作品情報
子供のころより‘危険な存在’である人間から隠れて暮らしてきたタートルズたち。’普通のティーンエイジャー’として彼らが住む大都市ニューヨークのみんなに愛され受け入れられたいーその願いを叶えるため、新たな友人エイプリルの助けを得つつ謎の犯罪組織との戦いに繰り出す。そんな彼らの前に現れたのはミュータント化した敵の大群だった……。
『ミュータント・タートルズ:ミュータント・パニック!』レビュー
「タートルズ」シリーズの最新作にして、セス・ローゲンが脚本と製作、『スーパーバッド 童貞ウォーズ』や『ソーセージ・パーティー』などと、セスと何度もタッグを組んできたエヴァン・ゴールドバーグも参加していることもあって、今まで以上にティーン特有の危なっかしさと繊細さを強調した作品となっているのは、今作の最大の魅力といえるだろう。
今作はアニメや実写版含め「タートルズ」シリーズのなかでも、ティーンエイジャーという要素をより強調させたものとなっているのだが、「タートルズ」の正式名称は「ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ」通称TMNT。もともとティーンエイジャーということを全面に押し出している作品なのだ。
そのため、ティーンエイジャーという設定は未熟さという部分で大きく機能してきたのだが、今作では、そのティーンらしさ、つまり感受性が高く繊細で、どこか不安定、そして危うさもあるといったものを、人間と同じように描くことで、全く新しい「タートルズ」が誕生したといえる。
テーマもマイノリティへの葛藤とすることで、より現代らしさ、今の若者たちが抱える問題とリンクさせている。
ただ、そういった描き方というのは、原点回帰というわけではないし、キャラクターの設定も大幅に変更されていたりすることもあって、再解釈と言った方が正しいだろう。
エイプリルも同世代という設定にすることで、新たなタートルズとエイプリルの距離感も確立したといえる。
意識しているはずはないと思うが、ちょっと……「おそ松さん」も頭をよぎる。
映像の点でいえば、アニメーションの最新技術を活かした、全編グラフティアートもしくはコミックがそのまま映像化されたような映像からにじみ出るアートセンスは目を見張るものがあり、キャラクターや小道具、建物、背景などの作品内の全ての物の描き方を観ているだけでも楽しい作品だといえるだろう。
点数 84
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