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この映画語らせて!ズバッと評論!!『オオカミの家』観たこともないアート世界!脳裏にこびりつくような悪夢の具現化!!

この映画語らせて!ズバッと評論!!『オオカミの家』観たこともないアート世界!脳裏にこびりつくような悪夢の具現化!!

作品情報

美しい山々に囲まれたチリ南部のドイツ人集落。“助け合って幸せに”をモットーとするその集落に、動物が大好きなマリアという美しい娘が暮らしていた。ある日、ブタを逃がしてしまったマリアは、きびしい罰に耐えられず集落から脱走してしまう。逃げ込んだ一軒家で出会った 2匹の子ブタに「ペドロ」「アナ」と名付け、世話をすることにしたマリア。だが、安心したのも束の間、森の奥から彼女を探すオオカミの声が聞こえはじめる。怯えるマリアに呼応するように、子ブタは恐ろしい姿に形を変え、家は悪夢のような禍々しい世界と化していく……。

『オオカミの家』レビュー

カルトから逃げ出してきた少女マリアが、辿り着いた家で起こる悪夢のような出来事を描いたストップモーション・ホラー・アニメ。

家が舞台というのもキーワードで、家自体がキャンパスとなつていて、壁や床に直接絵を描いたり、立体物を使って、その家の中での出来事を表現していくという斬新極まりない手法には目を見張るものがある。

一応、ホラーというジャンルではあるものの、普通のシーンも同じ手法で展開されていくため、冒頭からすでに不気味で狂気的な作品だ。

チリのアニメはこんなに狂気的なのかと思うかもしれないが、チリだろうがどこだろうが、この作品だけ、唯一無二!!

ジャンルにもよるため、直接的にリンクするものはないかもしれないが、こういった奇抜な世界観もあるということは知っておいても損ではないし、特にアートや映像系のクリエイターは、必ず観た方がいい作品ともいえるだろう。

タイトルにもなっている”オオカミ”というのは、おそらくマリアを追ってきているカルトたちのことであって、その家も実はカルト所有物なのかもしれないという不安と、実際に追われている不安などもひっきくるめた比喩にも感じる。

ただ、世界観が把握しきれないため、実際にオオカミという獣が森に潜んでいて、マリアを狙っているのかもしれない。

そして少女という設定からも、あまり外の世界を知らないとも感じられるだけに、外の世界への不安もある。

その家に留まることは安全ではないかもしれないが、どこに行っていいかもわからない……。

彼女の前に起きる信じられない出来事の数々は、カルトによる洗脳とマリア自身の不安が作り出した精神世界で展開されているか、実際に超常現象のように起きていることなのかは、表現時代が奇抜すぎることもあって、わかり辛い部分はあるのだが、それは現実と幻覚の区別がつかなくなるトリップムービーのように意図的に行っていることだろう。

同時上映の14分の短編『骨』の方は、比較的わかりやすい物語となっているものの、悪趣味なことには変わりはない。短時間の中に気持ち悪さが凝縮されている。良い意味で…….。

点数 85

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