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この映画語らせて!ズバッと評論!!『ブレット・トレイン』タランティーノオマージュな原作を海外でかき混ぜてるのだから、おバカにしかなりません!!

この映画語らせて!ズバッと評論!!『ブレット・トレイン』タランティーノオマージュな原作を海外でかき混ぜてるのだから、おバカにしかなりません!!

作品情報

世界で最も運の悪い殺し屋レディバグ(ブラッド・ピット)。謎の女性から電話越しにブリーフケースを奪うよう指令を受けたレディバグは、気合たっぷりに<東京発・京都行>の超高速列車に乗り込む。しかし、それは彼にとって人生最悪な120分の始まりだった。次々と乗りこんでくるキャラ濃すぎの殺し屋たちが、全く身に覚えのないレディバグに襲い掛かる。簡単な指令を果たしてすぐ降りるだけの任務のはずだったのに…… 時速350kmの車内で繰り広げられる、決死のバトル! 予期せぬ最悪が折り重なり、終着点・京都に向けて<絶望>が加速する――

『ブレット・トレイン』レビュー

まず原作「マリアビートル」の伊坂幸太郎という作家性を知っていればわかると思うが、クエンティン・タランティをベースとする海外エンタメ要素を詰め込んだ作品が多い。「マリアビートル」も例外ではなく、タランティーノ色全開の作品なのだから、「やたらタランティーノっぽい」と思った人は、それは正解である。

そんなタランティーノ風な作品を日本ではなく、本場のハリウッドで映画化しよってことだから、何重にもかき混ぜられてしまうのは避けられない。だったら最初からバカ映画にしてしまおうというのが、今作の趣旨だ。

決して酷評ではなくて、そういう目線で観なければ、今作の魅力にたどり着けないのだ。だから真面目な映画のように宣伝している媒体は、この映画をダメにしてしまっているどころか、魅力を全然伝えられていないのだある。

また今作は、先日公開された『ザ・ロストシティ』の志としては姉妹作でもある。というのも、コロナ以前のハリウッドのビッギバジェットなおバカでも豪快な、「ザ・ハリウッド」らしい作品を作りたいというサンドラ・ブロックとブラッド・ピットの意識が強く反映されている。

『ザ・ロストシティ』の作品評にも書いた通り、ストレートに観てはいけないのだ。俯瞰で観ることによって、「そうそう、これがハリウッドのおバカ作品だよね」って楽しむものであって、ストレートに観てしまったら機能しない作品だというのに、そこに気付いていないプロのライターや批評家があまりに多すぎて、楽しむべきポイントを問題点として計上してしまっている。

『シン・ウルトラマン』のように、「これはオタクの大規模二次創作だ」と思って観なければならないのと同じで、ある種の忖度が必要な映画であることは間違いないし、そんな忖度が必要な映画自体どうなんだという意見があるかもしれない。そしてそんなものに付き合うのも疲れるかもしれないが、それが制作側の意図だから仕方ない。

裏テーマとして、人生はちょっとした選択で全く違う方向に向かうという、運命やカルマみたいなものを描いているものの、このテイストでは後付けにし感じられないし、どうでもよく思えてくる。

新幹線なのに遅すぎる?京都に富士山がある?そもそも日本じゃない?

などなど、ツッコミ所を挙げていったらキリがないが、それを楽しむものでもあるし、制作サイドもこれが日本の正しい描写などと思っていない。そもそもマシオカや福原かれん、何よりも真田広之が出演している時点で、日本を知っている人が多く参加しているのだから、ワザとでなければ、逆にこんなヘンテコ描写にするわけがない。計算であることに気付いてもらいたい。

それにインド映画は「歌って、踊る」という、いつまでもステレオタイプな考え方が全開の日本人が言う資格もないということだ。

エンドロールでもわかる通り、ブラッド・ピットの後にくるのがジョーイ・キング。それほどメインで活躍しているとは思わなかったし、影の主役でもある。いつもは未公開スルーか配信落ち映画専属のような女優だが、今作のようにハリウッド大作のメインキャラクターを演じるのは、初めてなだけに、それは喜ばしいことだ。

点数 80

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