作品情報
1998年、オハイオ州の名門法律事務所で働く企業弁護士ロブ・ビロットは、思いがけない調査依頼を受ける。ウェストバージニア州パーカーズバーグで農場を営むウィルバー・テナントは、大手化学メーカー、デュポン社の工場からの廃棄物によって土地を汚され、190頭もの牛を病死させられたというのだ。さしたる確信もなく、廃棄物に関する資料開示を裁判所に求めたロブは、“PFOA”という謎めいたワードを調べたことをきっかけに、事態の深刻さに気づき始める。デュポンは発ガン性のある有害物質の危険性を40年間も隠蔽し、その物質を大気中や土壌に垂れ流してきたのだ。やがてロブは7万人の住民を原告団とする一大集団訴訟に踏みきる。しかし強大な権力と資金力を誇る巨大企業との法廷闘争は、真実を追い求めるロブを窮地に陥れていくのだった……。
『ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男』レビュー
デュポン社が商標をもつテフロンの有害性を知り、正義に目覚めていく者たちの姿を描いたサスペンス
しかし、今作は逆転無罪を勝ち取る過程をセンセーショナルに描くような法廷劇ではなく、主人公のように気の遠くなる倉庫の中から淡々と書類を1点1点調べていくような作品といえるだろう。
そのため全体的な雰囲気はかなり地味なのだが、現実社会において、正しいこと、社会にとって不利益なことを表舞台に引きずり出そうとする者は、変人や陰謀論者、詐欺師として扱われてしまう。
科学者や政治家も同じで、科学を探求する変人よりも、企業側について利益を生む者ばかりが優遇される。
そんな風評や重圧、そして自分自身の生活や家族を犠牲にしてしまうほど、忍耐強く没頭できる不器用な人間にしか、この世界において正義を追求することが難しい環境であることを痛いほど描いていている。
今こうしている間にも、ひとり、またひとつりと被害者が増え続けてるかもしれないというプレッシャー。しかし、書類を調べることしかできない、このもどかしさを疑似体験するという意味では胃の痛くなるような作品かもしれない。
点数 79
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