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この映画語らせて!ズバッと評論!!『ヴェーダ』復讐の鬼と化した少女は石で顔面を砕く!砕く!砕く!!!

この映画語らせて!ズバッと評論!!『ヴェーダ』復讐の鬼と化した少女は石で顔面を砕く!砕く!砕く!!!

作品情報

ヴェーダと娘のカナカは、殺人を繰り返していく。その目的は何なのか。法廷劇や過去のエピソードを交えながら描いた、カンナダ語のバイオレンス・スリラー!

『ヴェーダ』レビュー

多くのカンナダ語映画に出演するベテラン俳優でカンナダ語映画のレジェンドでもあるドクター・ラージクマール家系としても知られるシヴァ・ラージクマール主演のバイオレンス・スリラー。ラージクマールが演じるのは、タイトルにもなっているヴェーダではあるが、実質的に主人公は娘のカナカだ。

そんなカナカ役には、『K.G.F:Chapter 2』のエンディング曲「The Monster Song」で見事なラップを披露した、俳優のアルン・サーガルの娘で音楽アーティストのアディティ・サーガルが起用された。

堂々とした眼力だが、アディティにとって、実は今作が女優デビュー作だ。

「K.G.F」以降のカンナダ語映画は、「K.G.F」のヒットに触発された作品があからさまに多く、今作も全編が予告編のような作りが目立つ作品ではあるが、バイオレンスとしては、今作が圧倒的に勝っているし、今作を観てしまうと、直接的ではない「K.G.F」のバイオレンス描写の数々は、かなり抑えられていて、あくまで大衆的な作品だったのだと実感する。

母親の仇をうつために、警察だろうが、ギャングだろうが、一般市民だろうが、母親の死に少しでも関係した人物を手あたり次第に殺していく。「せめて、そいつは助けてやれよ!」っていうような相手もお構いなしに殺しまくる。

ターゲットたちが、あまりの殺気だった雰囲気の前に驚きを隠せず「ヴェーダ!…カナカ!」と言うと、カナカが鞄から石をチラつかせる。

『キル・ビル』のザ・ブライドとターゲットが対面した瞬間のようで、なんだか少し笑ってしまう演出だが、その後がかなり残酷で強烈だ。

モザイク処理されてはいるのだが、石で人間の顔面をたたき割るし、釜や鉈で手や足を切り刻む残忍ぶり。そして主人公たちも殴られ、切られ、ふっ飛ばされと、女性だからといって容赦のないやられようだ。

あきらかに母親の死が精神的に影響しているカナカと、それを逆に解き放とうとするヴェーダの親子関係は、救いの求め方が違っているようでもあり、なかなかカルトな感じがする。

しかし、これはひとつの回答として目に焼き付けろと言わんばかりに、精神的な救いが、関係者を皆殺しにするという、かなり鬱な展開に向かっていく。

一方でヴェーダの回想シーンでは、幸せだった頃の恋愛劇が必要以上にコミカルに描かれていることもあって、そのギャップが戻れない過去と現在の対比になっていて、心が痛くなる。

「K.G.F」は何度も観たいと思わせる魅力があったが、今作は1回でお腹いっぱいだ……。

点数 80

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