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この映画語らせて!ズバッと評論!!『私たちの声』シリアス系からほのぼの系、アニメまで…7つの物語から改めて考える、ジェンダー問題と女性の立ち位置

この映画語らせて!ズバッと評論!!『私たちの声』シリアス系からほのぼの系、アニメまで…7つの物語から改めて考える、ジェンダー問題と女性の立ち位置

作品情報

女性のエンパワーメントが叫ばれる現代、世界の映画界で活躍する女性監督と女優が集結し、女性が主人公の7つの物語を紡ぎ出した映画『私たちの声』。「映画、芸術、メディアを通して女性を勇気づける」をスローガンとして掲げる非営利映画製作会社<We Do It Together>協力のもと、そのメンバーを中心に、企画意図に賛同した多くのキャスト&スタッフたちが世界中から集結。実際の出来事から着想を得たエピソードから、物語仕立てのフィクション、さらにはアニメーションまで、世界各地を舞台に感動的で力強い物語が描かれる。各話の主人公たちは、強い決意と勇気をもって人生の難局に立ち向かい、より強く、より自己認識を高め、スクリーン越しに観る者へ称賛を贈るような7つの珠玉のヒューマンドラマ。

『アナログ』レビュー

第95回アカデミー賞において、ソフィア・カーソンが歌う主題歌「アプローズ」が歌曲賞にノミネートされ、パフォーマンスを行ったことでも話題となった作品で、世界に蔓延る保守的なジェンダー概念に捉われない視点から複数の監督が、環境も考え方も違った、それぞれのキャラクターを主人公とした短編集。

ジェニファー・ハドソンやエヴァ・ロンゴリア、カーラ・デルヴィーニュといった国際色豊かなキャスト陣がそれぞれ物語に命を吹き込んでおり、シリアスなものもあれば、少しコミカルなものもある。

例えばインドが舞台となっている「シェアライド」では、『DRIVE/ドライブ』(2019)や『サーカス』(2022)など、地域に捉われず複数言語の作品やイギリス映画『4ガールズ 死霊の館』(2015)などにも出演する元ミス・ユニバース・スリランカのジャクリーン・フェルナンデスが主人公を演じている。

インドにおけるルッキズムや2018年まで同性愛が犯罪だとされており、それが多少緩和された後のトランスジェンダーの立ち位置なども反映し、凝縮させた社会派な作品。

インドと世界を繋ぐ作品を多く手掛け、次にジーナ・デイヴィス主演作の監督を務めるリーナ・ヤーダヴならではの視点ともなっている。

また日本のエピソード「私の一週間」では、杏がシングルマザーの日常にある、ちょっとした苦悩と喜びを描いたものとなっており、大きなテーマを描くよりも、何気ない日常の一日、一日を平和に過ごしていくのも、またひとつの幸せという描き方をしている。

一方でルチア・ブルゲローニ、シルヴィア・カロッビオによる「アリア」は、アニメ作品。可愛らしいキャラクターが直面するのは、”女らしさ”や”男らしさ”といったステレオタイプな概念の壁。そしてそれを突き崩した先にあるものを描いているなど、作品のトーンは様々。

そして単純に、世界で活躍する女性クリエイターたちの技量を観るという側面からも楽しめる作品となっている。

点数 80

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