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この映画語らせて!ズバッと評論!!『禁じられた遊び』幽霊など存在しないっ!存在するのは生霊だけだっ!!しかし、もっとやっかいなのは…

この映画語らせて!ズバッと評論!!『禁じられた遊び』幽霊など存在しないっ!存在するのは生霊だけだっ!!しかし、もっとやっかいなのは…

作品情報

エロイムエッサイム、エロイムエッサイム…その言葉は、最凶の禁忌<タブー>死者を蘇らせる、「禁断のあそび」が、始まる。「トカゲはね、尻尾が切れても、また生えてくるんだ。」「本当?じゃあ、この尻尾からまたトカゲが生えてくるの?」「ああ。土に埋めて、おまじないするとまた生えてくるんだよ。」
微笑ましい親子の日常。庭に響く、少年の唱えるおまじない…それは、他愛ない冗談のはずだった。が、そんな幸せな日々が一転――家族に悲劇が起きてしまう。映像ディレクター・倉沢比呂子は、かつての同僚である伊原直人の家で、庭の盛り土に向かい、不可解なおまじないを唱え続ける直人の息子・春翔を目撃する。謎の呪文、トカゲの尻尾、指、白い影、蠢く盛り土、封印された家・・・そして彼女の身に異常な現象が起こりはじめる。それは、子どもの純粋な願いによって解き放たれた災いだった……。

『禁じられた遊び』レビュー

大まかな部分は『ペットセメタリー』かと思うかもしれないが、それはミスリードで悪魔系作品に近いとだけ言っておこう。

だから『悪魔くん』の「エロイムエッサム」なのか…..。

オーメンと悪魔くんを組み合わせた…それもなんか違う気もする……。

コメディエンヌとしての道を独走するなかで、『カラダ探し』で覚醒したホラークイーンとしての顔を存分に活かした橋本環奈の演技はもはやお家芸。

カラダ探し』同様に、海外ホラーテイストが強く、中田秀夫のハリウッド仕込み感というものが何周か回り、『“それ”がいる森』や『事故物件怪談 恐い間取り』、そして『嘘喰い』といった作品で迷走したのちに、やっと着地したといった印象を残す作品で日本らしさと海外テイストが入り混じった独特の作品に仕上がっていて、近年の作品のなかでは一番良くできているのではないだろうか。

それにしても「リング」シリーズの生みの親でもある中田秀夫が「幽霊」を完全否定するセリフを入れているということには驚いたが……。

それに加えてファーストサマーウイカがまた良い演技をしていて、『炎上する君』や『私はいったい、何と闘っているのか』もそうだけど、ほぼスッピン、もしくはスッピンにみえるメイクで出演していることが多く、今作においても”普通感”を見事に演出しているのたが、その”普通”にみえる女性の裏側を描いていく点がホラーとは別の恐怖を感じさせるし、バックボーンに渦巻く悲しさを感じさせる。

というのも今作は、視点を変えると非常に悲しい物語でもあるからだ。別人になっても大切な人に戻ってきて欲しいのか……という究極の選択を常に強いられた場合、そして蘇ってしまった者の気持ちにも感情移入できる余白があったりと、エンターテイメント的にコーティングしてあるものの、なかなか深い物語だ。

そして忘れてはならないのは、シソンヌの長谷川が大門というキャラクターを演じているが、胡散臭い霊媒師かと思わせての本当に能力者であるというギャプと流れが見事。お笑い芸人のゲスト出演枠程度なのかと思いきや、がっつりストーリーに組み込まれていた。

長谷川の大門のスピンオフを作ってもらいたいほどに作品にとっての重要人物ともいえるだろう。

点数 81

©2023 映画『禁じられた遊び』製作委員会

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