愛模様を描いていて、その恋愛映画モードからスリラーに変わるグラデーションを楽しむ作品だといえる。

ラブロマンスのパートにテルグ映画音楽ではお馴染みのスウィーカー・アガスティによる軽快なサウンドが使用されているが、今作に必要なのは、もっとスリラー色を強めるようなアーティストだっただけに、スウィーカーが悪いわけではないが、音楽としてはミスキャストといえるだろう。

いつまで恋愛映画ノリが続くのかと思っていると、後半から突然、アルジュン・ダース(『囚人ディリ』『マスター 先生が来る!』)演じる目つきの悪い男RKが登場することで、ミステリー感が増すものの、そこに大したどんでん返しはなく、ある程度、想定内の展開となっていく。

ただアルジュンが『囚人ディリ』などのキャラクターと同じく、全く何を考えているのかわからない絶妙な表情をしているし、瓶を無表情でひたすら投げるシーンもあるため、サイコパスなのか何なのか……といった、過去作品のイメージを逆手にとったようなミステリーキャラクターとしての魅力はあるし、アニカ含め役者陣の演技は全体的にバランスが良いだけに、いろいろと勿体ない作品でもある。

監督のチャンドラセカールとしては、斬新な展開を狙ったのだけれでも、何周も回って逆にありがちな展開になてしまった結果、あまり上手くいかなかったという印象を残している。

一部の単館上映ではあるものの、アメリカなどでも公開されたこともあって、海外公開を意識したために、あえて塩味の作品に仕上げてきたのかもしれない。

サティヤはヒンドゥー教徒であり、文化的なものは、もちろんインド色が強いのだが、全体的に特徴が薄い。世界中で転がっているようなB級サスペンスやスリラーの一部にはなれたかもしれないが、 つかみどころの無い作品になってしまっている。

点数 72

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