作品情報
『グレイテスト・ショーマン』『ネイバース』のザック・エフロンが、30人以上の女性を惨殺した実在の殺人鬼を演じた犯罪ドラマ。1969年、ワシントン州シアトル。とあるバーで出会い恋に落ちたテッド・バンディとシングルマザーのリズは、リズの幼い娘モリーとともに3人で幸福な家庭生活を築いていた。しかし、ある時、信号無視で警官に止められたテッドは、車の後部座席に積んであった疑わしい道具袋の存在から、誘拐未遂事件の容疑で逮捕されてしまう。また、その前年にも女性の誘拐事件が起きており、目撃された犯人らしき男はテッドと同じフォルクスワーゲンに乗り、その似顔絵はテッドの顔に酷似していた。テッド役のエフロンのほか、『シャドウハンター』『あと1センチの恋』のリリー・コリンズ、『バーニング・オーシャン』『マルコヴィッチの穴』のジョン・マルコビッチ、『ビッグバン★セオリー ギークなボクらの恋愛法則』『ハリウッド』のジム・パーソンズ、『コンビニ・ウォーズ バイトJK VS ミニナチ軍団』『ザ・ボーイズ』のハーレイ・ジョエル・オスメントらが脇を固める。監督は、同じくテッド・バンディを題材としたNetflixオリジナルドキュメンタリーシリーズ『殺人鬼との対談 テッド・バンディの場合』を手がけたジョー・バリンジャー。
『テッド・バンディ』レビュー
『ヘアスプレー』『ハイスクール・ミュージカル』のザック・エフロンが実在したシリアル・キラー役を熱演した作品。この映画はもともとNetflixの配信スルーになった作品であるが、日本では劇場公開された。
Netflixオリジナルドキュメンタリーシリーズ『殺人鬼との対談 テッド・バンディの場合』 を手掛けたジョー・バリンジャーが今作も監督を務めているのだが、本来は今作とドキュメンタリー作品をセットで観ることではじめて1つのシリーズとして完成されるのだ。
何故かというと、今作だけを観ると、物語上足らない部分が多いからである。テッド・バンディという人物は、甘いマスクに隠された、いかに残酷な殺人者であったかという部分を浮き彫りにしているはずなのに、肝心の残酷な殺人シーンがほとんどなく、本質から外れたようなシーンが続くため、テッド・バンディが本当に冤罪とリズとの愛で苦しんでいるようにしか描かれていない。
並行して、立て続けに女性が殺害されているという事件の内容が淡々と描かれるだけで、少なくとも映画上では、殺人の動機も不明で、テッドの関与を全く感じさせない作りになっている。
シリアル・キラーを扱った作品としては、かなりユルい描き方をしている映画なのだが、それはドキュメンタリー作品の方でシリアル・キラーとしての恐ろしさを描いていたからなのである。
映画で描かれる裁判シーンなどで、平気で嘘を言ってパフォーマンスをしていたテッドが、本当は裏でこんなことをしていたという対比の関係性にあるのだ。
この対比によって、運悪く冤罪をかけられてしまったように思える人物が、実は全てが嘘で本当にシリアルキラーだったという恐ろしさを存分に描いていたわけだ。
そのため、今作だけを観ると、もの凄く薄っぺらい内容で何かが抜け落ちているような感覚にさせられてしまうのだが、これは仕方ない。
例えばテレビシリーズの完結編が映画化されたというのに、テレビシリーズを観てなくて、いきなり劇場版を観るようなものだ。
これは映画自体の失敗ではなく、プロモーションの仕方が悪かったとしか言い様がない。監督自身も、まさか他の国でドキュメンタリーとバラした状態で劇場公開するとは思っていなかったのだろう。
点数 70点
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