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この映画語らせて!ズバッと評論!!(先取り版)『冬薔薇』これ伊藤健太郎に当て書きされたって酷くない?!

この映画語らせて!ズバッと評論!!(先取り版)『冬薔薇』これ伊藤健太郎に当て書きされたって酷くない?!

作品情報

ある港町。専門学校にも行かず、半端な不良仲間とつるみ、友人や女から金をせびってはダラダラと生きる渡口淳(伊藤健太郎)。“ロクデナシ”という言葉がよく似合う中途半端な男だ。両親は埋立て用の土砂をガット船と呼ばれる船で運ぶ海運業を営むが、時代とともに仕事も減り、後継者不足に頭を悩ませながらもなんとか日々をやり過ごしていた。淳はそんな両親の仕事に興味も示さず、親子の会話もほとんどない。そんな折、淳の仲間が何者かに襲われる事件が起きる。そこに浮かび上がった犯人像は思いも寄らない人物のものだった……。

『冬薔薇』レビュー

©2022「冬薔薇(ふゆそうび)」FILM PARTNERS

親に学費を出してもらった専門学校にも行かず、反グレグループとつるみながら、その日暮らしのような生活をおくる主人公。なんとこの主人公は、伊藤健太郎を当て書きしたそうだ。

2020年に当て逃げの不祥事を起こしたことは汚点ではあるが、本作の主人公のような生活をおくっていたわけではないため、『騙し絵の牙』の大泉洋に当て書きされたという良い意味とは逆で、伊藤健太郎としてはイメージが悪くなってしまうのではないかという心配も残るような結末だ。

伊藤健太郎自身も、仕事を拒めるような状況でもないため、映画復帰作としては機能するかもしれないが、イメージ回復という点においては絶望的。

ザ・ウェイバック』のベン・アフレックや『ハニーボーイ』シャイア・ラブーフのような、リハビリ映画としては全く機能しておらず、不器用ながらも息子を想う父と、密かに見守る母の気持ちを裏切り続け、やっと再出発できるかと思えば上手くいかない。

全編を通して、主人公には、ひたすら救いがないというか、人並の生活をおくれないところまで落ちた人間は、背伸びしたところで、結局のところその穴からは抜け出せない。手を差し伸べてくれるのは、同じ穴に落ちている人間だけで、外には出ることができない……といった負のサイクルが描かれている。

この構造は、因果応報というべきか、最近の作品では少しギレルモ・デル・トロの『ナイトメア・アリー』に通じるものを感じた。 

点数 77

©2022「冬薔薇(ふゆそうび)」FILM PARTNERS

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